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第2章 教育リソースの投入と活用

4 科学コミュニケーション

4.2 キーコンピテンシー

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

図 4-1: ファシリテーションとアイデアの視覚化作業

図 4-2: 1960年以降の仕事形態の変化

[Autor, et al., 2003]

このような変化を伴う社会や仕事環境に,常に適応する人材を輩出し続けることが 求められる教育において,生徒が身に付けるべき主要な能力をキーコンピテンシーとし て位置付け,筆者はそれを次のように定義したい(Definition and Selection of Key Competencies[OECD, 2005]参考)。

キーコンピテンシーとは,「生徒が,単なる知識や技能の習得にとどまらず,社会,

経済,産業,環境等の様々な文脈の中で,その複雑性や相互作用性を理解し,世界,

自国,地域に影響を及ぼす課題を解決するために,習得した知識を活用し,また新し い知識を創造し,これに対応することができる能力」

本研究では,このコンピテンシーを1)創造性・イノベーションスキル,2)協働性・

コミュニケーションスキル,3)メディア・情報リテラシー,4)科学的スキルの 4つの カテゴリーで構成する。以下表4-1~4-3に個々のカテゴリーの概要と一覧を示すととも に,それらコンピテンシーを評価するためのルーブリック評価表を併せて記す。

-15 -10 -5 0 5 10 15 20 25

1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030

仕事形態の変化(%

Manual task

Routine task Abstract task

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

表 4-1: キーコンピテンシー 概要

1)創造性・イノベーションスキル:

他人の意見を尊重しながら,自ら率先してアイデアを創造し,問題解決につなげ る能力

2)協働性・コミュニケーションスキル:

多様性のあるアイデアに対し,偏見を持たずそれを共有し,異なる年齢間や背景 をもった参加者と効果的にコミュニケーションをとる能力

3)メディア・情報リテラシー:

メディアから得られる情報の意図や影響を批判的,多面的に読み取る能力

4)科学的スキル:

