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学習到達度調査( PISA )

第1章 社会的背景の調査

3 国際学力調査からの視点

3.1 学習到達度調査( PISA )

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

以上を含む科学的能力の領域は,次の3領域にまとめられる。

・ 科学的能力(第1領域): 科学的な疑問を認識すること

・ 科学的能力(第2領域): 現象を科学的に説明すること

・ 科学的能力(第3領域): 科学的証拠を用いること

2006年のPISAにおいて,このような科学的リテラシーを評価するための能力試験 ならびにアンケート調査が実施された。上記 3 領域において生徒の平均得点が最も高 かった国はフィンランドであり,日本の科学的能力の結果はそれぞれ8位,7位,2 位という結果であったが,上位数カ国の中での統計上の有意差はないとされる [国立 教育政策研究所, 2006]。以下に,総合スコア(全体)とともに,個別の科学的能力のス コアを示す。なお,括弧表記の国や地域は,OECDに加盟していないパートナー参加と いう位置付けになる。

表 3-1: 科学的能力の評価領域 平均得点(上位10カ国・地域比較)

No. 科学的リテラシー

全体(総合) 得点 「科学的な疑問を

認識すること」 得点 「現象を科学的に説明すること」 得点 「科学的証拠を用いること」 得点

1 Finland 563 Finland 555 Finland 566 Finland 567

2 Hong Kong 542 New Zealand 536 Hong Kong 549 日本 544

3 Canada 534 Australia 535 (Chinese Taipei) 545 (Hong Kong) 542

4 (Chinese Taipei) 532 Netherlands 533 Estonia 541 Canada 542

5 Estonia 531 Canada 532 Canada 531 Korea 538

6 日本 531 Hong Kong 528 Czech Republic 527 New Zealand 537

7 New Zealand 530 Liechtenstein 522 日本 527 Liechtenstein 535

8 Australia 527 日本 522 Slovenia 523 Chinese Taipei 532

9 Netherlands 525 Korea 519 New Zealand 522 Australia 531

10 Liechtenstein 522 Slovenia 517 Netherlands 522 Estonia 531

OECD平均は500点 / )表記はOECD非加盟国・地域

[OECD, 2007]

筆者は,2006年のPISA結果から,そのスコア自体よりもむしろ生徒の価値観や動 機付けといった,学習と将来への展望を強く持つ上で必要な内面的な要素に着目し,本 研究で提案される学習展開の構築への参考とした。

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

全体的な傾向としては,多方面で指摘されている通り,日本の生徒の学力は高いも のの,一方で,科学の価値観,自己概念,将来性,動機付けといった点でOECD各国と 比較すると大きな開きがあることが分かる。これらは,生徒が新規学校卒業生として,

社会,産業の中で生産活動に関わる際に,自身が学んできたことを効率的に展開する手 段を導き出すために重要な要素である。このような背景から,教育と産業との接続性を より強く確保するために,また,就職後の短期間での離職や仕事とのミスマッチの解消 のためにも,現代の社会環境や生徒の周辺領域に合わせる形の教授法とその最適化が求 められていることは容易に推測できる。

次に,いくつかの評価領域に分けて,統計を用いた分析の詳細を示したい。( [OECD,

2007]を基に筆者にて編成)

科学における一般的な価値観

自然界を理解するため,生活水準の改善につながるため,といった科学を学ぶこと の有用性について,肯定的に考える生徒の割合は,OECD平均よりも10 %程度低いもの の,全体的には大きな差異は見られない。経済の改善や社会的利益といった側面につい ても,科学の有用性としては,概ね肯定的に捉えられている。

肯定的(強く同意もしくは同意)な生徒の割合 日本 OECD 平均 A) 科学は,我々が自然界を理解するために有用である。 81 % 93 % B) 科学技術の発展は,我々の生活水準の改善につながる。 87 % 92 % C) 科学は,社会にとって価値がある。 81 % 87 % D) 科学技術の発展は,経済の改善につながる。 81 % 80 % E) 科学技術の発展は,通常,社会的利益をもたらす。 76 % 75 % AE項目の平均 81 % 85 %

