8 土地属性に基づく多様な再生可能エネルギーポテンシャルの分類と定量化
8.1 再生可能エネルギーポテンシャルの定量的評価
まず、日本に賦存する各再生可能エネルギーポテンシャルを定量的に評価した。年間発 電電力量の算出式は、第7章と同様に風力発電の標準状態の年間発電電力量の算出式(2-1)、 中小水力発電の総年間発電電力量の算出式(2-10)、太陽光発電の総年間発電電力量の算出 式(2-13)を用いた。
そして、各再生可能エネルギーポテンシャルの算出の際の発電設備のシナリオは、第 7 章で用いたたものの中から、それぞれ下記のシナリオを利用した。それぞれ控えめのシナ リオを選定した。
風力発電設備設置シナリオ
定格出力2000kW の風車を利用。対象地域に卓越風向がない場合の風車の設置密度の
推奨値である10D×10D(D;ロータ直径)を想定した(7.4.1節のシナリオ1)。
中小水力発電シナリオ
取水率20%、低水流量率40%を想定した(7.5.1節のシナリオ2)。
家庭向け太陽光発電設備設置シナリオ
1 世帯当たり設置面積 10m2 (約 1kW)集合住宅を想定した(7.6.1 節のシナリオ 1)。
大規模太陽光発電設備設置シナリオ
土地利用率0.1%を想定した(7.6.1節のシナリオ1)。
次に、各再生可能エネルギーを分析するにあたって、それぞれの再生可能エネルギーポ テンシャルの中には第 7 章で指摘したように非常に多様な属性の組み合わせのポテンシャ が存在すると考えられる。そこで、本章では、各再生可能エネルギーをその属性によって 分類する前に、分析対象を絞り込む作業を行った。今回の分析では、分析対象を現状でよ
111 り活用の可能性が高いと考えられる再生可能エネルギーポテンシャルに限定した。各エネ ルギーの絞り込みの条件は、下記のとおりである。
風力エネルギーポテンシャルの分析対象
・標高1000m以下の地域に賦存している。
・最大傾斜量が20度以下の地域に賦存している。
・高度70mにおける年間平均風速が6.0m/s以上である。
・居住地域から500m以上離れた地域に賦存している。
・道路からの距離が200m未満の地域に賦存している。
中小水力エネルギーポテンシャルの分析対象
・標高1000m以下の地域に賦存している。
・発電に5m以上の落差を利用できる。
・想定される発電所1か所あたりの出力が10kW以上である。
・道路からの距離が200m未満の地域に賦存している。
大規模太陽光エネルギーポテンシャルの分析対象
・標高1000m以下の地域に賦存している。
・水平面全天日射量の日積算量年平均値が3300Wh/m2/day以上である。
・傾斜面方位が南、東、西のいずれかである
・道路からの距離が200m未満の地域に賦存している。
・人口密度が4000人/km2未満である(人口集中区でない)
家庭向け太陽光エネルギーポテンシャルの分析対象
・標高1000m以下の地域に賦存している。
・水平面全天日射量の日積算量年平均値が3300Wh/m2/day以上である
・傾斜面方位が南、東、西のいずれかである
・道路からの距離が200m未満の地域に賦存している。
8.1.2 風力ポテンシャルの評価結果
日本に賦存する風力ポテンシャルを定量的に評価し、8.1.1節で示した条件によって限定 した結果をFig. 8-1に示した。第7章で評価したシナリオ1における日本の風力ポテンシ
ャルは約 1,770,000GWh である。本節では、より有望なポテンシャルの分析を行うことを
目的として、分析対象の絞り込みを行った。標高が高い地点での風力開発は初期投資コス トの増加を招くこと、そして日本において標高1000m以上の風力ポテンシャルが少数であ ることから、標高1000m以上の地域のポテンシャルを分析対象から除外した。次に、最大 傾斜量について、傾斜の大きい地点における風力開発が困難であることから、分析対象か ら除外した。次に、より風況が良好なポテンシャルを分析対象とするため、高度70mにお ける年間平均が6.0 m/s未満の地域のポテンシャルを分析対象から除外した。さらに、近年
