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結果及び考察

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 143-157)

第 4 章 メタ認知の活性化を目指す活動の効果検証

4.2 コース終了後の学習者の認識と行動へのメタ認知活性化活動の影響

4.2.2 結果及び考察

(1) コース終了後の学習者の認識の全体的な傾向

授業に組み入れたメタ認知活性化活動の経験による影響の全体的な傾向を捉えた。

表4-13に示すように、前述の半構造化面接調査及び質問紙調査の質問項目(1)(2)

(3)の回答において、授業での経験が今の自分の考えや行動に繋がったと捉えている 事例など「何らかの影響について言及した」場合を「あり」、ない・分からないと回答 するなど「何も言及しなかった」場合を「なし」 とし、その人数を示した。

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表4-13 日本語科目での活動に対する認識の全体的な傾向

表4-13から、学習者間に程度の差はあるが、全体として、授業で経験した3つの 活動の肯定的な影響がコース終了後も継続していると考えられた。

(2) コース終了約2週間後の学習者の認識と行動

面接調査の文字化資料及び質問紙調査の回答に出現した「ストラテジー」と「自己 の学習状況」について触れた部分を抽出し、内容を分類した結果、コース終了後2 週 間の時点では、授業で経験した活動の影響と見られる認識や行動が【ストラテジーへ の気づき】、【既習ストラテジーの利用】、【ストラテジーの有用性の認識】、【ストラテ ジー利用がもたらす自信や満足感】、【内省活動の有用性の認識】、【内省的行動の試み】

の6つのカテゴリーに分類された。

以下に、それぞれのカテゴリーに分類された具体例を示し、メタ認知の様相を観察 した。各回答の冒頭の番号と記号は、実施年度と学習者を表す。(例:「2016I」は2016 年度の学習者 I の回答)。各カテゴリー(【 】)の具体例として本文中で学習者の内省 文を示す場合は、「 」を付して直接引用した。

【ストラテジーへの気づき】

このカテゴリーには、ストラテジーの存在を自覚するようになったことを表す回答 を含めた。

2016I (筆者注:日本事情の授業を受ける前は)、レポート、ま、出さなきゃって感じ?最初、

考察のところが一番苦労した部分ですけど、無意識なところで学習ストラテジーを使 っていたけど、今回具体的な言葉で固まったかなって。(筆者注:たとえば、どんなス トラテジー?)焦点をしぼることとブレイクダウン、その2点です。

2016I 変わったのは、意識するようになった。結果、いつも・・・文章を書き終わったら、最初

の目標、焦点を見て、もう一度読んで、流れがちゃんといっているかとか・・・。(筆者注:

メタ認知の活性化を促す活動の言及 コース終了2週間後 コース終了半年後 あり なし あり なし 学習ストラテジーの意識的利用 9名 1名 8名 1名 課題解決型学習でのストラテジー利用 9名 1名 6名 3名 内省活動の定期的実行 7名 3名 7名 2名

協力者の合計数 10名 9名

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前はそうしてなかったの?)やっぱ、意識してなかったです。ただ、書いてるだけで。

読み直しはしてたけど、ただ読んで、ああ、あってるね、とか。

2016L learning strategy って聞いたことあったけど、意識してなかった。昔は、文章を読

むとき、一個一個の言葉を読むことから、時間は長くなる。ですが、日本事情の科目 から、キーワード、時間を短くするときにキーワードを探します。

2016L 日本語の問題はありますが・・・、昔は自分が書いたのは、結論はつなぐかどうか考えて

いませんでした。ストラテジーを使ってから、今は、それは注意する必要があること から(筆者注:必要があることに)気がつきました。

2017O (筆者注:キーワードとか)前は全然考えませんでした。

2017N 以前、(筆者注:母国で)国語を勉強したときは、ちょっとやり方とか問題の解き方と

かの方法について先生は話したんですけど、やっぱり、外国語を勉強するときはこう いうことをあんまり意識してませんでした。

2017N 前、自分がやっていたのが、これ、確かにストラテジーだねって思います。(中略)意

識するようになってよかった。(筆者注:授業で意識しなくても自分でしていたかもし れませんね?)ああ、でもどうかな・・・。意識してからこそ、役に立つなあと思って、

だからもっとまとめて、文章を読んだとき、あー、自分がまとめてたストラテジーも 使えそうかな、とあてはまるんですね。

具体例から、ストラテジーが存在すると気づいたことが、次には、自分の状況や自 分にとって必要なストラテジーは何かという具体的な認識に繋がったことが観察され た。「昔は(中略)考えていませんでした」(2016L)、「外国語を勉強するときは(中略)

意識してませんでした」(2017N)などの回答が示す通り、「無意識なところで学習ス トラテジーを使っていた」(2016I)が、授業での経験を契機に「意識するように」(2016I)

なったり、「自分がやっていたのが、(中略)確かにストラテジー」(2017N)だったと いう気づきや、「焦点をしぼる・ブレイクダウンする」など「具体的な言葉で固まった」

(2016I)という認識が生まれ、ストラテジーを意識するようになったことが分かる。

【既習ストラテジーの利用】

このカテゴリーには、授業で提示したストラテジーを応用して使っていることを表 す回答を含めた。

2017N 英語にも使えそうなストラテジーがあってほんとに役に立っています。(筆者注:授

業でストラテジーを知ってから)文章を読むときも意識的に段落をつけるとか、あ、

この二つの段落は同じ、一つのことを話していますね、とか、段落を分ける、段落に 気をつける、そういう傾向があります。

2017O 最近、ちょっと長い文章を読むとき、先生の授業の中で教えたことは思い出して、そ

して、キーワードとかタイトルとか注目した。

2015G (筆者注:ストラテジーを使う活動は)よかった。実際にいろいろな活動でストラテ

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ジーを使うので実際に役に立ちます。今も、ストラテジーを使います。

