第1章 社会的背景の調査
1 知識経済と教育投資,労働力
1.3 労働力人口の減少,過疎 - 生産性向上の課題
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言
務省統計局, 2013b]。これは平均就業年数の低下にもつながることから,労働者の生産 性を向上させるための研修等に多大な費用をかけ投資を行ったとしても,その能力を持 った人材が企業内に永続して残り還元することができるかが不透明な状況であるといえ る。このことから,大学においては,産業との接続ならびにニーズを意識した人材育成 に取り組む動きがある [文部科学省, 2012]ものの,工業,商業といった職業訓練系以外 の中等教育学校においては,そのようなニーズに一致する取り組みが十分になされてい るとはいえない。
参考までに,過疎(Underpopulation)は,過疎地域自立促進特別措置法によって,
「人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し,生産機能および生活環境 の整備等が他の地域に比較して低位にある地域」として定義される。2012年4月1日時 点での全国の過疎市町村の数は775市町村あり,これは全国1,719市町村の半数に近く,
その過疎地域の人口は全国の人口の8.1 %(約1033万人)となっている。青森県におい ては,過疎市町村の数は,40市町村の70 %にあたる28市町村であり,過疎地域に住む 人口は,県人口の21 %を超えている [青森県, 2013]。
過疎状態に陥ることで発生する問題は,生活基盤,産業基盤,自然環境,災害等多 方面にわたり,それが過疎を加速させ悪循環になりやすい。表 1-5 は,過疎地域で発生 する問題を上位から並べたものである(発生割合で40 %以上を示す) [総務省 地域力創 造グループ, 2011]。ここから,人口減少は,まず働き口の減少に伴う人口流出が主な要 因となりうること,また,それが他の問題に派生しているとも読み取ることができる。
もしくは,働き口の減少というよりは,むしろより高い付加価値(富)を生む第二次,
第三次といった高次産業の働き口を求め,人口が大都市圏へと移動するのが実態ではな いだろうか。産業の側面からのこのような過疎化への対策として,開発から始まり生産,
加工,販売といった一連の産業プロセスを組み込むことによる農業の高次化(六次産業 化)を展開することが,地域単位で積極的に推進されている。
表 1-5: 過疎地域での問題,課題の発生状況
No. 過疎地域で発生しうる問題 発生割合(%),2010
1 働き口の減少 74.5
2 耕作放棄地の増大 72.1
3 空き家の増加 67.5
4 獣害,病虫の発生 62.3
5 商店,スーパー等の閉鎖 56.5
6 森林の荒廃 52.9
7 公共交通の利便性低下 49.3
8 住宅の荒廃 44.6
9 伝統的催事の衰退 44.3
[総務省 地域力創造グループ, 2011]
以上経済と教育投資,生産性と労働力人口いう捉え方を基に,次節以降,国の人的 資本を形成する役割を担う公教育が,現在直面する諸課題について,労働市場としての 産業的視点から探求することとしたい。
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言