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測定結果

ドキュメント内 非接触式可搬型人体測定器の開発と応用 (ページ 117-121)

第 3 章 形態の測定

4. 生体 A の測定

4.3 測定結果

生体Aの「乳頭間幅」以外の測定結果は,被験者の平均NC/Cの箱ヒゲ図で表し,それらを図3.8 に示す.箱ヒゲ図を用いたのは,NC/Cのバラツキを視覚的に調べるためであった.

3.8 生体Aの測定結果(箱ヒゲ図)(Susato,2011)

被験者10人(男5人,女5人)の平均NC/Cを箱ヒゲ図で表した.測定器の略号 は,V:改造ノギス,L:リードスクリュー形測定器,RS:ロッドスライド形測 定器,LS:レーザスライド形測定器.各測定は3回行った(全測定において正規 性は確認された).1回の測定時間は,接触式では15~60秒,手動による非接触 式では,15~30秒かかった.

この図から次のことがわかった.

①部位によって,かなりのバラツキがあった.バラツキの最小は「身長」,最大は「座位臀-腹厚 径」であった.

②測定器の組合せによって,かなりのバラツキがあった.全体では,ロッドスライド形とレーザ

形態測定

中央値 25%-75%

外れ値以外の範囲 外れ値

極値

頭長(V-L) 頭幅(V-L) 肩幅(V-L) 臀幅(V-L) (RS-LS) 脛骨上縁高(RS-LS) 座位膝蓋骨上縁高(RS-LS) (RS-LS) 座位肩峰高(RS-LS) 全頭高(V-LS) 上腕長(V-LS) 前腕長(V-LS) 座位臀ー腹厚径(V-LS) 座位臀ー膝蓋距離(V-LS)

測定項目 0.70

0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 1.15

NC/C

スライド形(RS-LS)のNC/Cの範囲は小さく(0.98~1.03),改造ノギスとレーザスライド形(V

-LS)のNC/Cの範囲は大きかったが(0.91~1.12),その両NC/C群に有意差は無かった.

検討

■NC/C範囲と外れ値の両方が最も大きい測定項目は,「座位臀-腹厚径」であった.また,NC/C 範囲は中程度でも,外れ値がその次に大きいのは「臀幅」であった.座位の臀部と腹部を接触式 測定器で測定することは非常に困難であった.2つの測定点(臀部後面の最も突出した点,腹部 前面の最も突出した点)が同一水平線上に無いことと,呼吸によって腹部が微動することが原 因と考えられる.また,被験者の臀部の形状が,「寸胴」や「洋梨」のように腹部や臀部の境目が 不明瞭な場合には,測定点(臀部の左右の最も外側に突き出た点)の設定が困難であった.「伸 長」はNC/C範囲が最も小さかった.これは測定点が床面と頭頂であり,両点とも同一垂直線上 にあったためである.

■接触式を使うときには,測定者は被験者に接近するため,左右の測定点に何度も交互に目配せ しながら,測らなければならなかった.非接触式ではレーザマーカが2個あるため,一方の測 定点に照射して固定した後,他方の測定点に移ることができた.つまり,一つ一つの作業に専 念できた.さらに,被験者から離れて両方を目視によって再確認できた.

■NC/C は,両方式の誤差(主に系統誤差)の指標になる.ところが,この実験での生体の各部位 は,必ずしも同一測定点で測定したとは言えなかった.なぜなら,測定前に測定点のマーキン グを行わないので,測定時には毎回,測定者の視覚的判断によって測定点が決められたからで ある.このような場合,測定者による個人誤差が多く生じる危険性があると思われる(考察5.2.

2参照).

被験者ごとの「肩幅」と「乳頭間幅」の散布図を図3.9に示す.散布図を用いたのは,「肩幅-乳頭 間幅」間データの相関関係を調べるためであった.

3.9 肩幅と乳頭間幅の散布図

注:肩幅はリードスクリュー形測定器(1回の測定時間30秒),乳頭間幅はレーザ スライド形測定器(同10秒)を使用した.測定は3回行った(全測定において正規 性は確認された).1人の女子被験者(S1f)の乳頭間幅のデータは無かった.リー ドスクリュー形測定器は,生データに補正を行った.

この図から次のことがわかった.

①相関係数(rmf =0.20,rm =-0.31,rf =-0.51;m:男,f:女)から,肩幅と乳頭間幅の間にはあま り相関が無いことがわかった.相関係数の男女比較では,女のほうが男より高かった.

検討

■一般の感覚では,「肩幅が広いほど乳頭間も広い」と思われるが,この測定ではその説を否定す るデータが得られた.被験者は男女ともやや細目の体形(平均BMI 20.1,SD 1.3 kg・m-2)であっ たが,女子に関しては乳房の個人的形状によって,乳頭の相対的位置が異なったと思われる.

しかし,測定時には,その形状の観察は行わなかった.

肩幅 (mm)

乳頭間幅 (mm)

:男 male

女 female

370 380 390 400 410 420 430 440

形態測定

rmf = 0.20, rm = -0.31, rf = -0.51

160 165 170 175 180 185 190 195 200 205

■JIS,ISO,ANSI 規格では「乳頭間幅」を規定していない.それに類似した項目として,生命工 学研は「バスト点間隔(D19)」を規定しているが,そのバスト点の定義を次のように定めている.

女子がブラジャーをつけた状態で直立姿勢をとったとき胸囲が最大になるレベルで,胸 が最も前方に出ている点.乳頭点に対応する点として,新たに定義した.(生命工学研

『設計のための人体計測マニュアル』,p. 15,pp. 56–57,1994)

■Garretらは,「NIPPLE–NIPPLE」の測定にWAC(Women's Army Corps:米国陸軍婦人部隊)のデー タを用いた(N=8413,X=19.34 cm,SD=2.16 cm)(Garret et al.,pp. 1404–1405,1971).本測定 では,被験者(日本人,女子)のデータは,N=4,X=18.13 cm,SD=1.58 cmであった.

《 要点 》

■以上までの議論により,開発器は生体の形態測定に適用できると判断した.

測定風景を図3.10に示す.

(a) 頭長の測定 (b) 乳頭間等の測定

(c) 臀幅・肩幅の測定 (d) 身長等の測定 図3.10 生体Aの形態測定の風景

ドキュメント内 非接触式可搬型人体測定器の開発と応用 (ページ 117-121)