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所得区分別にみた保険料負担の現状

ドキュメント内 社会保障に関わる地方財政の制度分析 (ページ 98-102)

第 5 章 市町村国保の運営の限界に関する実証的分析

4. 一般会計法定外繰入金と保険料負担にかかる分析

4.2. 所得区分別にみた保険料負担の現状

4.1項から、所得が高い団体で国保財政の悪化が深刻であり、その決算補てんや累積赤字補 てんに充てられる一般会計法定外繰入金が多額になる傾向があることが分かった。所得が高け れば保険料負担は低くなることが考えらえるが、赤字団体は所得が高い団体が多いことから、

低所得者層の被保険者の保険料負担が大きいことによる保険料の滞納が法定外繰入金を増大 させていることも推測できる。ここでは、保険料負担に関わる統計分析を行う。

まず、被保険者の年齢構成をみると、すべての所得区分で40-64歳が最も多く、次いで 65-74 歳であり、被保険者は高齢化していることが分かる。20-39 歳をみると、所得が高くなる につれ、わずかに構成比が高くなっており、Ⅰ-1は22.0%である(図5.21)。

図 5.21 国保被保険者の年齢構成(平成21年度)

(資料)厚生労働省『国民健康保険実態調査報告』平成21年度により作成。

また、70歳以上で現役並みの所得(住民税の課税所得が145万円以上)の被保険者の割合を みると、所得が高くなるにつれ、現役並みに所得が高い高齢の被保険者が多く、Ⅰ-1は10.6%

を占める(図 5.22)。Ⅰ-1は、他の団体に比べ所得の低い若年所得者と高額高齢者の割合が 高いことから、所得が高い団体では、団体内での所得のばらつきが大きく、格差も大きいこと がうかがわれる。

12.1  12.1  12.2  12.2  12.7  13.1 

22.0  21.2  19.1  17.9  17.5  16.4 

35.2  35.0  36.0  35.8 

37.5  39.9 

30.7  31.8  32.7  34.1  32.3 

30.5 

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

Ⅰ-1

Ⅰ-2

Ⅱ-1

Ⅱ-2

Ⅲ-1

Ⅲ-2

0‐19歳 20‐39歳 40‐64歳 65‐74歳

図 5.22 70歳以上一般被保険者に占める現役並み所得者の割合(平成21年度)

(資料)図 5.20と同じ。

次に、被保険者一人当たり平均保険料調定額(医療給付費分と後期高齢者支援分の合計)をみ ると、最も高いのはⅡ-1の15.4万円、最も低いのはⅠ-1の13.8万円であるが、所得区分 間での差はみられない。また、すべての所得区分において再差引収支が黒字団体で被保険者一 人当たり平均保険料調定額が赤字団体に比べ高くなっており、その差が最も大きいのはⅠ-1 の2万円、最も低いのはⅠ-2の1,000円である(図5.23(1))。

図 5.23 被保険者一人当たり平均保険料調定額(平成21年度)

(1) 再差引収支別

(2) 構成別

(資料)図5.20と同じ。

10.6  9.2  7.6  6.9  5.7  3.8 

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

Ⅰ-1

Ⅰ-2

Ⅱ-1

Ⅱ-2

Ⅲ-1

Ⅲ-2

13.8 

15.0  15.4 

14.9  15.1 

14.3  15.8 

15.1  15.8 

15.0  15.4 

14.6  13.8 

15.0  15.2  14.7  14.5 

13.6 

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0

Ⅰ-1 Ⅰ-2 Ⅱ-1 Ⅱ-2 Ⅲ-1 Ⅲ-2 万円

全団体 黒字団体 赤字団体

2.5 

4.9  16.0 

45.6  14.0 

21.5  27.8 

36.4 

48.6 

54.4  84.0 

71.9  65.8 

52.7  31.6 

2.0  6.6 

3.8  6.0 

3.8 

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

Ⅰ-1

(57団体)

Ⅰ-2

(50団体)

Ⅱ-1

(121団体)

Ⅱ-2

(79団体)

Ⅲ-1

(552団体)

Ⅲ-2

(836団体)

6万円未満 6‐8万円未満 8‐10万円未満 10万円以上

次に、被保険者一人当たり平均保険料調定額を構成別にみると、8-10 万円未満の団体が最 も多い所得区分は構成比の高い順に、Ⅰ-2(84.0%で42団体)、Ⅱ-1(71.9%で87団体)、

Ⅱ-1(65.8%で52 団体)、Ⅰ-1(54.4%で31団体)、Ⅲ-1(52.7%で291団体)である。

最も所得の高いⅠ-1に分類される団体の被保険者一人当たり平均保険料調定額は6-10万円 未満であり、他の所得区分に比べ金額のばらつきが小さい。一方で、所得が低くなるにつれ金 額のばらつきが大きくなり、Ⅲ-2では、6 万円未満から 10 万円以上の団体まである(図 5.23(2))。これらの分析から、被保険者一人当たり平均保険料調定額が最も低いのは所得が最 も高いⅠ-1であり、次いで所得が最も低いⅢ-2である。

