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再生可能エネルギーポテンシャル評価に関する議論

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 40-43)

2 再生可能エネルギーポテンシャル研究の理論と方法

2.6 再生可能エネルギーポテンシャル評価に関する議論

2.6.1 再生可能エネルギーポテンシャル評価における恣意性

第 1 章で問題点として挙げたように、再生可能エネルギーのポテンシャルを評価する上 では、何らかの基準においてその評価条件を設定しなければならず、そのため評価結果は 恣意的になる可能性がある。現状では、その恣意性を考慮したうえで、各々の目的に応じ た評価結果を得るために様々な視点からポテンシャルが評価されている。この再生可能エ ネルギーポテンシャルの評価の理論のなかで、この恣意性は主に「有望地域の抽出」と「年

32 間発電電力量の算出」において生じる。

まず、「有望地域の抽出」において、上述した各種条件のもと、どのような地域を開発対 象地域として抽出するかは、ポテンシャルの評価結果に大きく影響を与える。その条件は、

すぐにでも土地の使用が可能であり、経済的に有望なものに限定するための条件から、将 来的に開発可能になる見込みがあるものまで様々な段階が考えられる。将来的に利用可能 な可能性を持つポテンシャルを評価することを算出前提として条件を設定した場合、ポテ ンシャルの有望地域は多くの地域で評価され、あらゆる地域に再生可能エネルギーの利用 可能性が存在するという結果をもたらす。その逆に、現時点で経済的に非常に有望なポテ ンシャルを評価することを前提として条件を設定した場合、再生可能エネルギーが利用可 能な地域は非常に限定的であるという結果をもたらす。

次に、「年間発電電力量の算出」において、1 か所の発電施設からどの程度の発電量を得 ることができるかは、その導入する設備の能力によるが、この設備についてその性能と規 模によって算出される年間発電電力量は大きく変化する。さらに、一定の地域(面積)に 対してどの程度の基数の発電施設の導入を想定するかによってもまた、算出される年間発 電電力量は大きく変化する。

上述した「有望地域の抽出」や「年間発電電力量の算出」における恣意性から、これら の再生可能エネルギーポテンシャル評価結果における恣意性は避けられないが、そのこと を十分考慮して、それ以降の議論を進める必要がある。

2.6.2 再生可能エネルギーポテンシャル評価結果を基にした議論の考え方

再生可能エネルギーポテンシャルの評価結果が恣意的なものになり得るということを考 慮して、再生可能エネルギーポテンシャルの評価結果を基にした議論について考える。再 生可能エネルギーポテンシャル評価結果に基づく議論を行うためには、その評価条件や前 提について妥当性が求められる。その評価条件や前提の妥当性は、その妥当性を理論的に 説明できることはもとより、その評価結果を基にした議論のステークホルダーの合意の上 になされなければ確保されない。そのため再生可能エネルギーポテンシャル評価結果を基 にした議論は非常に複雑で困難なものになると考えられる。

そこで再生可能エネルギーポテンシャル評価結果に基づく議論を円滑に進めるために、

有効と考えられる方策を下記に挙げる。

(1) 評価条件と評価結果をセットで考えること

議論を進める上では 1 つの再生可能エネルギーポテンシャル評価結果に対して、その評 価条件や前提条件について妥当性を議論するのではなく、評価結果と評価に用いた条件や 前提をセットで議論することが重要となる。さらに評価結果を条件や前提とセットでとら えることを発展させて、将来的にはポテンシャルの評価結果とそのポテンシャルを活用す るための課題や条件をセットで分析することが可能になると期待される。

(2) 評価結果の利用目的に応じた評価条件・前提を選択すること

ポテンシャルの評価結果の利用・分析目的に応じた評価条件や前提を選択することが重

33 要になる。評価する再生可能エネルギーのポテンシャルの空間的な分布を分析する上では、

一定条件下で広域を評価する方法が有効と考えられる一方で、特定地域内で活用可能なポ テンシャルの正確な量を分析する上では、条件を詳細に設定することが望ましい。

(3) 複数の条件と評価結果を比較すること

さらに、複数の評価結果を比較して議論することで、対象地域の再生可能エネルギーポ テンシャルを理解することが可能になると考えられる。

この恣意性に対応するためにこれまでとられていた方策は、潜在賦存量や期待可採量、

利用可能量、導入可能量といったポテンシャル量の基準を定義すること、そしていくつか の再生可能エネルギーの利用シナリオを想定して各シナリオにおけるポテンシャルを評価 する方法である。このような定義によって、ポテンシャルを段階的に評価することで各地 域の再生可能エネルギーポテンシャルの利用可能性を理解する方法がある。

本節では、再生可能エネルギー評価の現状の議論として、その恣意性とそれに対するポ テンシャル評価結果に基づく議論の進め方について述べた。本研究では、第4章、第5章 で再生可能エネルギーポテンシャルの空間分布や定量的評価について研究した結果から、

第6章にて改めて再生可能エネルギーポテンシャル評価について議論を行った。

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