7 学習展開の具体例
7.5 動植物の呼吸と光合成,二酸化炭素濃度
■ 横断する教科 理科,社会,技術,家政
■ 学習・達成目標
1) 国際社会が抱える諸課題について関心を高め,様々な資料を適切に収集,選択して多面的,多角的 に考察し,その解決のための国際的な努力について理解する。(社)
2) インターネット,写真や統計資料等のメディアから,世界人口の増加,食料生産,森林伐採,炭素 循環等について読み取り,内容を把握する。(社,技家)
3) 持続可能な社会の実現に向けて,生物育成技術の果たすべき役割について理解を深める。(技家)
4) 持続可能な社会の構築のため生活を見直し,環境に配慮した消費生活を送るための考えをまとめる。
(技家)
5) 葉の働きについて理解し,植物のからだの各部分を,光合成,呼吸,蒸散と関連付けて捉える。(理)
6) 光合成の仕組みを理解する。(理)
7) 自然界のつり合いを理解し,自然環境を保全することの重要性を認識する。(理)
8) 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察する。(理)
■ ナレッジウェブ
人口増加,森林面積,動植物,呼吸,光合成,蒸散,化石燃料,二酸化炭素濃度,炭素循環
- ミッション1 -
■ ステートメント
二酸化炭素の排出制限は,各国の政策や思惑の違いによって,多くの場合一致した取り組みが困難で あるといえる。メディアを利用し,いくつかの国の排出量の削減に関わる先進的な取り組みや研究を調 査し,それを考察する。
■ 学習展開(例)
実行1(It,Tw-2,3): 15分
大気中の二酸化炭素濃度は,産業革命以降上昇し続けていることが広く知られている。その情報源をたどり,
どのような機関によって研究がなされ,各国はどのような取り組みを始めようとしているのか調査する。
アクティビティコード:
It = 情報伝達
Sw = シングルワーク Pl = プランニング
Co = コミュニケーション Tw = チームワーク
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/jp/history/theme/04.html [テーマから学ぶ環境問題 - NHK]
http://www.env.go.jp/earth/index.html [地球環境・国際環境協力 - 環境省] http://www.data.kishou.go.jp/climate/index.html [地球環境・気候 - 気象庁]
実行2(It,Tw-2,3): 15分
二酸化炭素に関わるビジネスや技術開発の例を調査し,生活に与える影響(メリット,デメリット)
を考察する。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3365.html [二酸化炭素が資源に 夢の人工光合成 - NHK]
http://cgi4.nhk.or.jp/eco-channel/jp/movie/play.cgi?movie=j_ohayou_20101208_0814 [CO2排出量取引で森林保護を - NHK]
― ミッション2 ―
■ ステートメント
すべての動植物は呼吸をすることによって大気中に二酸化炭素を放出する一方で,植物に限っては,
光合成をすることで二酸化炭素を吸収する役割も担う。この放出と吸収のバランスが保たれることで,
大気中の二酸化炭素濃度はある程度一定で推移してきた。しかしながら,人口増加に伴う森林面積の減 少,また特に産業革命以降,化石燃料の消費が急速に伸びたことで,大気中の二酸化炭素濃度が上昇し てきた。
大気中の二酸化炭素濃度に影響を与える,植物による二酸化炭素の吸収量は,さまざまな環境条件に よって左右される。このミッションでは,光の照度を変化させることで,植物が入った閉じた空間での 二酸化炭素濃度の変化を測定し,どのように放出と吸収のバランスが保たれるのかを調べる実験を考え,
それを実行する。
■ 学習展開(例)
実行1: 50分
▽ 実験のポイント(It,Tw-1,2)
1) 実験ではどのような植物を使用したら良いだろうか。
2) 光の照度をどのように調節したら良いだろうか。
3) 植物を入れる容器内の二酸化炭素濃度をどのように測定したら良いだろうか。
コンピテンシーコード:
1. 創造性・イノベーションスキル 3. メディア・情報リテラシー
2. 協働性・コミュニケーションスキル 4. 科学的スキル
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言
▽ 利用可能な実験器具
スタンド,クランプ,ビーカー(200 mL),ゴム栓,アルミホイル,透明容器,植物,蛍光灯,マルチ 理科センサ(照度測定),二酸化炭素センサ
▽ シナリオ作成(Tw,Pl-1,2)-上記各ポイントに対応(グループによって異なる)
1) 実験では,蛍光灯を用いて一方向から光を照射するため,できるだけ葉の面積が広い植物を用いる。
2) 照度は,光源と植物の距離によって調節する。暗室状態は,アルミホイルで容器を包むことで,光 の当たらない状態を再現する。
3) 植物の入っていない容器上部に二酸化炭素センサを差し込み,その状態を400 ppmとし校正する。
その後植物を入れ,それぞれの照度ごとに,二酸化炭素濃度の変化を測定する。
▽ 実験手順の実行(植物の光合成速度の測定)(Tw-2,4)(グループによって異なる)
1) 透明容器に植物を入れる。
2) 二酸化炭素センサを容器上部に取り付ける。
3) 容器の周りをアルミホイルで覆う。
4) 濃度変化を示すグラフを予想する。
5) 二酸化炭素センサの校正をする。
6) 濃度データの測定を開始する。
7) 5分程度測定したら停止ボタンを押し,アルミホイルを外す。
8) グラフの傾きを求め,容器内の濃度の変化率(CO2 ppm/sec)として記録する。
9) 照度を変え,同様の作業を繰り返す。
10) 測定結果を用いて,光合成速度を算出する。
11) それぞれの測定環境における照度を測定する。
12) 光合成速度-照度グラフを作成し,光補償点を求める。
容器内の植物に光を当てた時のCO2濃度の変化
アクティビティコード:
It = 情報伝達
Sw = シングルワーク Pl = プランニング
Co = コミュニケーション Tw = チームワーク
光合成の化学反応式は次のように示すことができる。実験で得られた光合成速度を用いて,1 時間で 光合成によって生成されるグルコースと酸素の量(g)を計算によって求める。(変換効率は100 %とす る)
6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6O2 + 6H2O 二酸化炭素 水 グルコース 酸素 水
― 学習のまとめ ―
産業革命,化石燃料,世界人口の増加,二酸化炭素濃度,呼吸,光合成,光合成速度,人口光合成,
光の強さ等の学習した事柄を用いて,得られたこと,考えさせられたこと,そして思い付いたことをま とめる。
[それぞれのミッションで使用したメディア画像は著作権の理由から,掲載していない]
参考までに,実験手順の構築には生徒の習得レベルに応じた指導が求められるが,
本実践では次の 3 通りの構築方法をもって,そのレベルに合わせるよう工夫することが できる。構築のための時間に余裕が無い場合には,適宜方法を変更することも考えられ る(後述される2013年度研修会は,教員向けとして方法1が適していたものの,時間の 関係から方法2を用いた)。
方法 1 :
仮説から始まり,使用する器具,組み立て,手順等,生徒自身が全ての事案をグループ 内の協働作業を通じ構築し,それを実行する。
コンピテンシーコード:
1. 創造性・イノベーションスキル 3. メディア・情報リテラシー
2. 協働性・コミュニケーションスキル 4. 科学的スキル
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言
方法 2 :
使用する器具とその組み立てはあらかじめ示しておき,手順を任意に配列したカードを 配布,もしくは情報端末に配信することで,それをグループ内で並べ替え,実行に移す。
方法 3 :
方法2同様,使用する器具とその組み立てはあらかじめ示す。正しい手順のいくつかの 項目を空欄にしておき,どのような作業を行えば良いかをグループ内で考え,それを実行 する。
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言