5. 実験
5.4 実験前グループ間の差
各 グ ル ー プ の 正 規 性 に つ い て 調 べ る の に , コ ル モ ゴ ロ フ ・ ス ミ ル ノ フ
(Kolmogorov-Smirnov)検定を行った。その結果,グループAではp = .004,グルー
プ Bでは p =.002といずれも0.05を下回り,正規分布が認められなかった。しかし,
グループCではp = .151 グループDは p =.008となり,正規分布が認められた。この
ことにより、以後,グループ間及びグループ内を比較するのには,全てノンパラメト リック検定を用いることにした。
指導前の平均点ではグループAは88.80、グループBは90.29、グループCは86.00、
グループDは96.84とグループDが高く、他グループとは差があったが、クラスカル・
ワリス(Kruskal-Wallis)検定で4グループを互いに比較しボンフェローニ(Bonferroni)
の補正を行った。その結果、H(3) =5.34、p =.150となり、有意確率5%で、4グループ 間に統計的に見て有意な差はなかった。次に、効果量を調べるためにマン・ホイット
ニー(Mann–Whitney)の検定で、各組を調べると、A-C間、B-C間、B-D間に小程度
の効果量が見られた。プレテストにおけるライティングの点数からは、4 グループの 間に平均点の差はあるが、統計的に有意な差はなかったと考えられる。
表5-2 指導前の総合点と文法点
群 n 平均(総合点) 標準偏差 平均(文法点) 標準偏差
A 80 88.80 29.30 2.23 1.08
B 80 90.29 28.33 2.29 .94
C 40 86.00 27.20 2.09 .91
D 80 96.84 18.83 2.48 .81
平均 91.12 26.25 2.30 .95
*満点は総合点160点、文法8点
表5-3 指導前のグループ間の比較と効果量
群 p Z 効果量r 効果量d
(A,B) .846 -.192 .016 無 .051 無
(A,C) .222 1.220 .112 小 .099 無
(A,D) .272 -1.098 .087 無 .326 小
(B,C) .140 1.476 .135 小 .154 無
(B,D) .346 -.941 .075 無 .272 小
(C,D) .015 -2.430 .222 小 .463 小
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しかし、平均値の差を標準化した効果量dで比べると、AD間、BD間、CD間に小 程度の効果量が得られたのは、いずれもグループDに関連し、これは、グループDの 平均点が高いこと、得点のばらつき(標準偏差)が小さかったことに起因している。
そこで、サンプル数、平均点、標準偏差の違いが残ったままよりも、より均一な集団 である方が、グループ間比較がしやすく、グループ内の変化についても対照的にとら えやすくなると考え、サンプルを抽出した。その際、最も参加者が少なく、唯一正規 分布していると見なされたグループCの各生徒を基として、他グループからそのプレ テストの成績に近い生徒を抽出した。具体的には、グループCのプレテストの総合点 を降べきに並べ、同様に並べた他グループのものと比較し、点数の同じものを選んだ。
同じ点数がない場合は、最も近い点数を選んだが、基準となるCの点数より上の点数 を選ぶことと、下の点数を選ぶことは交互に行った。また、同じ得点を取った生徒が 他グループ内に複数いる場合は、機械的に生徒番号の後ろのものを選んだ。
新しくサンプルを抽出するにあたり、グループCのプレテストで0点であった2名 のデータは除いた。これは、指導前テストで0点を取った生徒はそれぞれのグループ に数名いたが、指導後の得点では0点から153点にまで差が広がっており、母集団の 小さな統計ではどの生徒をサンプルに選ぶかによって、与える結果への影響が大きく なる可能性があったためである。
表5-4 抽出サンプルによる指導前の総合点と文法点 群 n pre-総合点 標準偏差 pre-文法 標準偏差
A 38 90.47 18.70 2.22 .76
B 38 90.47 18.75 2.18 .77
C 38 90.53 18.95 2.20 .79
D 38 90.58 18.98 2.21 .78
*満点は総合点160点、文法8点
表 5-5 抽出サンプルによる指導前のグループ間の比較と効果量
群 p Z 効果量r 効果量d
(A,B) .897 .130 .015 無 .000 無
(A,C) .967 .042 .005 無 .003 無
(A,D) .988 .016 .002 無 .006 無
(B,C) .901 -.125 .015 無 .003 無
(B,D) .930 -.088 .001 無 .006 無
(C,D) .983 .021 .003 無 .003 無
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図5-2 指導前の総合点分布(全体)
図5-3 指導前の総合点分布(抽出グループ)
グループA グループB
グループC グループD
グループA
グループD グループC
グループB
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抽出したサンプルによるプレテストの総合点の平均は、グループ Aが90.47、グル
ープBが90.47、グループCが90.53、グループDが90.58となり、標準偏差もそれぞ
れのグループの値が18.70から18.98に収まった。p =.999となり、ボンフェローニの 補正を行った上で、4 群には統計的有意な差はなかった。各グループ間の効果量も無 となり、各グループを比較する上で、より質の近い参加者が抽出されたと言える。