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本件アレルギー被害発生の蓋然性

第2章 事案の概要等

第3節 争点2(本件石けんの欠陥の有無)について

3 本件アレルギー被害発生の蓋然性

討する上での参考にはなるものの,食物等と洗顔石けんとで社会的に許容 されるアレルギー被害の程度が一致するものではないから,直ちに,本件 アレルギー被害の程度が,社会的に許容されるものということはできない。

ウ 被告悠香及び被告フェニックスは,本件アレルギー症状が重症化する者 は,特に素因の関与のある一部の者のみであることからしても,本件アレ

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ルギー被害の程度は重篤とはいえないと主張するところ,本件アレルギー に関する研究においても,症状が重篤化し,又は治癒しにくい症例につい

しかし,上記の指摘は,いずれも可能性を指摘するものにとどまり,症 状の重症化に対する素因の寄与を具体的に示すものとはいえない上,そも

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そも,洗顔石けんという本件石けんの特性上,通常のアレルギー疾患の既 往を有する者が使うことも当然に想定されるものであるから,仮に,本件 アレルギー症状の重症化又は遷延化に患者側の何らかの素因が寄与してい たとしても,そのことによって,本件アレルギー被害の重大さが左右され ることにはならない。したがって,被告悠香及び被告フェニックスの上記

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主張は採用できない。

から,本件アレルギー被害発生の蓋然性が高いとはいえないと主張する。

しかし,仮に,日本における従来型小麦アレルギーの有病率が上記のと おりであったとしても,本件アレルギー症状の発生の蓋然性の程度を検討 するに当たっては,(主に成人が)洗顔石けんを使用した結果としてアレ ルギーにり患したという点が問題になるのであって,小麦製品を摂取した

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ことにより小麦について感作が生じたことを問題とするものではないから,

被害の程度に関して イで説示したところと同様に,被告悠香及び 被告フェニックスの主張する事情は,本件アレルギー被害発生の蓋然性の 程度を評価する上で参考にはなるものの,それ自体が,本件石けんの欠陥 の有無を判断するに当たって検討すべき被害発生の蓋然性の基準となるも

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のではなく,そのことから直ちに,本件石けんが,本件アレルギー被害発 生の蓋然性の観点から,通常有すべき安全性を欠いているとの結論は左右 されない。したがって,被告悠香及び被告フェニックスの上記主張は失当 である。

イ また,被告悠香及び被告フェニックスは,本件アレルギー患者の数が多

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いのは,本件石けんの販売個数が多いことに比例しているだけである旨主 張する。確かに,前記第1節 によれば,平成20年から平成2 2年までの期間における薬用洗顔料の販売実績(金額)のうち茶のしずく 石鹸が占める割合は,他の銘柄と比較すると突出して多いといえる。

しかし,上記期間においても販売実績で合計4割以上を占めていた他の

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銘柄の薬用洗顔料を全て合わせても,本件アレルギー患者の人数に比肩す るほどの人数の使用者に本件アレルギー被害のような被害は生じていない から,他の洗顔石けんにおいて本件アレルギー被害のような大規模な健康 被害が発生していないことについて,それらの個々の製品の販売個数が少 ないことによって説明することは相当でない。したがって,被告悠香及び

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被告フェニックスの上記主張は採用できない。

ウ 被告悠香及び被告フェニックスは,アメリカ合衆国の多数の州の判例法 を踏まえると,製造物によるアレルギー被害については,当該製造物の使 用者における発生割合が少なくとも0.1%を上回らない限り,不相当に 危険とはいえないとも主張するが,そもそも,それらの法域と日本とでは,

製造物責任が認められる要件が同一ではない上,被告悠香が依拠する意見

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書(乙イB20)が紹介している事案における被害の内容は,いずれも,

本件アレルギーと異なるものである。製造物が通常有すべき安全性を欠い ているといえるための被害発生の蓋然性の程度は,当該被害の内容及び程 度等の前記第1の2で挙げた他の要素との相関関係によって変動するもの であり,常に上記の0.1%という割合を上回らない限り欠陥を肯定でき

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ないというものではない。

エ さらに,被告悠香及び被告フェニックスは,本件アレルギー被害は,本 件アレルギー患者らの過剰な免疫反応を引き起こす極めてまれな体質によ り引き起こされたとも主張する。しかし,被告悠香及び被告フェニックス の主張は,結局,上記の本件アレルギーの発症者の割合が極めてまれとい

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う評価を前提として体質にその原因を求めるものであるところ,前記 の とおり,その前提が肯定できないのであるから,同主張は採用し得ないと いうほかない。

4 本件石けんの用法

本件石けんは洗顔石けんであるから,その通常の用法は,顔の洗浄であり,

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日常的に使用することが当然に予定されているものである。そして,前記第1 によれば,本件アレルギー患者は,日常的な 使用の範囲内で本件石けんを用いて洗顔をしたことにより,グルパール19S について経皮的又は経粘膜的に感作が成立し,本件アレルギーにり患したもの と認められる。そうすると,本件アレルギー被害は,本件石けんの使用者が,

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その通常の使用方法に従って使用したことによって発生したものであるといえ

る。