• 検索結果がありません。

まとめと考察

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 115-119)

7 日本の再生可能エネルギーポテンシャル評価と属性分析

7.6 太陽光ポテンシャルに関する要素の分析

7.6.4 まとめと考察

106 満のポテンシャルである傾向を示した。その一方で中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄 の大規模太陽光ポテンシャルはその大部分が 3300Wh/m2/day 以上のポテンシャルとなっ た。

(a) (b)

Fig. 7-13 日本各地の大規模太陽光ポテンシャルの分析結果(シナリオ1)

107

(約5%)、300人以上4000人未満の地域のポテンシャルが26,600GWh(約37%)、 4000 人以上の地域のポテンシャルが 41,100GWh(57%)と、人口密度の大きい 地域への集中傾向が顕著である傾向を示した。

 人口密度と傾斜面方位との関連に着目すると、人口密度の大きい地域において、

傾斜面方位が南と東の家庭向け太陽光ポテンシャルがより大きい割合を示す傾向 を示した。

 家庭向け太陽光ポテンシャルの分布傾向として、関東と近畿地域にそれぞれ

24,100GWh、12,800GWh と大きな家庭向け太陽光ポテンシャルが分布している

傾向を示した。

家庭向け太陽光ポテンシャルの分析では、都市地域に多くの家庭向け太陽光ポテンシャ ルが賦存すると考えられる。都市地域は7.3節の日本の再生可能エネルギーに関する共通要 素の分析結果では大きな割合を示さなかった地域である。また指定地域状況は、農業地域 では戸建住宅が多い等の人口密度との関連が考えられる。

家庭向け太陽光ポテンシャルに関する要素を分析した結果からは、家庭向け太陽光ポテ ンシャルの人口密度の大きい地域への集中傾向が明らかとなった。さらに、人口密度の高 い地域では傾斜面方位が南と東の家庭向け太陽光ポテンシャルがより大きい割合を示す傾 向があり、多くの日射量を得やすい環境にあると考えられる。各地域の家庭向け太陽光ポ テンシャルの分布傾向をみると、関東や近畿地方では、人口密度が 4000 人/km2以上の地 域への家庭向け太陽光ポテンシャルの集中傾向が顕著である一方で、中部や九州といった 地域では、人口密度が日本平均の300人/km2以上4000人/km2未満の地域に多くの家庭向 け太陽光ポテンシャルが賦存している傾向が明らかになった。関東や近畿地方では、その 人口密度の高さ(4000人/km2以上の地域が多い)から居住形態は主に集合住宅であると考 えられる。そのため、新たに集合住宅に太陽光発電設備を普及させる方策が一般化すれば、

多くの家庭向け太陽光ポテンシャルが可能用可能になると期待される。これに対して、中 部や九州では戸建住宅も多く存在すると考えられるため、今後従来の戸建住宅向けの太陽 光発電設備の普及が期待される。さらに、全天日射量は北部地域(北海道、東北、北陸)

で小さく、南部地域(中部、近畿、中国、四国、九州)で大きい傾向がみられた。また、

各地の傾斜面方位を分析すると、居住地域では東や南斜面の居住地域が多いものの、四国 や北陸で南向き斜面におけるポテンシャルが少ないなど、地域的な特徴が現れる結果とな った。

大規模太陽光ポテンシャル

 日本の大規模太陽光ポテンシャルを評価した結果、もっとも土地利用率を小さく 想定した場合のシナリオ1(土地利用率 0.1%)において約 55,000GWh、もっと も土地利用率を大きく想定した場合のシナリオ4(土地利用率 10%)において約

