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再生可能エネルギーポテンシャル評価結果

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 70-76)

5 再生可能エネルギーポテンシャルの定量的評価 - 九州地域の例 -

5.3 再生可能エネルギーポテンシャル評価結果

5.3.1 風力ポテンシャル評価結果

九州における風力ポテンシャルの評価結果の分布をFig. 5-3に示した。Fig. 5-3 (a) では、

抽出された風力の有望地域に対して、1000kW の風車を設置した場合に予想される 1 時間 あたりの発電出力を黄色から赤色で示している。また赤い四角(□)で示したのが、NEDO 風況マップ 12)から抽出した既設風車の位置である。九州では、風力の有望地域が特定の地 域に集中して分布する結果となった。特に、長崎県、佐賀県、鹿児島県の沿岸部と大分県、

熊本県の山間部において有望地域が抽出されている。これらは風況の良好な地域である。

62 この中でたとえば、大分県や熊本県の山間部では、一部の地域が阿蘇くじゅう国立公園に 指定されており、有望地域から除外されている。また、熊本県の南部や宮崎県の北部では、

傾斜が大きい地域が多く、有望地域がまばらに抽出される結果となった。Fig. 5-3 (a) 中に 赤い四角(□)で示した既設風車は有望地域内に分布している傾向がみられた。Fig. 5-3 (b) には、九州の風力エネルギーのポテンシャルを各市区町村で集計し示した。Fig. 5-3 (b) で は年間発電電力量を算出し、単位をGWh/yearとしてポテンシャル量を示した。Fig. 5-3 (b)

では、Fig. 5-3 (a) の有望地域の抽出結果に従って、長崎県、大分県、鹿児島県の沿岸部や

熊本県や大分県の山間部に500 GWh/yearを超えるような大きな風力ポテンシャルを持つ 市区町村が評価されている。これらの市区町村では、風況が良好であり、傾斜の小さな地 形を持つことから、多くの有望地域が抽出され、風力ポテンシャルが大きく評価された。

また、熊本県の南部や宮崎県の北部の市区町村でも200 GWh/year前後の風力ポテンシャ ルが評価された。これらの地域では、風況が良好であるが、傾斜の大きい地形のため有望 地域が広く抽出されず、中・小規模の風力ポテンシャルに留まった。その一方で、福岡県 や佐賀県、長崎県、熊本県の湾(有明海)の周辺では、多くの市区町村で風力ポテンシャ

ルが100 GWh/year以下と小さく評価された。これらの市区町村は、傾斜は小さいが風況

が良好でないため有望地域があまり抽出されておらず、風力ポテンシャルは小さく評価さ れた。このように、一定条件下の風力ポテンシャル評価によって九州の風力ポテンシャル の大きい市区町村、中小規模の風力ポテンシャルを持つ市区町村の分布が明らかとなった。

九州では同じ県内であっても、地形や風況によってそれぞれの市区町村の風力ポテンシャ ルが大きく変化する傾向が見られた。

(a) 有望地域抽出結果 (b) 各市区町村のポテンシャル評価結果

Fig. 5-3 九州地域の風力ポテンシャル評価結果の分布

63

Table 5-1では、九州における風力ポテンシャルの評価結果の度数分布表を、ポテンシャ

ルが0から1100 GWh/yearの間で20の区間に分類して示した。Table 5-1では、本研究で

対象とした九州の254の市区町村のうち、ポテンシャルが0 GWh/year以上、55 GWh/year 未満と評価された市区町村数が120、そして、55 GWh/year以上、550 GWh/year未満と 評価された市区町村数が118、550 GWh/year以上1100 GWh/year未満と評価された市区 町村数が16という分布となった。この分布は、歪度は2.20、尖度は5.17であり、最頻値 が左側に偏り、右側に大きく広がった分布を示した。この分布は、九州地域には、大きな 風力ポテンシャルを持つ一部の市区町村が存在する一方で、多くの市区町村が有する風力 ポテンシャルは小規模であることを示している。この風力ポテンシャルの評価結果の分布 は、各市区町村において風力発電の利用可能性が、大きく異なることを示す結果となった。

