第 2 章 測定原理と測定器の種類
2. 非接触式測定器
2.2 関節可動域測定
2.2.3 機能と仕様
測定機能は3種類あるが,その内2種類は対象物の「角度」と「距離」の両方に関する機能,残り の1種類は「距離」に関する機能である.
[1] 2点測定法
2 点測定法とは,回転中心に中心照射用レーザマーカのスポット光を設定する場合に使う方法 である.実際には,始点と終点の計2点の測定点に測定用レーザマーカのスポット光を当てる.
回転中心点Cが原点Oと一致し,始点Aと終点Bのrが同一の場合は,図2.16(a)に示すよう に,各点での表示器の値は各点の角度を表す.したがって,可動範囲の∠ACB(θAB)はそれら角 度の差分(θB-θA)になる.各辺の距離はCA=CB=rとなり,弦ABは計算によって求まる.
(a) 2点測定法 (b) 3点測定法
図2.16 レーザ角度計の測定機能(Susato,2013)
(a) 対象の回転中心点(原点と C 点)に中心用レーザマーカのスポット光を当て,
測定用レーザマーカのスポット光を A 点に当ててθAを読み,半径 r(測定軸) を回転させて,B 点に当ててθBを読み,θAとθBの差分から角度変化量を測定 する.∠θAB =∠θB-∠θAで求まる(∠ACB =∠AOB).
(b) 対象の回転中心(C 点)に測定用レーザマーカのスポット光を当てて rCと θC, を読み,測定用レーザマーカのスポット光をA点に当ててrとθAを読み,半 径r(測定軸)を回転させて,B点に当ててθBを読み,その読値量rC,θC,r,θA, θBの変数群から角度変化量を計算する.∠θAB は計算によって求まる(∠ACB
≠∠AOB).
■この方法は回転中心点 C が明確で,固定されている場合に適している.例えば,「肘関節の屈 曲」や「膝関節の屈曲」動作に用いる.
O,C
A B
r r
θA θB
θAB (r,θ
A) (r,θB)
O C
B
A
rC
r
r
θC θA θB
θAB (r,θA)
(r,θB)
(rC,θC)
[2] 3点測定法
3 点測定法とは,回転中心とは異なる任意の点に,中心照射用レーザマーカのスポット光を設 定する場合に使う方法である.したがって,中心照射用レーザマーカは,データ収集に直接関わ らないことになる.実際には,回転中心点ならびに始点と終点の計3点全ての測定点に,測定用 レーザマーカのスポット光を当てる.
図2.16(b)に示すように,回転中心Cを測定点の一つとして捉えると,中心照射用レーザマーカ
は,対象物の回転中心点に照射する必要がなくなる.3点A,B,Cの位置は測定用レーザマーカ のみで測定する.△ABCの内角(θAB,∠A,∠B)と辺(AB,AC,BC)は,三角法によって求まる.
■この方法は回転中心の設定が困難な場合,回転中心が変動する場合に適している.例えば,三 脚での中心点設定調整が困難な状況下での動作,「肩関節の挙上」動作で中心が移動する動作で 用いる.中心用レーザマーカを中心点に合わせる三脚調整作業は,測定用レーザマーカをアー ム上に動かして照射させる作業に比べて,はるかに時間がかかる.よって,この測定法は測定 作業の迅速化も図れる.
[3] 奥行き測定法
奥行き測定法とは,形態測定(2.1.3節[3])においても説明したように,表面の一部分が他の部分 よりも飛び出ているときの高低の差(凹凸の差,深さ)を測定する場合に使う方法である.
測定用の主測定用レーザマーカAを図2.17(a)に示すように,①A点から直角にF点に照射させ る.次に,②アームに対し角度αを持った副測定用レーザマーカBをアーム上で移動させて,B 点からF点に照射させる.③このF点で2点のスポット光を合致させる.これによって,④底辺 ABをもつ直角三角形△ABFが形成される.
(a) レーザマーカを移動させる (b) レーザマーカを回転させる
図2.17 奥行き測定(Susato,2013)
(a) 主レーザマーカ(Main Laser Marker)を,A点から直角にF点に照射させ,ア
α α
(Main) A B
(Sub.) C
(Main) D E
F G
H I
90° 90°
Subject
Laser Marker
(Sub.) Sliding FI
Arm
α α
(Main) C D (Sub.)
F G
H I
90° δ 90°
Laser Marker
Subject
(Main) A B (Sub.)
Rotating FI
Arm
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ームに対し角度αを持った副レーザマーカ(Sub. Laser Marker)を,B点からF 点に照射させる.F点で2個のスポット光を合致させ,直角三角形△ABFを 形成させる.次に,主レーザマーカを C点に移動させ,そこからI点に照射 させ,副レーザマーカをE点からI点に照射させ直角三角形△CEIを形成さ せる. △ABFと△CEIの2個の三角形から,距離AFとCIの差FI(奥行き 量:FI = CI − AF)が求まる.
(b) 副レーザマーカをD点からE点に移動する代わりに,D点での設定角度をα からδに変えて,I点で焦点合致を行い,奥行き量を測定する.△ABFと△
CDIの2個の三角形から,距離AFとCIの差FI(奥行き量:FI = CI − AF)が 求まる.
次に,⑤主測定用レーザマーカAをC点に移動させ,⑥そこからI点に照射させ,⑦副測定用 レーザマーカBをE点からI点に照射する.よって,⑧底辺CEをもつ直角三角形△CEIが形成 される.
注:この図では,距離CEは距離ABより大きくなっている.もし,辺CDがABと同一 の距離であると仮定すると(つまり,CE=CD),スポット光はI点とH点の2点に分か れて当たり,焦点合致はできなくなる.
⑨△ABFと△CEIの2個の三角形から,距離AFと距離CIの差FIが求まる(FI = CI − AF).
これが奥行き量となる(その計算の中で,A,B,C,E点における変数rとθが使われる).
奥行き測定法には別法がある.図2.17(b)に示すように,D点での設定角度をαからδに変えた 場合でも,奥行き量は測られる.ところが,実際には,設定変更した角度をアーム上でそのつど 測定することは著しく困難な作業になるため,このような使用法は限定的なものになる.
■この機能は,照射面の段差量・凹凸の有無・平面度の検査等にも使用できる.