7 日本の再生可能エネルギーポテンシャル評価と属性分析
7.5 中小水力ポテンシャルに関する要素の分析
7.5.1 方法
本節では、日本における中小水力ポテンシャルに関する要素の分析を行った。まず、地 域毎に中小水力ポテンシャルの評価を行った。中小水力ポテンシャルの算出は、2.5.3節の
「総年間発電電力量」の算出方法を用いた。なおここでは有望地域の抽出は行っていない。
本節の「総年間発電電力量」の算出方法では、総落差Hgから流動摩擦による水頭損失hhydr、 放水路の水頭損失htailを差し引いたものを有効落差として、総落差Hgの85%とした。
91 そして、発電設備設置前提について、下記のように評価法の設定による変動性を考慮す るために、シナリオを想定しポテンシャルの評価結果の変化を分析した。中小水力ポテン シャルを算出するにあたって、本節では、河川の低水(9ヶ月間下回ることのない流量)の 流量を基準に使用水量を算出した。まず第 3 章のシミュレーションによって算出した「河 川の年間総流出量」に対する「低水が1年を通して流出したとする水量(低水流量)」の割 合(以下、低水流量率と呼ぶ)について、本節では全河川について一定の値を与えた一方 で、それぞれの河川が20%~60%(平均40%)の値をとる可能性があることから、このシナ リオの設定において低水流量率を 30%、40%、50%とそれぞれ変化させた場合の中小水力 ポテンシャルを算出した。さらに、低水流量から、中小水力発電に利用する流量の取水率 を20%、40%とそれぞれ変化させた場合の中小水力ポテンシャルを算出した。
発電設備設置シナリオ
1.取水率20%、低水流量率30%を想定。
2.取水率20%、低水流量率40%を想定。
3.取水率20%、低水流量率50%を想定。
4.取水率40%、低水流量率30%を想定。
5.取水率40%、低水流量率40%を想定。
6.取水率40%、低水流量率50%を想定。
そして、中小水力ポテンシャルの性質に関する要素について、気象要素として発電に利 用する使用流量、有効落差そして、想定される 1 か所あたりの発電出力について分析を行 った。中小水力発電の導入を考える上では、使用水量や有効落差が大きい地点で有望とさ れる。また、使用水量や有効落差によって、適した水車が異なる。
中小水力ポテンシャルの構造分析では、GRASS GISを用いて、日本の各地域を50mメ ッシュに分割し、対象地域を以下で述べる各要素の土地属性について分類した。本研究で は、第 3 章の気象値のシミュレーションによって算出した河川流量を用いて、各河川にお いて50m間隔でポテンシャルを評価し、分類されたポテンシャルの性質毎に集計した。
中小水力ポテンシャルの分類項目をTable 7-3に示した。まず1か所あたりに想定される 発電出力の規模は発電場所によって大きく異なることから、1か所あたりに想定される発電 出力について10kW未満、10kW以上100kW未満、100kW以上1000kW未満、1000kW 以上に分類した。次に、使用水量と有効落差については、発電形態を示す指標として水車 の選定基準を参考に分類した。例えば、「小水力エネルギー読本」では、水車への適用可能 水量の目安として、プロペラ水車が 0.2~1m3/s、フランシス水車が 0.1~0.5m3/s、ぺルト ン風車が 0.03~0.1m3/sとしている 30)。また、落差については、落差5m以下:プロペラ 水車、落差5m~30m:フランシス水車、落差30m以上:ぺルトン水車を目安としている。
さらに「マイクロ水力発電ガイドブック」47)では使用水量・落差による代表的な水車の適用 範囲を示しており、これを Fig. 7-7 に示した。これらを参考に、各中小水力ポテンシャル の使用水量と落差についてTable 7-3のように分類し分析した。
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Table 7-3 中小水力ポテンシャルに関する要素の分析に用いた土地属性区分
Fig. 7-7使用水量・落差による代表的な水車の適用範囲47)
要素 土地属性
気象要素 発電規模 10kW未満の地域
10kW以上100kW未満の地域
100kW以上1000kW未満の地域
1000kW以上の地域
使用水量 0.1m3/s未満の地域
0.1m3/s以上0.5m3/s未満の地域 0.5m3/s以上の地域
有効落差 5m未満の地域
5m以上30m未満の地域 30 m以上の地域
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