第1章 健康の保持・増進
第2 節 母と 子の健康
母と子の健康については、昭和 4 0 年に制定された母子保健法に基づき、一貫した総合的 な母子保健対策が推進されています。平成 6 年に地域保健法が制定され基本的な母子保健サ ービスは住民に身近な市町村で実施されることとなり、平成 9 年度からほとんどの母子保健 事業の実施主体が県から市に移譲されました。
近年、少子化や核家族化の進行、地域のつながりの希薄化等社会の変化に伴い、家族関係 の複雑化や孤立家庭、育児不安を抱えた母親の増加等子育てを取り巻く環境が大きく変化し、
より一層母子保健の果たす役割が重要となっています。
本市においては、平成 1 0 年度に、公衆衛生活動の拠点である保健センターを開設し、保 健・医療・福祉の 3 つの機能を有する複合施設として、母子保健においても乳幼児健診や健 康教室・健康相談・育児支援・発達支援・虐待予防等の活動の場として様々な事業を展開し てきました。平成 2 0 年度からは、乳児家庭全戸訪問事業の開始、妊婦健康診査の公費負担 の拡充、乳幼児健康診査の内容の充実を図るとともに、平成 2 4 年度から所沢市医師会の協 力により 1 0 か月児健康診査(個別健診)を開始しました。今後も子どもの健やかな成長を 願い妊娠・出産への支援と安心して子育てできる地域づくりを推進していきます。
なお、本節は母子保健計画の性格を有しています。
◇ 小項目分類の考え方
本市の出生数は年々減少傾向にあり、平成 2 6 年は 2 ,6 6 6 人、出生率は 7 .8 です。合計 特殊出生率も 1 .2 3 と少子化が深刻化し核家族化や地域のつながりの希薄化等、母子保健の あり方が課題とされています。子育てを地域全体で支える取り組みが重要であり、母と子に 寄り添ったきめ細やかな支援と妊娠期からの子育ての切れ目のない包括的な支援が求められ ています。
そこで、国民運動計画である「健やか親子 2 1 (第二次)」で示された課題を踏まえ、小項 目の分類を(1 )子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり、(2 )切れ目ない妊産婦・
乳幼児への保健対策、(3 )思春期の子どもたちのこころとからだの健やかな成長のための支 援として、母子保健対策を進め、更なる母子保健の向上を図るため、地域住民、関係機関、
団体等と一体となり推進していきます。
母親学級「絵本の読み聞かせ」の様子
第 2 節 母と子の健康
〔現状〕
少子化や核家族化の進行により、地域との関わりが希薄になっています。
母親同士の付き合いが苦手で負担に思うタイプの親や、他児と比較して家庭に引きこも る親子、育児不安を抱える親が増えています。
〔本市の主な取り組み〕
育児負担が大きい多胎児・未熟児・疾病を抱えた子どもを養育している保護者を対象に 子育てサロンを実施しています。
B C G 接種時に「はじめてのおもちゃ絵本コーナー」事業を実施。また、ボランテイア の育成をしています。
子育て支援ネットワーク会議(平成 2 6 年度現在 3 地区で実施)や地域に向けた子育て 支援の健康教育を行っています。
母子保健地区組織育成事業、民生委員・児童委員及び協議会活動推進事業、ファミリー サポート事業、まちづくりセンター(公民館)における子育て支援事業により関係団体 と連携し地域で子育て支援に取り組んでいます。
〔保健・医療関係団体の主な取り組み〕
おしゃべりサロン(所沢市母子愛育会)…乳幼児健康相談時に、母親同士の交流を深めるこ とを目的に開催
世代間交流の機会や安心して遊べる場所が少なくなっています。
様々な状況にある家族や保護者へのきめ細かな支援が必要です。
地域の中で子育てを支援する機関は増えていますが、地域全体の課題を共有し対応を考 えるためのネットワークを強化することが必要です。
子育て中の母が主体的に活動できる自己実現の場(子育て支援サークルなど)を作って いく支援が必要です。
(1)子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
1 現状・主な取り組み
2 課 題
【相談体制の充実を図ります】
関係機関が連携して、多面的な支援、多様な家庭に対応できる支援を図ります。
必要な時に必要な情報を得ることができ、保健師・歯科衛生士・栄養士や必要に応じて 医師、心理相談員等専門職に相談できる環境整備を図ります。
【地域全体で子育て家庭を支援する環境づくりに努めます】
母子愛育班等による子育て中の家庭への声かけなど地域全体で子育てを支え、孤立化の 防止、健やかな成長を支援し安心できる子育て環境づくりに努めます。