Table 5-1風力ポテンシャルの評価結果の度数分布表

Evaluated potential range (GWh/year)

0 - 55

55 - 110

110 - 165

165 - 220

220 - 275

275 - 330

330 - 385

385 - 440

440 - 495

495 - 550

550 - 605

605 - 660

660 - 715

715 - 770

770 - 825

825 - 880

880 - 935

935 - 990

990 - 1045

1045 - 1100 Number of

municipalities 120 39 29 12 14 5 10 0 4 5 3 4 2 3 0 1 0 0 2 1

5.3.2 中小水力ポテンシャル評価結果

九州における中小水力ポテンシャルの評価結果の分布をFig. 5-4に示した。Fig. 5-4 (a) では、抽出された有望地域に対して、各50mメッシュのポイントごとに有効落差と使用水 量を基に算出した発電出力を、それぞれ赤(10~100kW)、オレンジ(100~500kW)、緑

(500~1000kW)、青(1000~2000kW)、紫(2000kW以上)で示した。まず10~100kW を示す赤のポイントは九州全域に分布し、一級河川に沿って分布しているもの(福岡県筑 後川流域など)と、二級河川であり流量は少ないがその傾斜により有望地域として抽出さ れているもの(長崎県雲仙市千々石川など)が存在している。さらに一級河川の一部では

100~500kW を示すオレンジのポイントが分布しており(福岡県筑後川流域、福岡、大分

県を流れる山国川流域など)、これは一級河川の中でも傾斜が急である地点、あるいは支流 の合流によって河川流量が増加した地点と考えられる。そして一級河川の中でも特に流量 の大きい河川(熊本県球磨川、大分、宮崎、熊本県を流れる五ヶ瀬川など)では、河川に

沿って500~1000kWを示す緑色のポイントが分布し、中には1000~2000kWを示す青色

のポイントも分布している。Fig. 5-4 (b) に、中小水力エネルギーのポテンシャルを各市区 町村で集計し示した。Fig. 5-4 (b) では年間発電電力量を算出し、単位をGWh/yearとして ポテンシャル量を示した。Fig. 5-4 (b) では500 GWh/yearを超える大きな中小水力ポテン シャルを持つ市区町村が、宮崎県や熊本県、大分県に集中して存在する結果となった。こ れらの市区町村は、球磨川、大野川、五ヶ瀬川、大淀川など流量の大きな一級河川の上流 や中流に位置し、その急峻な地形からFig. 5-4 (a)で示したように大きな出力が想定される 地域であることから、中小水力ポテンシャルが特に大きく評価された。一部の市区町村で

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は1000 GWh/yearを超える特に大きな中小水力ポテンシャルが評価された。本研究の評価

では、河川区間50 m毎の地点に対してそれぞれ評価を行うため1か所あたりの落差は小さ く、また取水率を20 %として評価していることから、出力が1か所あたり1万kWを超え るような大規模なものとして評価された地点は存在しなかった。しかし、1か所の中小水力 ポテンシャルを評価するにあたって、より大きな落差や、20 %より大きな取水率で評価し た場合、1万kWを超えるような大規模な出力が算出される可能性もある。このような大規 模な水力発電も可能なポテンシャルを持つ地点では、実際には大規模水力発電としてすで に開発されている地点も存在する。例えば球磨川、大野川、五ヶ瀬川、大淀川水系ではそ れぞれ、水系全体で658,660kW、41,190kW、137,068kW、126,850kWの水力発電設備容 量を持つ34)。次に、福岡県や佐賀県の湾(有明海)の周辺で100~200 GWh/yearの中規模 の中小水力ポテンシャルが評価された。これらの市区町村は、佐賀県の嘉瀬川、福岡県の 筑後川等、一級河川の周辺に位置するが、大分、宮崎県等の河川と比較して傾斜が小さい ことから利用できる落差が小さく、評価された中小水力ポテンシャルは少なくなっている。

