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アレルギー一般に関する特徴等

第2章 事案の概要等

第1節 認定事実

1 アレルギー一般に関する特徴等

物質がアレルギー反応を惹起する能力をアレルゲン性(抗原性)というと ころ,アレルゲン性は,感作される生体側の要因(免疫応答の遺伝子要因,

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栄養状態,人種等)や,アレルゲンの侵入経路(吸入,経口,非経口等),

アジュバント(抗原性の増強物質)の種類及び量,アレルゲンの量及び性状 等によって規定される。

(乙イB3の1,16の1)

アレルギー反応は,条件さえ整えばいずれの個体にも生じるもの(ツベル クリン反応等)と,同じ抗原であっても特定の個体にしか発現しないものが

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あり,後者については,その抗原に対する特定の免疫応答(IgE抗体の産 生など)を起こしやすいか否かという遺伝素因などが関係するとされている。

(乙イB3の1)

2 本件アレルギー症状の発症機序等 本件アレルギーの感作要因等

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ア グルパール19Sは,天然小麦にはない独自の抗原性を有しており,新 規の感作能という点でも,天然小麦に比べて抗原性が強い。また,グルパ ール19Sは,グルテンと同等以上の経皮感作能を有し,グルテンよりも 有意に高いアナフィラキシー惹起能を有している。

(甲B18,乙ロB5,乙ハB17,18)

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イ 従来型小麦アレルギーの患者のIgE抗体は,小麦たん白質のうち,ω

-5グリアジン(主要IgE抗体結合エピトープのアミノ酸配列は,QQ XPQQQ〔Qはグルタミン,Pはプロリン,Xは2種類以上の異なるア ミノ酸が許容される場合や,不明である場合を指す各略号〕)又は高分子 量グルテニンに反応する割合が高いのに対し,本件アレルギー患者のIg

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E抗体は,小麦たん白質のうち,γ-グリアジンに反応する割合が高く,

その主要IgE抗体結合エピトープのアミノ酸配列は,QPQQPFPQ

(Fはフェニルアラニンを指す略号)である。さらに,本件アレルギー患 者のIgE抗体は,γ-グリアジンの上記エピトープのアミノ酸配列のう ち,グルタミンをグルタミン酸(略号はE)に変換したアミノ酸配列から

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なるエピトープ(PEEPFP)に対してより強い結合を示しており,こ

れがグルパール19SのIgE抗体結合エピトープであると考えられてい る。

また,上記のアミノ酸配列におけるグルタミンとグルタミン酸の変換は,

)中の酸分解(酸加熱処理)

の工程において脱アミド化反応が起こることによって生じるものであると

5

考えられており,同工程における物性の変化がグルパール19S高い抗原 性の要因と考えられている。

(甲B20,22,23の10,30,甲総C21,乙イB11,19,2 2,23,乙イ総C4,乙ロA36,乙ロB17,27,乙ハA123,

乙ハB14から20まで,24,26)

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ウ グルパール19Sの製造過程における酸分解は,部分的加水分解であり,

高分子たん白(分子量1万以上)が残存する(低分子ペプチドの生成と同 時に一部で凝集等により大きな分子量の物質が形成される。)。このこと も,グルパール19Sの感作性が天然の小麦たん白の感作性よりも増強さ れた要因の一つと考えられており,十分に酸加熱分解されて低分子化すれ

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ば感作能が減弱し,分子量が1万以下の場合には,感作の危険性がかなり 減少するとされている。

(甲B22,23の11,乙イB22,23,乙イ総C4,乙ハA123,

乙ハB10,18,26)

エ 本件アレルギーにおいては,経皮的又は経粘膜的に,グルパール19S

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による感作が成立している。

経皮感作は,一般に,表皮のバリア機能が障害されることにより,活性 化したランゲルハンス細胞(表皮内の抗原提示細胞〔樹状細胞〕)によっ て外来抗原が能動的に取得され,当該抗原に対して特異的なIgE抗体が 産生されることで成立する。当初は,感作部位である皮膚局所において感

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作が成立し,皮膚に限局して症状(いわゆる接触蕁麻疹)が誘発されるが,

さらに当該抗原の経皮暴露が続くと,皮膚以外の臓器にも感作が及び,当 該抗原を経口摂取した場合にも症状が誘発されるようになる。上記の表皮 バリアの障害は,アトピー素因(フィラグリン遺伝子変異)といった内的 要因のほか,物理的刺激や化学的作用といった外的要因によっても生じる。

本件アレルギーについては,本件石けん中の界面活性剤により皮脂膜が

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分解され,角層が除去されて表皮バリア障害が生じたことにより,グルパ ール19Sに対し経皮的な感作が成立したものと考えられている。なお,

本件アレルギーの原因抗原となったものは,グルパール19Sのうち,分 子量が2万から2万5000までのものであると考えられる。

(甲B1,17,23の7,乙イA12,乙イB1の1,乙ロB21,乙ハ

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A17,乙ハB6,7,15)

オ グルパール19Sによる感作の成立については,前記イからエまでのほ か,本件石けんにおけるグルパール19Sの配合濃度(0.3%)が関与 した可能性や,本件石けん中の界面活性剤が感作性を増強させた可能性が あるとの見解が表明されている。また,本件石けんが洗顔石けんとして使

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用されたことによる眼球及び鼻粘膜へのグルパール19Sの大量暴露や,

毎日繰り返し,入念に洗顔を行ったことの影響も指摘されている。さらに,

元来,顔面は角層が薄く物理的刺激を受けやすい部位であり,バリア機能 が低下しやすいこと,本件石けんは,粘性に優れ,泡立ちが良いため,皮 膚に接触する時間が長くなる結果,角質剥離と角質細胞間の脱脂が促され,

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経皮・経粘膜的感作が成立しやすい条件がそろったこと等を指摘する見解 も存在する。

(甲B18,23の7,乙イB1の1,乙ハA17,25,乙ハB17,1 8)

本件アレルギー症状の誘発の機序

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本件アレルギーにおいては,グルパール19Sによって感作が成立した後,

まず,本件石けんによる洗顔時に局所の接触性蕁麻疹が誘発され,その後,

グルパール19Sと交叉反応性を有する小麦たん白が消化管又は口腔粘膜を 介して吸収され,眼瞼浮腫等の症状が発生したものと考えられている。

(甲B1,乙イA12,乙ロB16)