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総使用単語数、使用異語数、 1 文当たりの使用単語数の変化

英文エッセイに使用した総使用単語数、使用異語数、1文当たりに使用した語数は、

流暢さを知る指標となる(Fraser, 2014)。生徒1から6について、英文を書いた回数と それぞれの項目に関連があるかどうか、また、それらの項目の変化には、間違い訂正 のフィードバックの在りなしによる影響があるのかどうか、分析を行った。

生徒 1 は、英文の長さに関しては、100 語を超えることを目標としており、長く文章 を書くことは主要な目的ではなかったが、練習を重ねると、総使用単語数は徐々に増 えた。英文を書いた回数をx軸、総使用単語数をy軸とした散布図を用い、近似値線 を加えた。回帰分析を行うには、サンプルが少なく、統計的には意味の薄い分析では あるが、その近似値線の式はy=.83x+95.04と表すことができ、傾きは上昇した。相関

係数は r=.239 であった。TOEFL 問題集から選んだエッセイのテーマは、難易度に差

がないことを前提としているので、この近似値線の傾きは、書く回数を重ねることで より多くの単語を産出している傾向を示した。効果量は小(r=.239)であった。

7-2 総使用単語数を予測変数とした単回帰分析の結果(生徒1

B SEB p

練習回数 .826 .734 .239 .273

切片 95.043 10.060

7-1 練習回数による総使用語数の変化(生徒1

第5章、第6章で実験に参加した者のうち、10-minute writingに11回取り組んだグ ループAと5回取り組んだグループCの総使用単語数の平均点と練習回数の効果量の 大きさを同様に単回帰分析で調べると、グループAではy=.98x+38.97, p=.069、相関係

y =.83x + 95.04 200

4060 80 100120 140 160180

0 5 10 15 20 25

総 使 用 単 語 数

練習回数

生徒1

120

数r=.567であり、効果量は大であった。グループCの近似値線はy=2.97+27.22、p=.007

相関係数r=.930 で効果量は大であった。いずれも、回帰分析を行うにはサンプルは

少なかったが、生徒1も、前章までの結果も、書く回数に応じて書く量が増えるとい う方向は一致した。

次に、生徒1の使用異語数の変化を、総使用単語数と同様に、散布図に引いた近似 値線を用いて表すと、y=.384x+48.213 となり、使用異語数の変化を表す相関係数 r は.392で効果量は中であった。

7-3 使用異語数を予測変数とした単回帰分析の結果(生徒1

7-2 練習回数による異語数の変化(生徒1

1文当たりの使用単語数の変化は、近似値線を用いるとy=.05+12.19で表され、相関 係数rは.147であり、効果量は小であった。これらの傾きはわずかであるが、練習が 増えるにつれ、より多くの英語を書き、より多くの異語を使い、1 文はより長くなる ことを示した。

7-4 1文当たりの使用単語数を予測変数とした単回帰分析の結果(生徒1

B SEB p

練習回数 .048 .070 .147 .504

切片 12.087 .967

y = 0.38x + 48.21 0

10 20 30 40 50 60 70

0 5 10 15 20 25

使 用 異 語 数

練習回数

生徒1

B SEB p

練習回数 .384 .197 .392 .064

切片 48.213 2.700

121

7-3 練習回数による 1文の長さの変化(生徒 1

生徒2も同様に、総使用単語数の伸びを調べるために、練習回数をx軸、総語数を y軸として散布図に表した。近似値線を引くと、その式はy=1.12x+80.38で表すことが でき、回帰係数r=.303で効果量は中であった。

7-5 総使用単語数を予測変数とした単回帰分析の結果(生徒2

B SEB r p

練習回数 1.118 1.172 .303 .365

切片 80.382 7.948

7-4 練習回数による総使用単語数の変化(生徒 2)

y = 0.05x + 12.19 0

5 10 15 20

0 5 10 15 20 25

1 文 の 単 語 数

練習回数

生徒1

y = 1.12x + 80.38 0

20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

総 使 用 単 語 数

練習回数

生徒2

生徒 2 の使用異語数の伸びを調べるために、練習回数を x 軸、異語数を y 軸として

122

散布図に表した。近似値線を引くと、その式はy=.18x+52.46で表すことができ、p=.880

相関係数r=.052で効果量は無であった。

7-6 使用異語数を予測変数とした単回帰分析の結果 (生徒2

B SEB β p

練習回数 .182 1.168 .052 .880

切片 52.455 7.923

7-5 練習回数による異語数の変化(生徒2

生徒2の1文に使用した単語数の伸びを調べるために、練習回数をx軸、異語数を y軸として散布図に表した。近似値線を引くと、その式はy=.45x+13.52で表すことが