予備知識や仮説を基にした実験シナリオを描くことができ,それを実行する能力

表 4-2: キーコンピテンシー一覧

1) 創造性・イノベーションスキル

・ ブレインストーミング等の幅広い創造プロセスを用いることができる。

・ 付加的で抜本的,また新しく価値のあるアイデアを創り出すことができる。

・ 生み出された新しいアイデアを最大限に活用するために,自身でそれを精錬,分析,評価する ことができる。

・ 生み出された新しいアイデアを論理的に組立て,他人に対し実演し,説明することができる。

・ 新しく多様性のあるアイデアに対し,偏見を持たず,積極的に取り込み,次の学習にフィード バックすることができる。

・ 独創性と創作力に富むとともに,新しいアイデアを実社会に適用する場合の限界を見い出すこ とができる。

・ 失敗を次へのチャンスと捉え,創造性と革新性は,1 つ1つの小さな成功や失敗の繰り返しに より成り立っていることを認知できる。

・ 創造的なアイデアをイノベーションにつなげるために,具体的でかつ利用可能なアイデアに作 り上げることができる。

2) 協働性・コミュニケーションスキル

・ 口頭,筆記,プレゼンテーション等の手法で,自身の考えと新しいアイデアを明確に表現する ことができる。

・ 知識,価値,態度,意図等を理解するために適切に聞き取ることができる。

・ 他人への伝達,説明,動機付け,説得等の幅広い目的のために,双方向のコミュニケーション を取ることができる。

・ 多様なメディアや技術を用い,またそれらを効果的に使用する方法とそこから及ぼされる影響 を判断することができる。

・ 異なる年齢やステークホルダが参加する多様な環境において,効果的にコミュニケーションを 取ることができる。

・ 多様なグループ形態に応じて,互いに礼儀正しく協働作業をすることができる。

・ 共通の目標を達成するために,柔軟性や積極性を持つことで,必要な妥協点を見い出すことが できる。

・ 協働作業のための責任性を持ち,グループ内の個々人の貢献に価値を見い出すことができる。

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

3) メディア・情報リテラシー

・ 効率的かつ効果的に必要とする情報源にたどり着くことができる。

・ 得られた情報を批判的にその適合性を評価することができる。

・ 手中の課題や問題を解決するために,情報を正確にかつ創造的に使用することができる。

・ 様々な情報源から得られた情報の系統性を把握し,その流れを把握することができる。

・ 情報へのアクセスとICTの利用を取り巻く倫理性/合法性に関する基本的な理解を持つことがで きる。

・ メディア作成のための,最も適当なツールの使用法とその特性を理解し,活用することができ る。

・ 個々人の捉え方や解釈が異なることを理解し,多様で多文化の環境において,最も適切な表現 を用いることができる。

・ 調査,整理,評価,意思疎通のためにICTをツールとして活用することができる。

・ コンピュータ,PDA,メディアプレーヤ,センサといったデジタルデバイスをコミュニケーシ ョンツールとして利用することができる。

4) 科学的スキル

・ 帰納法や演繹法等の推論方法を状況に応じて適用することができる。

・ 複雑な問題の中で,個々の小さな問題が互いにどのように絡み合っているかを分析できる。

・ 調査や問題提起,仮説,設計,収集,分析,解釈といった段階を効果的に実行することができ る。

・ 情報やデータを解釈し,最良の結果を基に結論を導くことができる。

・ 異なる馴染みのない問題であっても,過去の手法や新しい独特な手法を用いてそれを解決する ことができる。

・ より良い解決策を導くために,様々な見方を明確にするための疑問を持ち,また有意な質問を することができる。

[Griffin, et al., 2012] [OECD, 2005]を参考に筆者にて編成

表 4-3: キーコンピテンシー ルーブリック評価表

カテゴリー 1 ~ 2 点 3 ~ 4 点 5 ~ 6点

1)創造性と イノベーショ ンスキル

□ 新しく多様性のあるアイデ アに対し,先入観をもって捉え てしまい,次の学習にうまくフ ィードバックすることができ ない。

□ 新しく多様性のあるアイデ アに対し,自身の考えに照らし 合わして捉えることができる ものの,次の学習にフィードバ ックすることができない。

□ 新しく多様性のあるアイデ アに対し,偏見を持たず,積極 的に取り込み,それを評価し,

次の学習にフィードバックす ることができる。

□ 大きな挑戦的課題の中で,

個々の小さな問題を,それぞれ 個別に存在する狭義の問題と して考えてしまう。

□ 大きな挑戦的課題の中で,

個々の小さな問題が互い絡み 合い影響しあっていることを 認識している。

□ 大きな挑戦的課題の中で,

個々の小さな問題が互いにど のように絡み合い,その課題を 構成しているのか,読み取るこ とができる。

2)協働性とコ ミュニケーシ ョンスキル

□ 口頭,筆記,プレゼンテー ション等を用い,自身の考えと 新しいアイデアを限定的では あるものの僅かながら表現す ることができる。

□ 口頭,筆記,プレゼンテー ション等を用い,自身の考えと 新しいアイデアを他人がおお よそ理解できる程度に表現す ることができる。

□ 口頭,筆記,プレゼンテー ション等を用い,自身の考えと 新しいアイデアを明確に幅広 く表現することができる。

□ 異なる年齢やステークホル ダが参加する多様な環境にお いて,最低限のコミュニケーシ ョンを取ることができる。

□ 異なる年齢やステークホル ダが参加する多様な環境にお いて,柔軟にコミュニケーショ ンを取ることができる。

□ 異なる年齢やステークホル ダが参加する多様な環境にお いて,率先しかつ効果的にコミ ュニケーションを取ることが できる。

□ 他人の意見を単純に受け入 れながら,それを自分のアイデ アとして利用し,問題解決につ なげることができる。

□ 他 人 の 意 見に 倣 い なが ら も,新しいアイデアを自ら創造 し,それを問題解決につなげる ことができる。

□ 他人の意見を聞き入れ尊重 しながら,自ら率先して新しい アイデアを創造し,それを問題 解決につなげることができる。

□ 様々な見方を明確にし,よ り良い解決策を導くための質 問をすることができるが,単純 に自身の疑問を解決するにと どまる。

□ 様々な見方を明確にし,よ り良い解決策を導くために,限 定的ではあるが有益な質問を することができる。

□ 様々な見方を明確にし,よ り良い解決策を導くために,自 身のみでなくグループ全体に とって有益な質問をすること ができる。