図 3-1: 科学における一般的な価値観

Australia

Austria Belgium

Canada

Czech Republic

Denmark

Finland

France Germany

Greece Hungary

Iceland

Ireland

Italy 日本

Korea

Luxembourg

Netherlands New Zealand

Norway

Poland

Portugal Slovak Republic Spain

Sweden Switzerland

United Kingdom

United States OECD平均

Chinese Taipei Estonia

Hong Kong-China

Liechtenstein

Slovenia

460 480 500 520 540 560 580

75 80 85 90 95 100

PISAスコア

科学における一般的な価値観(AE項目の平均)(%)-破線はOECD平均を示す

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

科学における個人的な価値観

科学が自分自身にとってどれだけの価値を持つかというこの領域では,卒業後や成 人になってからの科学の有用性や価値観について,OECD平均に比べ10~20 %程度低い 結果となっている。自らの生活や将来に科学を関連付けている生徒が全体の半数程度に 収まっていることになる。

肯定的(強く同意もしくは同意)な生徒の割合(%) 日本 OECD 平均 A) 科学は,私が身の回りの現象を理解するために有用である。 67 % 75 % B) 私は成人になったら,科学を様々な方法で使用するだろう。 44 % 64 % C) 科学のいくつかの概念は,私が他人にどのように関係しているかを見い出す

ために有用である。 54 % 61 %

D) 私が卒業したら,科学を使う機会はたくさんあると思う。 48 % 59 % E) 科学は,私に関連していると思う。 61 % 57 % AE項目の平均 55 % 63 %

図 3-2: 科学における個人的な価値観

Australia

Austria Belgium

Canada

Czech Republic

Denmark

Finland

France Germany

Greece Hungary

Iceland

Ireland

Italy 日本

Korea

Luxembourg Netherlands

New Zealand

Norway

Poland

Portugal Slovak Republic

Spain Sweden Switzerland

United Kingdom

United States OECD平均

Chinese Taipei Estonia

Hong Kong-China

Liechtenstein

Slovenia

460 480 500 520 540 560 580

45 50 55 60 65 70 75 80 85 90

PISAスコア

科学における個人的な価値観(AE項目の平均)(%)-破線はOECD平均を示す

科学における自己概念

自己の能力や学びについて問うこの領域では,全項目にて,OECD平均を大きく下 回る結果となっている。この種の質問は,生徒がどれだけ自信をもっているかを読み取 ることにもつながる反面,生徒の性格(自己肯定感が強いかどうか)によって大きく左 右されると考えられる。科学に関する新しいアイデアやトピックを理解することについ て特に水準が低く,肯定的な回答結果は10 %強ということで,ほぼすべての生徒が科学 の学習は難しい(もしくは自信がない)と感じている。

肯定的(強く同意もしくは同意)な生徒の割合(%) 日本 OECD 平均 A) 学校の科学に関連するテストでは,私はたいてい良い回答をすることができる。 29 % 65 % B) 学校で教わっていることは,私はとても良く理解できる。 38 % 59 % C) 私は,学校の科学に関連するトピックをすぐに学ぶことができる。 25 % 56 % D) 学校の科学では,私は容易に新しいアイデアを理解することができる。 18 % 55 % E) 私にとって,応用的な科学のトピックを学ぶことは容易である。 11 % 47 % F) 私にとって,一般的な科学のトピックを学ぶことは容易である。 13 % 47 % AF項目の平均 22 % 55 %

図 3-3: 科学における自己概念

Australia

Austria Belgium

Canada

Czech Republic

Denmark Finland

France

Germany

Greece Hungary

Iceland Ireland

Italy 日本

Korea

Luxembourg Netherlands

New Zealand

Norway Poland

Portugal Slovak Republic Spain

Sweden Switzerland United Kingdom

United States OECD平均

Chinese Taipei Estonia

Hong Kong-China

Liechtenstein Slovenia

460 480 500 520 540 560 580

20 30 40 50 60 70

PISAスコア

科学における自己概念(AF項目の平均)(%)-破線はOECD平均を示す

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

科学を学ぶことに対する動機付け

科学を学ぶことについて,前述の個人的価値観と類似ではあるが,生徒はどのよう な将来を見据えた動機付けをもっているのかをこの領域は調査している。キャリア形成 といった点,将来に渡る科学の有用性といった点で,OECD平均から10~20 %ほど低く,