さらに、保険料負担をみるため、所得に対する保険料調定額をみる。ここでいう所得は、「旧 ただし書方式」により算定された所得総額(基礎控除前)に相当するものである。分析にあたり、

実際の保険料負担をみるためには、所得に生計費・物価の地域差から生じる所得差を反映させ る必要がある。この所得の差額は、生活保護基準額に基づく級地区分ごとの差額を用いる。所 得差額率は、平成22年度一般生活費認定基準表第1類から算出し、所得区分ごとにⅠ-1:

1.29、Ⅰ-2:1.23、Ⅱ-1:1.17、Ⅱ-2:1.12、Ⅲ-1:1.06、Ⅲ-2:1、とした9

所得区分 i における所得に対する保険料調定額 _ は、保険料調定額 を所得 で除し て算出する。

_ 1

修正所得に対する保険料調定額 _ は、保険料調定額 を所得区分 i の所得 に所得差 を乗じてもので除して算出する。

_ ∙ 2

まず、(1)式で算出した修正前の所得に占める保険料調定額をみると、所得が低くなるにつ れ保険料負担の割合が高い団体が多く、所得が高くなるにつれ保険料負担の割合が低い団体が

多い(図 5.24(1))。次に、(2)式で算出した修正後の所得に占める保険料調定額をみると、所

得の高い団体で保険料負担の割合が増加し、20%以上の団体が多くなっており、Ⅰ-1を除く 所得区分では、所得に占める保険料調定額のばらつきが類似している(図5.24(2))。所得が高 いⅠ-1においても、10%未満の団体が減少し20%以上の団体が多くなっているが、他の所 得区分に比べ 10%未満の団体が多い。これは、一般会計法定外繰入金が高いことから、低所

9 8の資料から算出した。

得者の保険料負担の軽減措置の結果として、所得に占める保険料調定額が低くなっていること が推測され、大都市とその周辺都市では、他の団体に比べ低所得者の保険料負担が非常に大き いことがうかがわれる。

図 5.24 所得に占める保険料調定額(平成21年度) (1) 修正前

(2) 修正後

(資料)表5.4と同じ。

そして、保険料負担が大きいことによる保険料の滞納がある世帯について、市町村国保の全 世帯数に占める滞納世帯の割合をみると、最も高いのはⅡ-1の 21.7%、次いでⅠ-1の

21.1%であり、所得が高くなるにつれ割合が高いことが分かる(図5.25(1))。また、Ⅰ-1と

Ⅱ-2以外の所得区分において再差引収支が赤字団体で滞納世帯率が黒字団体に比べ高くな っており、その差が最も大きいのはⅠ-2で5.5%の差がある。次に、滞納世帯率を構成別に みると、所得が高いⅠ-1、Ⅰ-2で20-30%未満の団体が最も多く、所得が低くなるにつれ、

滞納世帯率が低い団体が多くなっている(図5.25(2))。これは、所得に占める保険料調定額が 低い所得が高い団体で滞納世帯率が高いことから、所得が高い団体で保険料の負担が非常に大

54.4 

30.0 

14.0 

5.1  7.5 

6.5 

40.4  58.0  68.6  69.6 

66.3  48.5 

5.3  12.0  14.9  25.3  24.6  41.2 

2.5 

1.6 

3.8 

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

Ⅰ-1

(57団体)

Ⅰ-2

(50団体)

Ⅱ-1

121団体)

Ⅱ-2

(79団体)

Ⅲ-1

(546団体)

Ⅲ-2

(816団体)

10%未満 10‐15%未満 15‐20%未満 20%以上

29.8  4.0 

3.3 

2.5 

5.1 

6.5 

38.6  52.0 

53.7  48.1 

56.5  48.5 

28.1  40.0  35.5  45.6 

36.1  41.2 

3.5  4.0  7.4 

3.8  2.4 

3.8 

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

Ⅰ-1

(57団体)

Ⅰ-2

(50団体)

Ⅱ-1

(121団体)

Ⅱ-2

(79団体)

Ⅲ-1

(549団体)

Ⅲ-2

(816団体)

10%未満 10‐15%未満 15‐20%未満 20%以上

きいことがうかがわれる。

図 5.25 滞納世帯率 (1) 再差引収支別

(2) 構成別

(資料)厚生労働省保険局国民健康保険課「資格証明書世帯に属する中学生以下の子どもに対する短期被保 険者証の交付状況及び資格証明書世帯に属する高校生等の人数に関する調査(平成219月時点) の結果について(平成211216日)の添付1のデータにより作成。

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