第 3 章 開発した日本語コースとその実施結果
3.2 実施結果
3.2.3 第Ⅲ期(2016 年度後期)の実践の概要
第Ⅲ期の受講生は、2年生(1名)と3 年生(2名:3年次編入学)の学部留学生、
交換留学生(1名)、研究生(2名)、大学院生(1名)で、非漢字圏出身2名と漢字 圏出身5名、計7名が受講した。
(2) シラバスの設計及び調整
第Ⅲ期は、表3-15に示すように、メタ認知の活性化をさらに促すために、読解ス トラテジーやレポート作成に関連する基本的なストラテジーに焦点化し、課題解決学 習の回数を増やして同一活動を3 回繰り返す経験を与えた。主題は、同世代の考え方 に触れ、自分たちの生き方を考える契機となるようなものを硬軟織り交ぜて提供した。
多忙な学部留学生の実情から、予定通り進められない可能性もあることを考慮して余
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裕のある期間を設定し、その間の授業を言語知識に関する学習と組み合わせるように した。内省活動の実行に関しては、この活動の目的について、学期当初だけでなく機 会を見つけて説明し、十分な理解が得られるよう配慮した。フィードバックについて は、できる限りその授業で扱った内容や学習者の活動を想起させ、学び方への気づき を促す具体的事実に言及するよう努めた。
表3-15 第Ⅲ期(2016年度後期)の学習活動
週 主な活動内容
1 オリエンテーション
・授業の進め方の概要及び学習ストラテジーとリフレクショ ン・ノートについての説明を聞き、学習目標・自己評価表を 書く。(資料22)
2 題名の役割の理解 ・課題文の内容を確認し合い、「キーワードを見つける」スト ラテジーを使って課題文につける題名について話し合う。
3 文章構造の把握 ・「予測する」「文章の構造を考える(論点表示文に見つける)」
ストラテジーを使って課題文を読み内容について話し合う。
4 文章構造の把握
・「予測する」「予測や推測を確かめる(結論表示文を見つけ る)」ストラテジーを使って課題文を読み、内容について話 し合う。
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課 題 解 決 学 習
Ⅰ
資料の内容把握・
課題の意識化・課 題の答えの予測
(課題設定)
・課題解決学習Ⅰの活動予定を確認する。(資料23)
・「背景知識を活用する」「予測する」「比較する」などのス トラテジーを使って、グラフ資料「血液型を信じるか」と課 題文「血液型で判断してもよいのか」を読み、内容について 話し合う。(資料24)
・2つの資料を比較し、疑問点をもとに課題を想定する。
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課 題 の 答 え の 追 究・文書表現の理 解(課題解決)
・「目標を設定する」「焦点をしぼる」などのストラテジーを 使って、想定した課題を絞り込み、自分の課題を決める。
・「ブレイクダウンする」ストラテジーを使って、インタビュ ーの質問項目について話し合う。(資料25)
・課題解決のプランを他の人に説明し、助言し合う。
(2週間の間にインタビューをして口頭発表の準備をする)
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自 己 の 考 え の 提 示(まとめ)
・パワーポイントで発表する。(スライド5枚)
・課題解決学習Ⅰの自己評価をする。(資料26)
課 題 解 決 学 習 Ⅱ の準備(資料の内 容把握)
・課題解決学習Ⅱの活動予定を確認する。
・読解資料「働く女性、「なでしこ」に続け」、「父親の育児 参加」、グラフ資料3種をピアで解読する。
(残りは課外で)
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資料の内容把握・
課題の意識化・課 題の答えの予測
(課題設定)
・読解資料、グラフ資料について、各自が読み取ったことをも とに内容について話し合い、課題を想定する。
・課題を絞り込み、自分の課題を決める。
77 9 課
題 解 決 学 習
Ⅱ
課 題 の 答 え の 追 究・文書表現の理 解(課題解決)
・課題解決学習の目的について再確認して、「問い」のブレイ クダウンを練習し、自分の考えを整理する。(資料27)
・ショート・スピーチ(ウオームアップ活動)の原稿をもとに、
「構成を考える」ストラテジーを使って、序論・本論・結論 の構造を確認し、各部分の役割について話し合う。
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課 題 の 答 え の 追 究・論理の一貫性 の検討
(課題解決)
・「構成を考える」「論理の一貫性を考える」ストラテジーを 使って、クラスのメンバーが問題提起したスライドと内省を もとに、課題と結論を論理的につなぐ練習を行い、課題に対 する自分の考えを整理する。(資料28)
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自 己 の 考 え の 提 示・レポートの構 成の検討
(まとめ)
・インタビューの結果を報告し合い、自分の考えを整理する。
・インタビュー調査に基づくレポート例(序論部分)を読解し て、序論の構造を分析する。
・「構成を考える」「論理の一貫性を考える」ストラテジーを 使い、自分の考えを述べ方を検討して、構成を決める。