2016J たぶん、前は文章を書いたとき、言いたいことは全部書いて、今は、たぶん、この文

章(筆者注:授業で配布した資料)のように、こうぞ(筆者:構造?)、はい、構造を 考えて書けます。

2016L 本文を読むとき、出てくる言葉がそれはキーワードと思いました、から、2回目に読

むときはちゃんと注意します。前は関係ないと思いました。

上の具体例から、「キーワードとかタイトルとか注目」(2017O)する、「構造を考え て」(2016J)書くなどのストラテジーを日本語授業以外でも応用的に使用しているこ とが観察され、特に「キーワード」への注目が高いことが認められた。

【ストラテジーの有用性の認識】

このカテゴリーには、ストラテジーの有用性を表す回答を含めた。

2105G 大学生としては文書の読解は大事ですから、課題解決学習を利用すると楽です。

2015G この授業でやったこと、よく使えそうと思います。特に、レポートと論文とか本の読

解。

2017M 効果的に、もっと、あの、無性に思うのは、勉強の効率が高くなったかなと思います。

2016J たぶん、長い文章を読むとき、キーワードを探して、もっと、筆者の話したいことを

よく分かります。(中略)まえ、このストラテジーが知らなかったので、(笑)試験の とき、日本語能力試験、何回も受けたことがあります。長い文章を読むと、あの、結 論とか全然分からなくなって質問を答えられなかった。・・・そして、キーワードを気を つけたら、文章、もっと読みやすくなる。なんか、読むのが速くなる。

2016L 読むのも速くなったから、うれしい。楽。(中略)レポートも。もっと楽、楽になりま

す。

2016L レポートを書くとき、構成が必要であるし、ブレイクダウン、ブレイクダウンも必要

のことが、前は無意識的に使いましたが、今は、そのことを、ああ、大事だと気がつ きました。

2017O 読むとき、たぶん、筆者の、作者の構成はちょっと違う、違います。でも大体分かり

ます。そして、レポート書くとき、ちゃんと、構成注目したらもっと理解しやすい。

2017O 前は・・・、前、英語の文章を読んで、そのとき、えっと、普通に読むけど、忙しいとき、

たぶん第1段落と最後の段落だけ読む。日本語の文章の面白いところは、「しかし」と か「ところで」とか、このような言葉があるので、ちゃんと注目したら、この作者の 伝えたいこと、たぶん大体分かります。

具体例から、「勉強の効率が高くなった」(2017M)、「読むのが速くなる」(2016J)、 あるいは、「レポート書くとき、(中略)もっと理解しやすい」(2017O)などの認識だ けでなく、「キーワード」(2016J)を探す、「ブレイクダウン」(2016L)するなど、自

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分にとって有益なストラテジーを認識していることが分かる。

【ストラテジー利用がもたらす自信や満足感】

このカテゴリーには、ストラテジーによって自信や満足感を感じたことを表す回答 を含めた。

2016L (筆者注:前と比べて)違います。もっと、自信、自信が高くなります。最初は、日

本語は話すときは自信が全然ないです。が、今は自信が高くなります。

2016J 先生の教えてくれたストレ、(筆者:ストラテジー?)ストラテジーを参考にして、な

んか、文章の構成とか一貫性を意識しながら、そして、毎回も先生が見直してくれて のところを注意して、次の文章を書いたときは、ちゃんと注意して、書き直す、書き 直した(中略)自分は文章書き終わったら、ああ、やったあ、よかった、自分も日本 語で800字とか、長ーい文章を書けますとちょっとうれしかった。

2017O なんか、前はそんな長い文章を書いたことがない、ですから、初めて書いたとき、へ

え、自分はほんとにできた、という感じ。びっくりした。うれしかった。(笑)ほんと うにうれしかった。

上の具体例から、「自信が高くなります」(2016L)という回答や、「ストラテジーを 参考にして(中略)やったあ、よかった、自分も日本語で800字とか、長い文章を書 けます」(2016J)、「へえ、自分はほんとにできた(中略)うれしかった」(2017O)な どの回答が示すように、ストラテジーの意識的な利用経験が自信を高め、予想以上の 成果を出すことができて満足したことが推察された。

【内省活動の有用性の認識】

このカテゴリーには、内省活動の有用性を認識したことを表す回答を含めた。

2016J (筆者注:自分の勉強をふり返ることは)前はしてなかった。ふり返りを書いたとき、

今日は何を勉強した、ちゃんと書いて気づいてよかったと思います。そして、自分の 不足の部分を復習してやり直したりとか、よかった。

2017O ストラテジーの使い方はちょっと分からないとき、先生の意見とか採用して、そして、

自分で考えて、もっと、一番、私にとっていい方法を選んでできる。

2017P リフレクションを書いたときは、「今日何を勉強した」、「今日何がした」、「自分はどこ

が良くない」と考えました。簡単に言うと、それは「反省」と「記録」だった。

2017P 自分が勉強したことを授業が終わった後で書いて、今日、何が勉強したって考える。

そして、先生が意見を書いたら、自分の考えが少し変わる。

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