5. 実験
5.5 分析結果
63
抽出したサンプルによるプレテストの総合点の平均は、グループ Aが90.47、グル
ープBが90.47、グループCが90.53、グループDが90.58となり、標準偏差もそれぞ
れのグループの値が18.70から18.98に収まった。p =.999となり、ボンフェローニの 補正を行った上で、4 群には統計的有意な差はなかった。各グループ間の効果量も無 となり、各グループを比較する上で、より質の近い参加者が抽出されたと言える。
64 表5-7 指導前後の総合点と効果量
群 n pre post 差 U Z p 効果量r
A 80
平均値 SD
88.80 29.30
96.96
23.42 8.16 845.5 3.462 .001* .387 中 B 80
平均値 SD
90.29 28.33
93.76
26.35 3.47 1289.5 1.077 .282 .124 小 C 40
平均値 SD
86.00 27.20
95.50
25.17 9.50 189.0 2.971 .003* .470 中 D 80
平均値 SD
96.84 18.83
95.37
22.63 -1.47 1483.5 .472 .637 .053 無
*満点は160点
表 5-8 指導前後の文法点と効果量
群 n pre post 差 U Z p 効果量r
A 80
平均値 SD
2.23 1.08
2.51
.96 .28 503.0 2.942 .003* .329 中
B 80
平均値 SD
2.29 .94
2.38
.96 .09 837.0 .793 .428 .089 無
C 40
平均値 SD
2.09 .91
2.43
1.03 .34 85.5 2.529 .012* .400 中 D 80
平均値 SD
2.48 .81
2.40
.92 -.08 857.5 .642 .521 .072 無
*満点は8点
前述したように、指導前のグループ間の平均点には差があったものの、統計的には 有意ではなかった。しかし、指導前後の平均点を比べ、効果量を測定するのであれば、
グループCにおける効果量が最も大きく、グループDでの効果量がなかったのは、元々 の平均点による伸びしろの差に起因したのではないのかという疑問が残る。そこで、
抽出したサンプルでも同様の検定を行った。その結果、総合点でグループ A では p
=.011, r =.411、グループ Bではp =.346, r =.153、グループ Cではp =.009, r =.427、グ
ループ Dでは p =.750, r =.052であり、効果量の大きさは全データと抽出データの間
に変化はなかった。また、文法点の変化では、グループAではp =.044, r =.328、グル ープ Bではp =.118, r =.254、グループ Cではp =.017 r =.388、グループ Dでは p =.465,
r =.119であり、この抽出されたサンプルにおける文法点での指導前後の変化は、グル
65
ープAは効果量中、グループBは効果量小、グループCは効果量中、グループDは 効果量小と測定された。このことから、抽出されたサンプルにおいても 10 minute
writingの指導を受けたグループA とグループC の文法点の伸びは確認され、復文練
習のみのグループB、教科書の解説や練習問題に時間をかけたグループAでの効果量 は小さかったことが確認された。
表5-9 指導前後の総合点と効果量(抽出サンプル)
群 n pre post 差 U Z p 効果量r
A 38
平均値 SD
90.47 18.70
98.74
15.34 8.27 183.5 2.536 .011* .411 中 B 38
平均値 SD
90.47 18.75
93.08
22.19 2.61 289.0 .943 .346 .153 小 C 38
平均値 SD
90.53 18.95
97.87
23.50 7.34 189.0 2.633 .009* .427 中
D 38 平均値
SD
90.58 18.98
90.24
21.76 -.34 348.5 .319 .750 .052 無
*満点は160点
表5-10 指導前後の文法点と効果量(抽出サンプル)
*満点は8点
5.5.3 グループ間比較の結果
グループ内において、AとCは、総合点と文法点で伸びはみられたが、ポストテス
群 n pre post 差 U Z p 効果量r
A 38
平均値 SD
2.22 .76
2.51
.71 .29 126.0 2.019 .044* .328 中
B 38
平均値 SD
2.18 .77
2.39
.82 .21 158.0 1.564 .118 .254 小
C 38
平均値 SD
2.20 .79
2.53
.94 .33 83.0 2.389 .017* .388 中
D 38
平均値 SD
2.21 .78
2.12
.89 -.09 197.5 .731 .465 .119 小
66
トにおける各グループの得点は、他グループに対して統計的有意な差であったかどう かを、抽出サンプルを用いて、クラスカル・ワリス検定で調べた。総合点では、H (3)=5.897, p =.117、 文法点ではH (3)=.036, p =.998であった。各グループ間の差を効 果量から判断すると無または小となり、処置群として何らかのライティング活動を行 ったグループでは、効果量の大きさが中程度の伸びの見られるものもあったが、他グ ループと互いに比較したときには差はほぼなかった。また、ボンフェローニの補正の 結果、統計的に有意なグループ間の差も見られなかった。
表5-11 抽出サンプルによる指導後のグループ間の比較(総合点)
群 p Z 効果量 r
(A,B) .460 .738 .085 無
(A,C) .255 -1.139 .131 小
(A,D) .123 1.541 .177 小
(B,C) .101 -1.638 .188 小
(B,D) .595 .531 .061 無
(C,D) .031 2.158 .248 小
表5-12 抽出サンプルによる指導後のグループ間の比較(文法点)
群 p Z 効果量r
(A,B) .840 .514 .059 無
(A,C) .907 -.832 .096 無
(A,D) .970 1.729 .199 小
(B,C) .962 -1.111 .128 小
(B,D) .928 1.301 .150 小
(C,D) .932 2.106 .242 小
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図5-4 指導後の総合点分布(抽出グループ)