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6.1 総合評価

総合評価を依頼した4名の英語母国語話者による平均点は、いずれもグループAの 方が高かった。実験校の生徒の実態を、最もよく知る当該校の ALT(評価者 1)によ るグループ Aの平均点は5.58、グループBの平均点は4.33であった。また、その他 の評価者も、グループAに対する評価の平均点が、グループBに対する評価の平均点 を上回った。

4人の英語母国語話者による総合評価の結果、全体の平均点は4.84で、グループご との平均点は、10-minute writing活動をしたグループAが5.41、グループBが4.29で あった。

41 表4-3 英語母国語話者による総合評価

*採点は10点満点である

評価者間のクロンバック(Cronbach)の信頼度係数αは 0.874であり、4人の採点 者は、統一性のある評価をしたと判断できる。そこで、グループAとグループBを比 較するのに、4人の採点者の平均点を用いた。

4-4 項目別信頼性

4-5 信頼性統計量

Cronbach のアルファ 項目の数

.874 4

サンプル数が少ないため、マン・ホイットニー(Mann-Whitne)のU検定でグループA とグループBの違いを調べた。その結果、U=92.000、Z=2.408、p=.0160r=.396と

評価者 n 平均 グループ n 最小値 最大値 平均 SD S.E. Mean

1 37 4.97 A 19 1.00 9.00 5.58 1.87 .43

B 18 1.00 7.00 4.33 1.75 .41

2 37 5.14 A 19 1.00 8.00 5.42 1.77 .41

B 18 1.00 7.00 4.83 1.54 .36

3 37 3.57 A 19 2.00 7.00 4.32 1.60 .37

B 18 1.00 5.00 2.78 1.11 .26

4 37 5.70 A 19 5.00 8.00 6.16 1.26 .29

B 18 3.00 7.00 5.22 1.17 .27

平均値 4.84 A 19 5.41 1.33 .31

B 18 4.29 1.12 .26

項目が削除され た場合の尺度の 平均値

項目が削除され た場合の尺度の 分散

修 正 済 み 項 目合計相関

項目が削除された場合 の Cronbach のアルフ ァ

評価者1 14.405 15.470 .766 .829

評価者2 14.243 17.745 .706 .848

評価者3 15.811 17.213 .826 .800

評価者4 13.676 21.003 .661 .868

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なり、2グループ間の差は統計的に有意であった。効果量は中であった。

4-6 英語母国語話者平均点による総合評価

group n 最小値 最大値 平均 SD 平均ランク 順位和

Score A 19 2.00 8.00 5.37 1.42 23.16 440.00

B 18 1.50 6.00 4.29 1.11 14.61 263.00

合計 37 4.84

4-7 総合評価の検定統計量 score

Mann-Whitney U 92.000

Wilcoxon W 263.000

Z 2.408

p .016*

r =.396 効果量 中

英語母国語話者平均による総合的評価には統計的有意な差がみられ、その効果量も 中程度であったことから、公立高等学校で用いられた10分間ライティングは、ライテ ィングの力を総合的に伸ばす上で有効な方法と言える。

6.2 分析的評価

総合評価は、客観的な文法分析とも関連性があることが研究されているが(山西, 2004; Fraser, 2014)、語数の少ない10 minute writingにもその傾向が見られるかどうか、

総使用単語数、使用文数、異語数についてグループAとグループBを比較した。語数 の数え方は、実際に書かれている単語数を数え、スペリングの間違いや、文法上の誤 りがあっても、書かれた語数と判断し、数に加えた。また省略については、it isもit’s も共に2語として数えた。これは省略の知識があることで、かえって使用語数が少な く数えられることを避けるためである。しかし、異語数を数える際には、it is と it’s は別物として数えた。また、高校生段階では単数、複数の違いや、不規則変化する動 詞について正しく知っているかどうかは英語習得状況を予測させる大きな要因でもあ

るため、boxとboxes、eatとateのように、語形の違うものはすべて異語として数えた。

以上の方法で数えた結果、書かれた英文の単語数は、全体の平均では 40.62 語、グ

ループ Aでは48.26語、グループBでは32.56語であった。文数は、全体の平均では

5.24文、グループAでは5.84文、グループBでは4.61文であった。1文あたりの使

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用語数は、全体の平均では7.7語、グループAでは8.26語、グループBでは6.88語 であった。異語数は、全体の平均では 29.32語、グループAでは33.68語、グループ

Bでは24.72語であった。

4-8 総使用単語数、文数、異語数の比較

使用文法項目数は、グループAでは平均4.21項目、標準偏差1.58、グループBで は平均3.33項目、標準偏差は1.94であった。また、その使用した文法項目上の誤りの あるものを除いて数えると、グループAでは平均4.00項目、標準偏差1.70、グループ Bでは平均2.78項目、標準偏差は1.66であった。ただし、従属接続詞becauseでは、

