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ポテンシャルの評価結果と導入実績との比較

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 76-81)

5 再生可能エネルギーポテンシャルの定量的評価 - 九州地域の例 -

5.4 ポテンシャルの評価結果と導入実績との比較

5.4.1 風力ポテンシャル評価結果と導入実績との比較

Fig. 5-6に九州の各市区町村における風力ポテンシャル(GWh/year)と事業用風力発電

施設導入容量(kW)の関係を示した。事業用風力発電施設導入容量は永続地帯 2008年版 報告書 45)から引用した。ここで、各事業用風力発電施設の年間発電電力量の実績値は一般 的に公表されていないため、導入容量(kW)と比較をした。Fig. 5-6 では風力発電が導入さ れている市区町村は、風力発電が導入されていない市区町村と比較すると少ない。その中 で導入されている市区町村に着目すると、400 GWh/year未満の風力ポテンシャルが評価さ れた市区町村の中には、8,000~20,000 kWの導入実績を持つ市区町村が存在し、その一方

で、400 GWh/year以上の風力ポテンシャルが評価された市区町村では、20,000 kW以上

の導入実績をもつ市区町村が存在するように、風力ポテンシャルが大きく評価された市区 町村で実際の導入実績が多く存在する傾向を示した。

しかし、Fig. 5-6では風力ポテンシャルが400 GWh/year以上と大きく評価されながら、

実際の導入実績がない市区町村も存在している。そこで、Table 5-4では九州の各市区町村 を風力ポテンシャルが小さく評価されたものから25市区町村ごとの階級に分け、それぞれ の階級において風力発電が導入されている市区町村数や、導入市区町村数の割合を示した。

Table 5-4では、風力ポテンシャルが 62 GWh/year以下と評価された市区町村数は、125

であり、これらの市区町村では、現状で風力発電施設の導入実績が存在しない。これに対

して62 GWh/yearより大きな風力ポテンシャルが評価された市区町村では、より大きな風

力ポテンシャルが評価されている階級において、風力発電の導入実績を持つ市区町村の割 合がより大きい傾向があった。Table 5-4では、風力ポテンシャルが62 GWh/yearより大 きく評価された市区町村の中にも風力発電施設の導入実績が無い市区町村が存在するが、

九州全体では、風力ポテンシャルが大きく評価された市区町村において風力発電施設が導 入される割合が多いことを示している。以上のように、風力ポテンシャルと現状の風力発 電の導入状況の比較において、風力ポテンシャルの大きい市区町村に対して、風力発電の 導入実績が多くなる傾向が見られた。また、風力ポテンシャルと各市区町村の風力発電の 導入の有無を調べた結果、風力ポテンシャルが小さい市区町村では導入実績がほとんど存 在しないことに対して、風力ポテンシャルの大きい市区町村では、すでに風力発電が導入 されている市区町村が多かった。

今回、各市区町村の持つ風力エネルギーの利用可能性の総量をポテンシャルとして評価 したが、ポテンシャルが大きく評価された市区町村では、風況が良好であり想定される風

68 力エネルギーの出力が大きいこと、また風力発電の導入が可能な地域の面積が広いことか ら、地域として風力利用の選択の幅が広く大きな導入可能性を有すると考えられる。これ らの特徴から、風力ポテンシャルが大きく評価された市区町村では、上述した通り導入実 績のある市区町村が多く、また中には導入総量が多い市区町村が存在すると考えられる。

この結果から、本評価法を用いて一定条件下で風力エネルギーの利用可能性の総量として 風力ポテンシャルを評価することによって、各市区町村の風力発電の利用可能性を把握す ることが可能になると考えられる。

Fig. 5-6 市区町村の風力ポテンシャルと風力発電導入容量の関係

Table 5-4 市区町村の風力ポテンシャルと風力発電導入の関係

Cumulative frequency of

municipalities 25 50 75 100 125 150 175 200 225 250 254

Upper potential in class

(GWh/year) 0 2 12 29 62 94 133 219 358 753 1063

Municipalities with installed

facilities 0 0 0 0 0 3 3 4 9 10 2

Municipalities with no

installed facilities 25 25 25 25 25 22 22 21 16 15 2

5.4.2 中小水力ポテンシャル評価結果と導入実績との比較

Fig. 5-7に九州の各市区町村における中小水力ポテンシャル(GWh/year)と揚水を除く

水力発電施設導入容量(kW)の関係を示した。揚水を除く水力発電施設導入容量は永続地 帯2008年版報告書45)から引用した。ここで、年間発電電力量の実績値は部分的にしか公開 されていないため、導入容量(kW)と比較をした。Fig. 5-7 では、中小水力ポテンシャルが

約500 GWh/year未満と結果された市区町村では、50,000 kW未満の設備容量を持つ市区

町村が多くみられる。これに対して、中小水力ポテンシャルが約500 GWh/year 以上と評 価された市区町村では、その多くが50,000~200,000kWの設備容量を持っている。中小水