科学の学習をすることで,多くの生徒が将来への展望を見い出せていないことが分かる。

肯定的(強く同意もしくは同意)な生徒の割合(%) 日本 OECD 平均 A) 私は,科学が私にとって有用であると知っているから学校で学ぶ。 42 % 67 % B) 科学の学習を努力することは,将来やりたいことの助けになるから価値がある。 39 % 63 % C) 科学を学習することは,私の今後のキャリアを良いものにするために価値がある。 41 % 61 % D) 学校の科学の授業では,私が将来仕事に就くために多くのことを学ぶ。 47 % 56 % E) 私が学校で科学を学ぶことは,将来の学業に必要であるから大切である。 42 % 56 % AE項目の平均 42 % 60 %

図 3-4: 科学を学ぶことに対する動機付け(1/2)

Australia

Austria Belgium

Canada

Czech Republic

Denmark Finland

France Germany

Greece Hungary

Iceland

Ireland

Italy 日本

Korea

Luxembourg Netherlands

New Zealand

Norway

Poland

Portugal Slovak Republic Spain

Sweden Switzerland

United Kingdom

United States OECD平均

Chinese Taipei Estonia

Hong Kong-China

Liechtenstein

Slovenia

460 480 500 520 540 560 580

40 45 50 55 60 65 70 75 80

PISAスコア

科学を学ぶことに対する動機付け(AE項目の平均)(%)-破線はOECD平均を示す

同じく動機付けに関わることで,卒業後の学業や将来の仕事について,科学の有用 性や関連性を持てずにいる生徒は多い。しかしながら, OECD平均も同様に低いことか ら,各国に共通している事案であると推察することができる。

肯定的(強く同意もしくは同意)な生徒の割合(%) 日本 OECD 平均 A) 私は,将来科学に関係する仕事に就きたい。 23 % 37 % B) 私は,高等学校卒業後も科学を学びたい。 20 % 31 % C) 私は,大人になってから科学のプロジェクトに関わりたい。 17 % 27 % D) 私は,これからの生涯,応用的な科学の分野に関わっていきたい。 23 % 21 % AD項目の平均 21 % 29 %

図 3-5: 科学を学ぶことに対する動機付け(2/2)

Australia

Austria

Belgium

Canada

Czech Republic

Denmark Finland

France Germany

Greece Hungary

Iceland Ireland

Italy 日本

Korea

Luxembourg

Netherlands New Zealand

Norway

Poland

Portugal Slovak Republic Spain

Sweden

Switzerland United Kingdom

United States OECD平均

Chinese Taipei Estonia

Hong Kong-China

Liechtenstein Slovenia

460 480 500 520 540 560 580

15 20 25 30 35 40

PISAスコア

科学を学ぶことに対する将来の動機付け(AD項目の平均)(%

外部支援実地検教科横断学習展社会的背景の調査教育リ投入議論と

環境に関する領域

PISAでは,環境問題についての生徒の関心や楽観性も評価項目としており,4節で取 り上げる21世紀の課題に関連する,森林伐採,酸性雨,温室効果ガス,エネルギー不足,

水資源といった多様な分野を項目に挙げている。認識や関心は概ね高いものの,楽観性 という面ではOECD平均と同じく低く,多くの生徒は,これらを将来に渡る解決困難な 課題として捉えている。

表 3-2: 環境に関する評価項目 関心のレベル

環境に関する項目が自分自身や市民にとって深刻な問題であると

思う生徒の割合(%) 日本 OECD平均

A) 大気汚染 95 % 92 %

B) 動植物の絶滅 92 % 84 %

C) 土地の開発のための森林伐採 92 % 83 %

D) エネルギー不足 92 % 82 %

E) 核廃棄物 88 % 78 %

F) 水資源不足 86 % 76 %

AF項目の平均 91 % 83 % 楽観性

環境に関する項目が今後20年程度のうちに改善するだろうと思う

生徒の割合(%) 日本 OECD平均

A) 大気汚染 20 % 16 %

B) 動植物の絶滅 16 % 14 %

C) 土地の開発のための森林伐採 16 % 13 %

D) エネルギー不足 22 % 21 %

E) 核廃棄物 17 % 15 %

F) 水資源不足 20 % 18 %

AF項目の平均 18 % 16 % [OECD, 2007]