Because から書き始め、主節がないままにフレーズを閉じるという誤りが、多く見ら

れたが、ここでは誤りとしては数えず、理由を説明するために使用した接続詞と見な してカウントした。一方、 be 動詞・一般動詞については現在形・過去形共に使用し た文法事項としては数えなかった。これは文法項目リストでは、中学1年生に習う事 項として挙げられており、今回の課題では、参加者はbe動詞と一般動詞の違いについ て分かったうえで文章を書いていたため、中学1年生レベルにおけるbe動詞、一般動 詞の使用は身についていると判断できたからである。トピックによって、あるいは学 習者のレベルに応じて動詞、特にbe動詞の用法については注目が必要な場合もあるで あろうが、今回は村越リスト(2013)にない項目、「未来進行形」、「前置詞の目的語と しての動名詞」、「過去完了」、「関係副詞」、「仮定法」も文法上の特色ある表現として カウントする中で、be動詞や一般動詞の時制や相が正しく使用されているかどうかを チェックした。

平均 グループ n 最小値 最大値 平均 S.D S.E.Mean

単語数 40.62 A 19 9.00 97.00 48.26 17.80 4.08

B 18 4.00 49.00 32.56 12.00 2.83

文数 5.24 A 19 1.00 9.00 5.84 1.74 .40

B 18 1.00 7.00 4.61 1.42 .33

語/文 7.70 A 19 4.80 13.71 8.26 1.79 .41

B 18 4.00 12.25 6.88 2.20 .51

異語数 29.32 A 19 9.00 56.00 33.68 10.73 2.46

B 18 4.00 38.00 24.72 8.35 1.97

44 表4-9 使用文法項目数(誤りを含む)

グループ n 最小値 最大値 平均 SD S.E. Mean

A 19 2.00 7.00 4.21 1.58 .36

B 18 0.00 7.00 3.33 1.94 .46

合計 37 3.78

4-10 正しく使用した文法項目数

グループ n 最小値 最大値 平均 SD S.E. Mean

A 19 1.00 7.00 4.00 1.70 .42

B 18 0.00 6.00 2.78 1.66 .39

合計 37 3.37

グループAの平均点は、分析的評価に用いた流暢さを知る指標となり得るどの項目 においてもグループBより高かった。効果量について調べると、総使用単語数は効果

量大(r = .515)、使用文数は効果量中(r = .402)、1文当たりに使用した単語数は効果

量中(r = .403)、使用異語数は効果量中(r = .433)、使用した文法項目は効果量小(r =.227

で、p = .169であり、統計的有意差は生じなかったが、正しく使用できた文法項目数

については、効果量中(r = .326)であった。

4-11 流暢さに関わる要因の効果量

要因 群 平均 SD Mann-

Whitney U

Wilcoxon W

Z p(両側) 効果量

単語数 A 48.26 17.80 68.00 239.00 3.132 .002* .515 大

B 32.56 12.00

文数 A 5.84 1.74 94.50 265.50 2.439 .015* .402 中

B 4.61 1.42

語数/ 文数 A 8.26 1.79 90.50 261.50 2.448 .001* .403 中

B 6.88 2.20

異語数 A 33.68 10.73 84.50 255.50 2.632 .008* .433 中

B 24.72 8.35

文法項目数 A 4.21 1.58 126.50 297.50 1.376 .169 .227 小

B 3.33 1.94

文 法 項 目 数 (正のみ)

A 4.00 1.70 107.00 278.00 1.978 .048* .326 中

B 2.78 1.66

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実験前に、2 年次の「英語Ⅱ」の後期定期考査の平均点を用い、両グループの差は、

効果量は小であり、有意差はないことを確認したが、3 年次の「ライティング」の学 年末考査では、グループAの平均点は52.37、グループ Bの平均点は39.28で、両グ ループ間の効果量は中(r = .408、p = .013)となった。この学年末考査には、ライテ ィング・テストとして用いた英作文が10点分含まれているが、実際の学年末考査では、

授業を担当する日本人教員2名によって、ライティング力の調査とは別に採点された。

採点基準は、それまでの「ライティング」の定期考査と同様、生徒の書いた分量と、

内容の一貫性に応じて決められた。英作文を除く残りの90点分は、教科書中の例文、

練習問題、補助プリントから、整序作文、穴埋め作文、和文英訳の形式で出題された。

Extensive writingに取り組む以前から、グループAの方がグループBよりも考査平均

点は高かったが、学年末考査でも同じ傾向が見られた。ただし、学年末考査では、両 グループの差は有意であり(p =.013)、効果量も小(r =.213)から中(r =.408)へと変 化した。

4-12 「ライティング」学年末考査成績

group n 平均 SD 平均ランク 順位和

Score A 19 52.37 17.58 23.26 442.00

B 18 39.28 13.27 14.47 260.50

合計 37 46.00

4-13 学年末考査成績の検定統計量 score

Mann-WhitneyのU 89.500

WilcoxonのW 260.500

Z 2.478

漸近有意確率(両側) .013*

r =.408 効果量 中