第1章 社会的背景の調査
2 産業,雇用形態の変移と教育
2.4 新規就業者の離職率,ミスマッチ
教育と産業の相互接続性を考える上で,新規学校卒業者の就業先に関する統計を用 いることができる。全国の高校生が卒業後にすぐに就職をする割合は,例年卒業生の20 % 前後という統計結果がある。しかしながら,この偏差は大きく,最も少ない県は,東京,
神奈川,京都の大都市圏を除くと,奈良県で10 %程度,最も多い県は,青森県で31 % を越えている(2013年3月時点)。これは,2012年度において,青森県内高等学校の全 卒業者のうち,3,000人以上が就職に進路を見い出したことになる。
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言
表 2-2: 高等学校卒業後に就職をした生徒の割合(上位10県,下位10県)
1 青森県 31.9 % 38 山梨県 15.1 %
2 佐賀県 31.0 % 39 広島県 13.8 %
3 岩手県 29.9 % 40 埼玉県 13.2 %
4 宮崎県 29.7 % 41 兵庫県 13.2 %
5 長崎県 29.6 % 42 千葉県 12.5 %
6 秋田県 29.5 % 43 大阪府 11.2 %
7 福島県 28.5 % 44 奈良県 10.9 %
8 山形県 28.2 % 45 京都府 8.4 %
9 山口県 27.8 % 46 神奈川県 7.7 %
10 鹿児島県 26.5 % 47 東京都 5.9 %
[文部科学省, 2013a]
表 2-3 に示されるように,青森県の場合,就職する生徒の内,県外に就職する生徒
の割合は40 %を超え,全国平均の18 %を大きく上回る結果となっている。また,県外
就職者の中で,北海道もしくは東北地方での就職は13 %程度にとどまり,約半数が東京 都,30 %弱が東京都を除く関東地方への就職となっている(2013年3月時点)。これは,
単純に人口流出と過疎化の要因となっているだけではなく,青森県内における教育投資 によって本来得られるはずの若い人的資源(労働者であり生産者でもある)の損失を意 味し,このことからも,教育投資から生じるアウトプットを地域内で還流するための取 り組みが必要となる。
表 2-3: 県外就職者割合と就職先地域
青森県 全国
県外就職者割合,2013 41.1 % 18.0 %
県外就職者を100とした時の就職
先地域 青森県 全国
北海道・東北 13.6 % 3.8 % 関東(東京除く) 27.9 % 18.3 %
東京 49.5 % 29.9 %
愛知 2.7 % 11.6 %
大阪 1.5 % 10.6 %
その他府県 4.5 % 25.5 %
[文部科学省, 2013a]
産業が求める人材と新規学校卒業者との間にミスマッチが生じていることは多方面 で指摘され,3節4で示す「教育の質」という国際的な指標からもそれは明らかになって いる。事実,この状況は離職率の高さとして顕著に表れており,青森県では,高等学校,
短大等,大学等卒業者が,離職する割合が全国と比較し高く,人材の定着化がなされて いない。特に1年目の離職率は,全学校区分で20 %を超え,さらに2年目,3年目にか けて,3人に1人の割合で離職していることになる。全国的にみてもこの離職率は高い傾 向にあり,雇用主にとっては,雇用するまでの求人や雇用後の社内研修等多額の投資を することにためらいをもち,より専門性の高い即戦力のある人材(経験者や派遣人員)
の採用に流れているとも捉えられる。すなわち,新規学校卒業者にとっては雇用上の悪 循環が生じており,産業界のニーズに即した人材を学校が輩出し,ミスマッチを解消し ていく手段としての教授法や学習展開が求められている。
表 2-4: 新規学校卒業者の離職率(1年目~3年目)
高等学校 2009年3月卒
(3年目)
2010年3月卒
(2年目)
2011年3月卒
(1年目)
青森県 37.3 % 37.6 % 28.2 %
全国 35.7 % 31.8 % 20.8 %
短大等 2009年3月卒
(3年目)
2010年3月卒
(2年目)
2011年3月卒
(1年目)
青森県 43.3 % 30.3 % 25.5 %
全国 39.3 % 30.3 % 19.7 %
大学等 2009年3月卒
(3年目)
2010年3月卒
(2年目)
2011年3月卒
(1年目)
青森県 31.6 % 27.8 % 21.7 %
全国 28.8 % 23.3 % 14.3 %
[青森県, 2013]
外部支援による実地検証教科横断型の学習展開社会的背景の調査教育リソースの投入と活用議論と提言