第4章 外部支援による実地検証
8 検証のためのアウトリーチ活動
8.3 日本教育大学協会研究助成
事業の概要
事業支援:
活動名:
助成期間:
助成額:
研究代表者:
研究分担者:
企画兼講師:
日本教育大学協会「研究助成」
21世紀の課題を取り入れた中学校教員向けSTM教授法の開発 2013年4月~2014年3月
600,000円
長南 幸安(教育学部 理科教育講座 教授)
島田 透(教育学部 理科教育講座 講師)
櫻田 安志(教育学部 理科教育講座 准教授)*アドバイザー 本間 正範(教育学研究科)*研究協力者として参加
日本教育大学協会は,例年以下に示されるカテゴリーにおいて,研究支援を実施し ている。本研究では,理科を 1 つの分断された教科としてでなく,技術,数学といった その他の教科との有機的な融合を図り,それを地域の学校と連携し具現化していくとい う目標を立て申請をし,カテゴリーIIIとして採択を受けた。検証作業を含む研修会の実 施は,8.2に示された「むつ小川原地域プロジェクト支援事業」との兼ね合いから,同事 業と同日開催とした。
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言
表 8-5: 研究助成の対象カテゴリーと重点テーマ
カテゴリー 重点テーマ
I. 修士レベル化を見据えた学士および 大学院課程の教員養成に関する研究
教員養成系大学,学部および大学院にお ける教員養成教育の質保証に関する研究 II. 附属学校園に係る教育研究 附属学校園の機能,役割(教育実習等)
の充実に関する研究
III. 地域の学校や教育委員会との連携,
協働に関する研究
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IV. その他(いじめ問題,防災復興教育 等)
今日的課題に関する研究
[日本教育大学協会, 2012]
対象者: 青森県内中学校教員
URL: 事業説明
http://www.jaue.jp/index.html
企画の全体構想
本研究では,カテゴリーIIIの「地域の学校や教育委員会との連携,協働」としての 取り組みを通じ,理科を中心に技術および数学(以下 STM : Science, Technology &
Mathematics)の要素を横断的に取り入れた教授法の開発を行う。
研究の主たる目的としては,大都市圏への人材流出や雇用機会の格差拡大といった 問題をもつ地域経済を活性化させるために,次世代を担う生徒が,21世紀の課題を常に 意識しながら,STMを学ぶことができる環境を作り出すための教授法の開発を実施する。
また,研究をより効果的なものにするために地域教育機関と連携を図るとともに,地域 経済とそれを支える教育の役割を明確にすることも目的として掲げる。
ここで示される21世紀の課題とは,情報化革命,気候変動,砂漠化,干ばつ,エネ ルギー供給,越境汚染といった,いかなる地域経済や社会にとっても軽視することので きない(もしくは影響を受けることが避けられない)グローバルな課題を示す。高度情 報化社会の現在,大多数の生徒が常日頃からメディア端末を通じ,このような課題に絡 む情報に自由に(時に意図せずとも)アクセスし,目にし,耳にすることで,自身の思
考,判断に影響を及ぼすほど潜在的な知識として蓄積されてきている。STMはこのよう な課題に取り組むためのクロスカリキュラムとして貴重な存在であり,課題解決のため のツールとして,それを活用する能力を身に付ける。すなわち,社会においてSTMの果 たす役割を実際の課題に関連付けた形で学習することが求められる。
このように,地域社会とその市民(ここでは生徒)が,21世紀の課題の中で,どの ような立場におかれ,どのような方法によってそれら課題を解決することができるかを 見い出すための能力は,「創造性」「協働性」「コミュニケーション」「情報リテラシー」「科 学的思考スキル」といった主要なコンピテンシーによって支えられる。STMに限らず学 校教育での多くの教科においてこのような能力の習得によって次世代のイノベーション が促され,地域経済に貢献できるという意識が高まりつつある。
現在の学校教育におけるSTMの学習は,理科,技術,数学という個々の教科に分離 される傾向にあるため,生徒にとって,そこから得られた知識,技能の相互連携が図り にくいといえる。したがって,21世紀の課題といった大きなビジョンを学習命題に持つ ことで,そのように分離されがちな知識,技能を有機的に統合させるための手段を新た な指導方法が必要となる。特に,学習指導要領,教科書を越えた内容に関する専門性や 革新性のある指導方法の取り込みを望む現場教員の声は大きいことから,このような要 望にも答えられる成果を挙げることが求められる。
以上示される研究においては,地域教育機関との連携,協働のもと,具体的な教材,
学習法をパッケージとして開発し,それを提供することから,研究期間終了後もそれぞ れの学校において研究成果を継続的に活用することにつながる。
採択の理由(評価表より抜粋)
1)細分化されている教科内容を有機的に統合させて,現実に生きる知識,技能を身に付 けることができるようにするための教材,学習方法の開発は,現代の教育現場におけ る重要な研究である
2)現代的課題と結びつけてSTMを学べるようにするための教員研修と,教授法の開発 を地域教育機関との連携を通して進めようとするものであり,カテゴリーIII の趣旨
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言
に合致する。
3)地域教育機関と連携を図り,研修を行いながら教授法を改善していくことは,現場に 大きく貢献することになると考える。
4)パッケージ化して開発される研究成果は,関係諸機関にとって大いに参考になること が予想され,本研究課題の意義は大きい。
5)理科離れといわれる近年の児童生徒をめぐる状況の中で,理科,技術,数学の要素を 複合した課題と,「創造性」「協働性」「コミュニケーション」「情報リテラシー」「科 学的思考スキル」といった主要なコンピテンシーの伸張に寄与するという構想は,十 分に理解でき,教科間の連携の発想からも大いに評価したい。
実施報告
日本教育大学協会発行の「日本教育大学協会研究年報」にて,実施内容と結果を含 む研究報告を掲載する予定である。