5,500,000Whとなり、シナリオ4では、シナリオ1の約100倍の値と大きな増加

を示した。

 家庭向け太陽光のポテンシャルと比較すると、大規模太陽光ポテンシャルは

108

3300Wh/m2/day 未満のポテンシャルの占める割合が増え、3300Wh/m2/day 以上

3600Wh/m2/day未満のポテンシャルが占める割合が減少した。

 傾斜面方位については南斜面に多くの大規模太陽光ポテンシャルが賦存する結果 となった。

 大規模太陽光ポテンシャルは人口密度が小さく、広い土地を有する地域に集中し て賦存する傾向を示した。

 人口密度が小さい地域では全天水平面日射量が 3,300Wh/m2/day 未満のポテンシ ャルが占める割合が多くなっている傾向を示した。

 面積の広さから北海道と東北地域に大きな大規模太陽光ポテンシャルが賦存する 結果となった。

大規模太陽光ポテンシャルの分析では、まず7.3節の日本の再生可能エネルギーに関する 共通要素の分析結果からは、森林地域、農業地域、保護・保全地域(自然保全地域、自然 公園地域、鳥獣保護区)合計は全体の 93%に達することから、大規模太陽光発電の導入を 検討する場合も、その土地はこれらのいずれかに該当する可能性が高いと考えられる。さ らに、これらの地域の特徴を考慮すると、大規模な太陽光発電の導入を想定する場合、傾 斜の小さな農業地域や地域森林計画対象民有林等が有望な導入対象地域となると考えられ る。なお、太陽光発電を導入する場合、水力発電所や風力発電と比較してその占有面積が 広いため、ポテンシャルの活用可能性についてより詳細に分析する必要がある。また、こ れらの地域における開発は風力や中小水力発電の導入の際と同様に各地域の指定地域によ って様々な手続きが必要となるため、注意が必要である。

次に、太陽光ポテンシャルに関する要素を分析した結果から大規模太陽光ポテンシャル は、家庭向け太陽光ポテンシャルと違って、3,300Wh/m2/day未満のポテンシャルがより多 く評価された。さらに、人口密度が低い地域に大規模太陽光ポテンシャルが大きく評価さ れており、これは北海道、東北といった地域が多くの面積を有することから、これらの地 域で大きな大規模ポテンシャルが評価されたことが原因の一つである。しかし、これらの 地域は、九州や関東と比較して日射量は小さくなると考えられる。

7.7 7章のまとめ

第 7 章では、日本の再生可能エネルギーの性質を知るための基礎資料として、日本に賦 存する再生可能エネルギーポテンシャルの特徴を、地形と各再生可能エネルギーに関する 要素の観点から分析した。

その結果、日本では森林地域や農業地域、自然公園の占める割合が多く、それぞれの指 定地域の特徴から、森林地域では傾斜が大きい地域が多い傾向があり、農業地域では道路 から近い地域が多い傾向があることが明らかとなった。また、これらの地域ではそれぞれ の指定地域の細区分に基づいて森林、農業、保護・保全といった特定の目的に従って利用 される必要があり、それらの地域で再生可能エネルギーを導入するためには、それぞれの 地域の規制に従った手続きが必要となる。

さらに、各エネルギーに関する要素の分析を行った結果では、まず風力ポテンシャルの

109 多くが、居住地域(約 34%)と居住地域から 1500m以上離れた地域(約 30%)に賦存し ている傾向が明らかとなった。次に、中小水力ポテンシャルに関する要素を分析した結果 から、日本では、10kW未満のものから、1000kW以上のポテンシャルまで、様々な規模の ポテンシャルが賦存し、それぞれの規模のポテンシャルが日本の中小水力ポテンシャルの 全量に対して、一定量(10%以上)を占めていることが明らかとなった。さらに、家庭向け 太陽光ポテンシャルに関する要素を分析した結果から、家庭向け太陽光発電ポテンシャル は、1km2あたり50人未満の地域のポテンシャルが525GWh(約1%)、50人以上300人 未満の地域のポテンシャルが3470GWh(約5%)、300人以上4000人未満の地域のポテン

シャルが26,600GWh(約37%)、4000人以上の地域のポテンシャルが41,100GWh(57%)

と、人口密度の大きい地域への集中傾向が顕著であることが明らかとなった。これに対し て、大規模太陽光ポテンシャルは人口密度が小さく、広い土地を有する地域に集中して賦 存する傾向を示した。

これらの各再生可能エネルギーの特徴は地域的な分布傾向を持つことが示唆された。例 えば、大規模な太陽光ポテンシャルは北海道や東北地域に大きく評価されたが、北海道や 東北地域では全天水平面日射量が小さく評価される傾向がみられた。

以上から、指定地域・地形・気象要素など様々な再生可能エネルギーの属性に対して、

多様な組み合わせを持つ再生可能エネルギーポテンシャルの存在が考えられる。再生可能 エネルギーポテンシャルの様々な属性の組み合わせの違いは、そのポテンシャルを開発す る上での条件の違いを意味する。そこで、再生可能エネルギーの大規模な普及促進のため には、それぞれの属性の組み合わせに対して適した開発方法を検討する必要がある。さら に、例えば日本に賦存する風力ポテンシャルの中には、「農業地域が有望な風力発電の開発 対象と考えられる一方で、農業地域が居住地域の周辺に形成される傾向を考慮すると、農 業地域は開発不可地域のゾーニングの範囲内に位置しやすい可能性も存在する」など複数 の要素によるトレードオフの関係の存在も考えられる。こういったポテンシャルを開発対 象とするのかどうかは、地域での議論が必要である。具体的に議論を進める上では、これ らの属性(開発条件)の違うポテンシャルをそれぞれ分類して定量化し、議論することが 必要であると考える。

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 115-119)