第2章 事案の概要等
第6節 争点5(原告らの損害〔総論〕)について
4 原告らに生じた損害の額
以上によれば,原告らについては,精神的苦痛に係る損害及び弁護士費用に 係る損害が発生したことが認められる。そして,前記1の諸事情を考慮すると,
本件アレルギーを発症したことにより各原告に生じた精神的苦痛に対する慰謝
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料の額は,①アナフィラキシー・ショック又はこれに準ずる症状の発症がいず れも認められない者については,250万円とし,②アナフィラキシー・ショ ック又はこれに準ずる症状を発症した者については,これに50万円を加算し て300万円とするのが相当である。また,後記第4のとおり,同額から各原 告に支払われた本件見舞金の額を控除した額の1割に相当する額が,被告らの
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賠償すべき各原告の弁護士費用に係る損害の額ということになる。
第2
被告らは,本件石けんには,肌に異常が生じた場合の使用中止を促す警告表示が されていたところ,原告らが,本件アレルギー症状の発症前に前駆的な症状を発症 していたにもかかわらず,上記表示に従って本件石けんの使用を中止することなく,
その使用を継続したために,原告らが本件アレルギー症状を発症し,又は増悪させ
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たとして,過失相殺がされるべきであると主張する。
しかし, で説示したとおり,上記警告表示が想定するよう な肌の症状が発現した時点では,既にグルパール19Sによる感作が成立している と考えられる上,本件アレルギー症状の典型的な症状は,それが本件石けんの使用 により生じたものと直ちに認識し得るものではなく,さらに,上記の注意表示の内
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容も,本件アレルギーの発症又は増悪を防止するために十分な記載であったとはい い難い。これらのことからすると,仮に本件石けんを使用したことにより原告らに 何らかの肌の症状が現れていたとしても,原告らが上記表示に従って本件石けんの 使用を中止しなかったことは,原告らが本件アレルギー症状を発症し,又はその症 状が増悪したことに関して,損害の公平な分担の見地から原告らの側の過失として
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斟酌すべき事情ということはできない。
したがって,この点に関する被告らの主張はいずれも理由がない。
第3
前記第1節
側の要因として免疫応答の遺伝子要因も関与するものとされており,また,同6の
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各見解によれば,本件アレルギーについても,その発症,重症化又は治癒の遷延化 に関してアレルギーに関する素因が寄与している可能性があるものとして,その有 無及び程度等について研究が行われていることが認められる。
しかし,本件アレルギー患者のうち本件石けんの使用前から明らかに小麦アレル ギーの症状を有していた者は存在せず,アトピー性皮膚炎又は花粉症の既往症があ
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った者は本件アレルギー患者の半数程度であったとされている(同 )。
また,上記の各見解も,上記の可能性について研究が行われているとするものにと どまり,本件アレルギー患者が本件アレルギー発症以前にり患していた特定のアレ ルギー疾患による本件アレルギーの発症,重症化又は治癒の遷延化に対する寄与の 有無及び程度を具体的に明らかにするものではない。そうすると,本件アレルギー 被害発生の蓋然性(同4)及び本件アレルギー患者の中には本件石けんの使用個数
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本件アレルギーの発症,重症化 又は治癒の遷延化について,本件アレルギー患者の既往症としてのアレルギー疾患 が寄与したものとはいまだ認め難く,これを素因減額の対象となる身体的素因とし て考慮することはできないというべきである。
また,同
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されたものであり,その使用によりアトピー性皮膚炎の症状が改善した者がいると いうことも,セールス・ポイントの一つとされていたことが認められる。このこと からすると,仮にアトピー疾患を有していたことが本件アレルギーの発症,重症化 又は治癒の遷延化に一定程度寄与していたとしても,損害の公平な分担の観点から これを素因減額の対象とすることは相当でない。
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したがって,素因減額についての被告らの主張は理由がない。
第4 の可否)について
1 前記第1 (別紙4)によれば,各原告に支払われた本件見舞 金の額は,「見舞金」として支払われたもの及び「治療費等」として支払われ たもののいずれについても一律ではなく,また,「治療費等」としては,複数
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回にわたって支払を受けている者もいるのであるから,本件見舞金は,その支 払を申請した各人が申告した症状の内容及び程度並びに治療費及び交通費の額 に基づいて,各人に対する支払額が定められたものであると認められる。この ことに加え,本件見舞金のうち,各原告に「見舞金」として支払われたものの 額は5万円から40万円であり,各原告に支払われた本件見舞金の合計額は1
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万1865円から44万3961円までの範囲のものであって,その額に照ら
して儀礼的に支払われたものとはいい難いものが含まれることをも考慮すると,
本件見舞金は,本件アレルギー患者に生じた精神的苦痛を含む損害を填補する 趣旨の仮払金として支払われたものであるというべきである。
2 これに対し,原告らは,被告悠香が,示談金・解決金でないことを強調して
「見舞金」名目で本件見舞金を支払っていることから,本件見舞金は儀礼的に
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支払われたものにすぎないと主張するが,その支払によって紛争を解決するも のではないという意味での示談金又は解決金でないことと,損害の一部を填補 する趣旨の仮払金であることは両立するといえるし,また,このような仮払金 であることと,見舞金名目で支払われることも相容れないものではないから,
原告らの上記主張は採用できない。
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また,原告らは,本件見舞金の支払に際して,被告悠香の担当者が,本件見 舞金を最終の賠償額から控除しない旨の説明をしたと主張するが,仮にそのよ うな事実があったとしても,それは,あくまで被告悠香の法的責任の存在につ いては争うことを前提とした上で,法的責任が認められた場合の損害に対する 仮払金として支払うという趣旨をいうものと解するのが合理的であるから,そ
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のことにより本件見舞金と原告らの損害との間の同質性が失われるものではな く,なお公平の見地から損益相殺的な調整を図るのが相当というべきである。
原告らは,損益相殺に関する被告らの主張につき,時機に後れた攻撃防御方 法であって却下されるべきとも主張するところ,確かに,被告らの上記主張は,
本件訴訟が最初に提起された時点から5年以上が経過し,原告らの本人尋問も
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終了した後で提出された防御方法である。しかし,被告らの上記主張は,専ら 被告らの賠償すべき損害の減額調整に係るものであり,本件訴訟の経緯及び被 告らの応訴態度に鑑みると,審理の終盤の段階になって提出することもやむを 得ないとものといえる上,原告らが本件見舞金の支払の存在及びその額自体に ついては争うことを明らかにしていないことに加え,上記の認定判断にも照ら
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すと,被告らの上記主張の当否について判断するために,本件口頭弁論終結時