69 力ポテンシャルが大きい地域で実際の導入実績が多くなる傾向が見られた。

しかし、中小水力ポテンシャルが約1,000~1,500 GWh/yearと大きく評価された市区町 村の中には、導入実績が少ない市区町村も存在している。そこでTable 5-5では、各市区町 村を中小水力ポテンシャルの小さいものから25市区町村ごとの階級に分け、それぞれの階 級において揚水を除く水力発電が導入されている市区町村数や導入市区町村数の割合を示

した。Table 5-5では、中小水力ポテンシャルの評価結果が10 GWh/year以下である市区

町村は、125市区町村存在し、これらの市区町村では、現状で水力発電施設の導入実績は3 件に留まっている。これに対して10 GWh/yearより大きな中小水力ポテンシャルをもつ市 区町村では、より大きな中小水力ポテンシャルが評価されている階級において、中小水力 発電が導入されている市区町村の割合が大きい傾向がある。Table 5-5では、中小水力ポテ ンシャルが10 GWh/yearより大きく評価されながら水力発電施設の導入の無い市区町村が 一部存在するが、九州全体では中小水力ポテンシャルの大きく評価された市区町村では発 電施設が導入される割合が多い傾向を示している。以上のように、中小水力ポテンシャル と現状の水力発電の導入状況の比較において、中小水力ポテンシャルの大きい市区町村に 対して、水力発電の導入実績が多くなる傾向が見られた。また、中小水力ポテンシャルと 各市区町村の水力発電の導入の有無を調べた結果、中小水力ポテンシャルが小さい市区町 村では導入実績がほとんど存在しないことに対して、中小水力ポテンシャルの大きい市区 町村では、すでに水力発電が導入されている市区町村が多かった。

今回、各市区町村の持つ中小水力エネルギーの利用可能性の総量をポテンシャルとして 評価したが、ポテンシャルが大きく評価された市区町村では、想定される 1 ヶ所あたりの 中小水力エネルギーの出力が大きいこと、また中小水力発電の大きな落差をとれる地点が 多く存在することから、地域として利用の選択の幅が広く大きな導入可能性を有すると考 えられる。これらの特徴から、中小水力ポテンシャルが大きく評価された市区町村では、

上述した通り導入実績のある市区町村が多く、また中には導入総量が多い市区町村が存在 すると考えられる。この結果から、本評価法を用いて一定条件下で中小水力エネルギーの 利用可能性の総量として中小水力ポテンシャルを評価することによって、各市区町村の中 小水力発電の利用可能性を把握することが可能になると考えられる。

Fig. 5-7 各市区町村の中小水力ポテンシャルと中小水力発電導入容量の関係

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Table 5-5 市区町村の中小水力ポテンシャルと中小水力発電導入の関係

Cumulative frequency of

municipalities 25 50 75 100 125 150 175 200 225 250 254

Upper potential in class

(GWh/year) 0 1 2 5 10 16 42 97 249 1091 1961

Municipalities with installed

facilities 2 0 0 0 1 8 9 14 19 23 3

Municipalities with no installed

facilities 23 25 25 25 24 17 16 11 6 2 1

5.4.3 太陽光ポテンシャル評価結果と導入実績との比較

Fig. 5-8に九州の各市区町村における太陽光ポテンシャル(GWh/year)と家庭向けの太

陽光発電設備の導入容量(kW)の関係を示した。ここで、家庭向けの太陽光発電設備の年 間発電電力量の実績値は一般的に公表されていないため、導入容量(kW)と比較をした。家 庭向けの太陽光発電設備の導入容量は永続地帯2008年版報告書45)から引用した。Fig. 5-8 では、ほぼすべての市区町村で家庭向け太陽光発電施設の導入実績が存在し、太陽光ポテ ンシャルが大きい地域で実際の導入実績が多くなる傾向が見られた。例えばFig. 5-8では、

太陽光ポテンシャルが約 30 GWh/year 前後と評価された市区町村では、中には 3,000~

4,000kWの設備容量をもつ市区町村も存在するが2,500 kW未満の設備容量を持つ市区町

村が多い。その一方で、太陽光ポテンシャルが50 GWh/year以上と評価された市区町村で

は、3,000 kW以上の設備容量を持つ市区町村が多く存在している。

今回、各市区町村の持つ家庭向け太陽光エネルギーの利用可能性の総量をポテンシャル として評価したが、ポテンシャルが大きく評価された市区町村では、家庭向け太陽光発電 の導入対象となる世帯が多く存在することから太陽光発電の利用の機会が多く、地域とし て大きな導入可能性を有すると考えられる。これらの特徴から、家庭向け太陽光ポテンシ ャルが大きく評価された市区町村では、導入総量が多い市区町村が存在すると考えられる。

この結果から、本評価法によって一定条件下で家庭向け太陽光エネルギーの利用可能性の 総量として太陽光ポテンシャルを評価することによって、各市区町村の太陽光発電の利用 可能性を把握することが可能になると考えられる。

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 76-81)