112 風力発電所周辺において健康被害を訴える声が発生していることから、居住地域とその周 辺 500m の距離の風力ポテンシャルを分析対象から除外した。最後に、初期投資コストの 増加を避けるため道路から 200m 以上離れた地域のポテンシャルを除外した結果、本節で 分析対象とするポテンシャルは日本で約158,000GWh存在する結果となった。
Fig. 8-1 風力ポテンシャルの絞込み結果
8.1.3 中小水力ポテンシャルの評価結果
日本に賦存する中小水力ポテンシャルを 8.1.1 節で示した条件によって限定した結果を
Fig. 8-2に示した。第7章で評価したシナリオ2における日本の中小水力ポテンシャルは約
245,000GWhである。本節では、より有望なポテンシャルの分析を行うことを目的として、
分析対象の絞り込みを行った。まず、標高が高い地点での開発は初期投資コストの増加を 招くこと、そして日本において標高1000m以上の中小水力ポテンシャルの占める割合が少 ないことから、標高1000m以上の地域のポテンシャルを分析対象から除外した。次に、よ り落差の大きい中小水力ポテンシャルが有望であることから落差が 5m 未満のポテンシャ ルを除外した。同様に、想定される出力が 10kW 未満の規模の小さいポテンシャルも除外 した。最後に、初期投資コストの増加を避けるため道路から 200m 以上離れた地域のポテ ンシャルを除外した結果、本節で分析対象とするポテンシャルは日本で約130,000GWh賦 存する結果となった。
113
Fig. 8-2 中小水力ポテンシャルの絞込み結果
8.1.4 大規模太陽光ポテンシャルの評価結果
日本に賦存する大規模太陽光ポテンシャルを8.1.1節で示した条件によって限定した結果
をFig. 8-3に示した。第7章で評価したシナリオ1における日本の太陽光ポテンシャルは
約55,300GWhである。本節では、より有望なポテンシャルの分析を行うことを目的として、
分析対象の絞り込みを行った。まず、標高が高い地点での開発は初期投資コストの増加を 招くこと、そして日本において標高1000m以上の太陽光ポテンシャルの占める割合が少な いことから、標高1000m以上の地域のポテンシャルを分析対象から除外した。次に、より 大きい日射量が得られるポテンシャルが有望であることから水平面全天日射量の日積算量 の年平均値が 3,300Wh/m2/day 未満であるポテンシャルを除外した。同様に、周辺地形の 影響によって日射量が小さくなる可能性がある傾斜面方位が北のポテンシャルを除外した。
さらに大規模太陽光の導入には大きな面積が必要となるため、都市地域の人口集中区のポ テンシャルを分析対象から除外した。最後に、初期投資コストの増加を避けるため道路か ら 200m 以上離れた地域のポテンシャルを除外した結果、本節で分析対象とするポテンシ ャルは日本で約18,300GWh賦存するものとなった。
8.1.5 家庭向け太陽光ポテンシャルの評価結果
日本に賦存する家庭向け太陽光ポテンシャルを8.1.1節で示した条件によって限定した結
果をFig. 8-4 に示した。第7章で評価したシナリオ1における日本の太陽光ポテンシャル
は約71,800GWhである。本節では、比較的有望なポテンシャルの分析を行うことを目的と
して、分析対象の絞り込みを行った。まず、標高が高い地点での開発は初期投資コストの 増加を招くこと、そして日本において標高1000m以上の太陽光ポテンシャルの占める割合 が少ないことから、標高1000m以上の地域のポテンシャルを分析対象から除外した。次に、
より大きい日射量が得られるポテンシャルが有望であることから水平面全天日射量の日積 算量の年平均値が 3,300Wh/m2/day 未満であるポテンシャルを除外した。同様に、周辺地 形の影響によって日射量が小さくなる可能性がある傾斜面方位が北のポテンシャルを除外 した。最後に、初期投資コストの増加を避けるため道路から 200m 以上離れた地域のポテ
114 ンシャルを除外した結果、本節で分析対象とするポテンシャルは日本で約51,600GWh賦存 するものとなった。
Fig. 8-3 大規模太陽光ポテンシャルの絞込み結果
Fig. 8-4 家庭向け太陽光ポテンシャルの絞込み結果
8.2 再生可能エネルギーポテンシャルの属性分類評価