また、福岡、長崎、佐賀、熊本県では、ポテンシャルが100 GWh/year未満と小さく評価 された市区町村が多かった。これらの市区町村では、流量が大きな河川を持たないため、

ポテンシャルは小さく評価されている。しかし、小規模であるが、少ない流量と傾斜の大 きい地点を利用して発電可能なポテンシャルも存在する。例えば、長崎県雲仙市では、二 級河川の千々石川の周辺で流量は少ないが傾斜が大きく落差を利用できることから、小規 模のポテンシャルが評価されている。千々石川周辺は実際に中小水力発電が導入されてい る地点でもある。このように、一定条件下の中小水力ポテンシャル評価によって九州の中 小水力ポテンシャルの大きい市区町村、中小規模の中小水力ポテンシャルを持つ市区町村 の分布が明らかとなった。九州では同じ県内であっても、地形と河川の位置によってそれ ぞれの市区町村の中小水力ポテンシャルが大きく変化する傾向が見られた。

Table 5-2では、九州における中小水力ポテンシャルの評価結果の度数分布表を、ポテン

シャルが0から2000 GWh/yearの間で20の区間に分類して示した。Table 5-2では、本研

究で対象とした九州の 254 の市区町村のうち、ポテンシャルが 0 GWh/year 以上、100

GWh/year 未満と評価された市区町村数が 202、そして、100 GWh/year 以上、1000

GWh/year未満と評価された市区町村数が42となり、1000 GWh/year以上2000 GWh/year

未満と評価された市区町村数が10という分布となった。ここで、中小水力ポテンシャルの 評価結果の分布は、歪度は 3.65、尖度は 15.05であり、最頻値が左側に偏り、右側に大き く広がった分布を示した。この評価結果の分布は、風力ポテンシャルの評価結果の度数分 布と同様に、九州地域には、大きな中小水力ポテンシャルを持つ一部の市区町村が存在す る一方で、多くの市区町村が有するポテンシャルは小規模であることを示している。各市 区町村において中小水力発電の利用可能性が、大きく異なることを示す結果となった。

65 (a) 有望地域抽出結果 (b) 各市区町村のポテンシャル評価結果

Fig. 5-4 九州地域の中小水力ポテンシャル評価結果の分布

Table 5-2 中小水力ポテンシャルの評価結果の度数分布表

Evaluated potential range (GWh/year)

0 - 100

100 - 200

200 - 300

300 - 400

400 - 500

500 - 600

600 - 700

700 - 800

800 - 900

900 - 1000

1000 - 1100

1100 - 1200

1200 - 1300

1300 - 1400

1400 - 1500

1500 - 1600

1600 - 1700

1700 - 1800

1800 - 1900

1900 - 2000 Number of

municipalities 202 18 6 7 3 2 2 3 1 0 6 1 0 2 0 0 0 0 0 1

5.3.3 太陽光ポテンシャルの評価結果

九州における太陽光ポテンシャルの評価結果の分布をFig. 5-5に示した。Fig. 5-5 (a) で は、色の濃い部分で太陽光エネルギーの有望地域を示した。Fig. 5-5 (a) では、日射の良好 な地域の居住地域を反映し、福岡県、佐賀県、熊本県、鹿児島県など各県の県庁所在地を 中心とした都市部が有望地域として抽出された。なお、風力や中小水力の評価では各地点 の発電出力を推定したが、太陽光ポテンシャルの評価ではシステム利用率を一定(12%)と しているため、有望地域内の各家庭に定格出力1kWの太陽光発電設備を導入した場合に想 定される発電出力は0.12 kWで一定という想定である。そして、Fig. 5-5 (b) に太陽光エネ ルギーのポテンシャルを各市区町村で集計し示した。Fig. 5-5 (b) では年間発電電力量を算 出し、単位をGWh/yearとしてポテンシャル量を示した。Fig. 5-5 (b) では100 GWh/year を超える大きな太陽光エネルギーのポテンシャルを持つ市区町村が、Fig. 5-5 (a) の有望地 域の抽出結果に従って熊本県や宮崎県、鹿児島県の県庁所在地に位置している。これらは、

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