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課 題 解 決 学 習
Ⅲ
一 次 資 料 の 内 容 把握・課題の意識 化・課題の答えの 予測(課題設定)
・課題解決学習Ⅲの活動予定を確認する。
・「問題点・矛盾点を見つける」「比較する」ストラテジーを 使って、グラフ資料の内容を解読する。(資料29)
・読み取った内容について話し合い、課題を想定する。
・インタビューの計画を立てる。
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二 次 資 料 の 内 容 把握・課題の答え の 追 究 ( 課 題 解 決)
・インタビューの結果を報告して意見交換し、課題を決める。
・二次資料「ほめられると子どもは伸びない」を読み、課題に 対する自分の答えを整理する。(全員の課題は、第1節と第 4節。第2節、第3節は自由選択とした)
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課 題 の 答 え の 追 究・引用表現の理 解(課題解決)
・二次資料「ほめられると子どもは伸びない」を読み、課題に 対する自分の考えを整理する。(資料30)
・共通課題部分の内容で分からない箇所を確認し合い、自分の 主張の根拠として利用したい箇所を資料から選ぶ。
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自 己 の 考 え の 提 示・レポートの構 成の検討
(まとめ)
・「接続詞/接続表現に注目する」ストラテジーを使って、課題 文を読み、接続詞・接続表現を使い分ける。
・「図式化する」ストラテジーを使って、自分の考えの述べ方 を検討し、レポートの構成を決める。(資料31)
<教材作成の参考とした素材>
日本語教育教材
・安藤節子・田口典子・佐々木薫・赤木浩文・坂本まり子(2001)『トピックによる日本 語総合演習 テーマ探しから発表へ 上級』スリーエーネットワーク
・石塚久与・高橋純子・二瓶知子・渡辺恵子(2013)「もっと中級日本語で挑戦!スピー チ&ディスカッション」凡人社
・大島弥生・池田玲子・大場理恵子・加納なおみ・高橋淑郎・岩田夏穂(2005)『ピアで 学ぶ大学生の日本語表現―プロセス重視のレポート作成―』ひつじ書房
・鎌田美千子・仁科浩美(2014)『アカデミック・ライティングのためのパラフレーズ演 習』スリーエーネットワーク
・黒崎典子編・石塚久与・高橋純子・二瓶知子・渡辺恵子(2013)『もっと中級日本語で 挑戦!スピーチ&ディスカッション』凡人社
78 (3) 第Ⅲ期の活動例と学習者の反応
第Ⅲ期の活動の中で、1回目の課題解決学習のまとめ(口頭発表)の論理的構成につ いて検討した第10週の活動を取り上げ、この経験が2回目のまとめ(レポート)にど のように影響を及ぼしたかをそれぞれの学習者の成果物で見る。
第10週の授業は、「構成を考える・論理の一貫性を考える」などのストラテジーの 意識化を促し、レポートの構成に生かすことを目標として行った。活動の素材となっ たのは、課題解決学習Ⅰのまとめの口頭発表を行った第7週の授業で、ある学習者(以 下、学習者8とする)が内省した次のような「課題と結論のずれ」の認識である。
「課題と結論のずれ」という問題は、 他の学習者にも見られたため、学習者8の承 諾を得た上で、学習者8 が口頭発表に使用したスライドと発表後に書いた内省文を問 題提起として組み入れたワークシート(資料28参照)を筆者が作成し、それを使ってク ラスで問題を共有し、解決を図る授業を考案した。
・佐々木薫・赤木浩文・草野宗子・坂本まり子編(2011)『トピックによる日本語総合演 習 テーマ探しから発表へ 上級用資料集 第4版』スリーエーネットワーク
・清水正幸・奥山貴之(2015)「血液型で判断してもよいのか」『日本語学習者のための 読解厳選テーマ10 中上級』凡人社
・宮原彬『留学生のための時代を読み解く上級日本語』スリーエーネットワーク
・一橋大学留学生センター(2005)『留学生のためのストラテジーを使って学ぶ文章の読 み方』スリーエーネットワーク
・三浦香苗・岡澤孝雄・深澤のぞみ・ヒルマン小林恭子(2006)『最初の一歩から始める 日本語学習者と日本人学生のためのアカデミックプレゼンテーション入門』ひつじ書房 一般書・インターネット記事
・苅谷剛彦(2002)『知的複眼思考法-誰でも持っている創造力のスケッチ』講談社
・苅谷剛彦(2014)「考えるための作文技法」『知的複眼思考法』(講談社)
・ポー・ブロンソン他小松淳子訳(2011)「ほめられる子どもは伸びない」『間違いだらけ の子育て-子育ての常識を変える10のルール』インターシフト
・「血液型占い(性格判断)に関する調査」(株)バルク. www.vlcank.com/mr/report/004/ -
・「子育てとお手伝いに関する小学生母子の意識調査-毎日褒められている子どもは「友 達が多い」!?」(株)ライオン. www.lion.co.jp/ja/company/press/2014/.../2014063.pdf
11月16日(第7週)
今日のストラテジーは、インタビューの結果を発表する。インタビューの結果が課題の結 論とすこしずれているのが、なぜそうなったかなんとなく分かる。自分はこれからの課題 があったら、これをもとにもっと練習しようと思う。(学習者8)