引き続き、母子保健地区組織育成事業、民生委員・児童委員及び協議会活動推進事業、
ファミリーサポート事業、まちづくりセンター(公民館)における子育て支援事業によ り関係団体が連携し地域での子育てを支援していきます。
【個人・家庭では… … 】
子どもの事故防止と安心して生活できる家庭環境づくりに努めましょう。
地域での行事に参加して仲間づくりをしましょう。
市や関係団体等が実施する母子の健康に関する事業・講座等に参加しましょう。【地域では… … 】
地域全体で子育てを支援する視点を持ち、子育て世代に優しい地域づくりに取り組みましょう。
あいさつ、声かけのさかんな地域にしましょう。
地域の人々・関係機関や団体と行政とが連携し、子どもが健やかに生まれ育ち、安全で 安心して生活できるよう地域で育み見守る地域づくりをしましょう。
3 今後の市の方向性
4 期待される市民自らの取り組み
第 2 節 母と子の健康
〔現状〕
近年、社会環境の変化から、未入籍や高齢、外国人等の妊婦が増え、育児面への影響が 見られます。
複雑な家族関係や母自身の疾患から育児に支障を来し、虐待予防も視野に入れた対応を 要する家庭も目立ちます。
未熟児出生数は毎年 7 0 〜8 0 件前後あり、その中には重篤な疾患を持ち、子どもの支援 とともに保護者の支援が必要な場合もあります。
〔本市の主な取り組み〕
発育に心配がある子どもやその保護者への支援も必要とされています。保健師・栄養士・
歯科衛生士による継続支援や専門事業の活用、専門医療機関や関係機関への紹介・連携、
関係課と連携し個別支援を行っています。
子育て支援や発達支援を行う「(仮称)こども支援センター」の開設準備を進めています。
妊娠届出時のアンケートや母親学級・両親学級により妊娠中から個別相談等の支援を行 っています。
出生後は、新生児・産婦訪問やこんにちは赤ちゃん訪問、乳幼児健康診査(4か月、1 0 か月、1歳6か月、3歳)、健康相談、離乳食教室、2 歳児歯科健康教室等の事業を行 い、必要に応じ個別フォローにより乳幼児の健全育成と保護者の育児不安の軽減に努め ています。
相談できる場所(窓口)を周知するとともに、より分かりやすい情報提供や多種多様な 情報伝達が必要です。
関係機関と情報共有を十分に行い、有効な支援に結びつけることができるよう一層の連 携が必要です。
療育を必要とする子どもとその保護者に対し、寄り添い見守る支援体制の充実が必要です。
核家族などで身近に支援者がいない家庭が多く、継続的な相談支援の充実が求められて います。
産後の育児サポートの充実が必要です。
(2)切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策
1 現状・主な取り組み
2 課 題
【わかりやすい情報提供に努めます】
妊娠・出産に関する正しい知識の普及、妊娠中の食生活や適正な体重管理、禁煙、禁酒 についての啓発を継続します。
相談先についての周知に努めます。
子どもの健全な発育・発達を促し安心・安全な生活が送れるよう、母子保健事業の機会 を捉え、事故予防の啓発に努めます。
【母子保健事業の充実に努めます】
子どもが心身ともに健康に育つよう妊婦、乳幼児を対象とする健診・教室・相談事業の 充実に努めます。
産後の育児サポートの充実等、安心して出産・子育てできる環境整備に努め母子保健事 業の更なる充実に努めます。
【関係機関との連携を図ります】
子どもの健全な発育・発達のため、医療機関や「(仮称)こども支援センター」など関 係機関との連携を図ります。
妊婦、乳幼児を対象とする健診、教室、相談事 業でのむし歯予防の取り組みの充実、
歯科医療機関との連携を図ります。
【きめ細かい支援に努めます】
関係機関が連携し、障害や慢性疾患のある子どもの支援の充実に努めます。
様々な状況にある保護者に対応できる支援を行 うとともに、保護者自身の健康管理の 支援に努めます。
【個人・家庭では… … 】
妊娠の確定診断後、早期に母子健康手帳の交付を受け、妊婦自身の記録欄や保護者の記 録欄等を記入し、常に携帯するようにしましょう。
妊婦健康診査、乳幼児健康診査等は必ず受診し、健康状態、発育・発達状況を把握し、
母と子の健康記録として母子健康手帳を活用しましょう。
妊娠中や子育て中の不安等は、一人で抱え込まずに保健センターやこども相談センター、
地域子育て支援センター、医療機関等に相談しましょう。
子どもに基本的な生活習慣を身につけさせることや、子どもの発育・発達を理解し、健 やかな成長を促しましょう。
【地域では… … 】
地域の行事に参加して仲間を作り、孤立した子育てにならないようにしましょう。
3 今後の市の方向性
4 期待される市民自らの取り組み