でき、p=.011、相関係数r=.506で効果量は大であった。

生徒1は総使用単語数で効果量の大きさ小(r =.239)、異語数で効果量の大きさ中(r

=.392)、1文あたりの単語数で効果量の大きさ小(r =.147)であり、生徒2 は総使用

単語数で効果量の大きさ中(r =.303)、異語数で効果量の大きさ無(r =.052)、1文あ たりの単語数で効果量の大きさ大(r =.506)となり、それぞれ伸びた部分は異なって いた。また、生徒1は20分の制限時間を使い、生徒2は、10分で書きあげることを 目標とした。しかし、生徒2も、生徒1と同様、書く量を増やすことが目的ではなか った。それにもかかわらず、4週間に11回のエッセイ練習で、書く量は増加し、総使 用単語数と1文あたりに使用した単語数は増えた。

y =.18x + 52.46 0

10 20 30 40 50 60 70 80

0 5 10 15

使 用 異 語 数

練習回数

生徒2

123

7-7 1文あたりの使用単語数を予測変数とした単回帰分析の結果

B SEB r p 練習回数 .450 .256 .506 .011

切片 13.518 1.735

7-6 練習回数による1文の長さの変化(生徒2

次に、訂正フィードバックのあった4名の生徒について、総使用単語数、使用使用 異語数、1 文あたりに使用した単語数の変化が、練習した回数と関連するのかを調べ た。この4名は、課題提出回数は、8回から14回とまちまちであった。各生徒の散布 図から得られた近似値線では、総使用単語数、使用異語数において4名とも緩やかな 正の傾きを示した。総使用単語数の伸びに対する効果量の大きさは、生徒 3 が小(r

=.221)、生徒4が中(r =.336)、生徒5が小(r =.255)、生徒6が小(r =.154)であっ た。

使用異語数の伸びに対する効果量の大きさは、生徒3が中(r =.364)、生徒4が小(r

=.239)、生徒5が小(r =.176)、生徒6が小(r =.103)であった。

1文当たりに使用した単語数の伸びに対する効果量の大きさは、生徒3が小(r =.199)、

生徒4が小(r =.238)、生徒5が中(r =.423)であった。生徒6は、1文に使用した単

語数は、切片の傾き-.05 で、練習回数に対して減る傾向を示したが、効果量の大きさ

は無(r =.071)であった。

y = 0.45x + 13.52 0

5 10 15 20 25

0 5 10 15

1 文 の 単 語 数

練習回数

生徒2

124 表7-8 近似値線の切片の傾き

生徒3 生徒4 生徒5 生徒6 練習回数 11 8 12 14 総語数

異語数 語/文

1.90 1.80 .11

1.35 .80 .33

1.13 .39 .51

.62 .18 -.05

7-9 総使用単語数を予測変数とした単回帰分析の結果(生徒3~6

B SEB p

生徒3 練習回数 1.900 2.79 .221 .513

切片 85.418 18.926

生徒4 練習回数 1.345 1.538 .336 .415

切片 57.321 7.765

生徒5 練習回数 1.129 1.353 .255 .423

切片 64.576 9.960

生徒6 練習回数 .615 1.136 .154 .598

切片 93.241 9.673

7-7 練習回数による総使用単語数の変化(生徒36) y = 1.9x + 85.4

y = 1.35x + 57.3

y = 1.13x + 64.6

y = .62x + 93.2 0

20 40 60 80 100 120 140 160

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 総

使 用 単 語 数

練習回数

Case 3

Case 4

Case 5

Case 6

125

7-10 使用異語数を予測変数とした単回帰分析の結果(生徒3~6

B SEB p

生徒3 練習回数 1.800 1.536 .364 .271

切片 49.109 10.415

生徒4 練習回数 .798 1.320 .239 .568

切片 40.036 6.666

生徒5 練習回数 .388 .686 .176 .584

切片 43.061 5.050

生徒6 練習回数 .180 .504 .103 .727

切片 56.648 4.295

7-8 練習回数による使用異語数の変化(生徒36

7-11 1文当たりの使用単語数を予測変数とした単回帰分析の結果(生徒3~6

B SEB p

生徒3 練習回数 .110 .181 .199 .557

切片 8.476 1.225

生徒4 練習回数 .335 .558 .238 .571

切片 8.307 2.818

生徒5 練習回数 .509 .345 .423 .171

切片 7.130 2.540

生徒6 練習回数 -.051 .210 .071 .811

切片 13.186 1.787

y = 1.8x + 49.1 y = .80x + 40.0 y = .39x + 43.1 y = .18x + 56.6 0

20 40 60 80 100

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 使

用 異 語 数

練習回数

Case 3 Case 4 Case 5 Case 6

126

7-9 練習回数による1文当たりの語数の変化(生徒36

自由作文が現場で取り上げられない理由の一つに、成果が表れにくいのではないか という、教師側の考え(金谷, 1993a, 1993b; 小見山, 2018)があると考えられるが、実 数での変化は小さいものの、少なくとも使用単語数による測定では、10回程度の練習 で、より多く書こうとする変化が現れた。教室外の取り組みであるため、実際の書く 速度については検証できないが、作品の語数が増えたのは、書くことに対する動機が 増し、かつ英文を書くことへの抵抗が減少したことを示していると考えられる。課題 の一部として、各自が語数を数えて記録することを指示したのは、生徒自身により多 く書こうという気持ちが育つのではないか、という狙いがあったのだが、エッセイの 長さは学期末の成績評価の対象ではなかった。長い英文を書くことが特別に指示され ていない中で、総使用単語数、使用異語数、1文あたりに使用する単語数に緩やかな 伸びが見られたのは、少なくともモティベーションか、技能か、どちらかの上昇を示 唆していると考えられる。

いずれの数字もサンプル数が少ないので、量的な統計処理は適切ではなかったが、

生徒3から生徒6の、練習回数に対する使用語数の関係は、生徒1、生徒2の変化と 同じく、練習回数が増えれば、総使用単語数は増し、使用異語数、1 文あたりの使用 単語数において、ほぼ増す方向に変化した。