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交付税単価と実額単価の差額の検証

ドキュメント内 社会保障に関わる地方財政の制度分析 (ページ 66-71)

第 4 章 生活保護に対する地方交付税の財源保障

3. 交付税単価と実額単価の差額の検証

交付税単価を下回る状況を示している。また、単価差率については、1.00 は単価差がない状 況、1.00超は実額単価が交付税単価を上回る状況、1.00未満は実額単価が交付税単価を下回 る状況を示している。

生活扶助の単価差は他の扶助費に比べ比較的小さく、交付税単価との差は-8%から+7%であ る。平成16年度から19年度までは実額単価は交付税単価を下回り、平成20年度以降は実額 単価が交付税単価を上回っている。

住宅扶助の単価差は、平成16 年度から21 年度の間で実額単価が交付税単価を下回ってお り、交付税単価との差は-14%から-7%である。実額単価が交付税単価を下回る水準である要 因として、木造賃貸共同住宅が扶助限度額以下の低家賃で提供されていることが考えられる。

教育扶助の単価差は、平成16 年度から20 年度の間では、生活扶助、住宅扶助と同様に単 価差は比較的小さく、交付税単価との差は-8%から-2%であったが、平成21年度に実額単価 が交付税単価を上回り、交付税単価に比べ36%高くなっている。

医療扶助(入院分)の単価差は、平成20年度までは実質単価が交付税単価を下回っていたが、

平成 21 年度は実額単価が交付税単価を大きく上回り、交付税単価に比べ 61%高くなってい る。門真市によると、医療扶助(入院分)の扶助人員について平成20年度まで誤集計され、人 員が多く算出されている可能性があり、平成20 年度以前も平成 21 年度と同様に実額単価が 交付税単価を大きく上回る傾向と推測できるという10。また、医療扶助(入院外分)の単価差は、

平成 16年度から 19年度までは実額単価が交付税単価を大幅に上回り、単価差は 2.3倍から 2.5倍であったが、平成20年度から単価差は縮小しており、平成21年度には交付税単価に比

べ12%の高さになった。これは、平成20年度、平成21年度に交付税の額の算定方法におい

て生活扶助等の保護費にかかる密度補正の医療扶助にかかる単価差率を実態に沿って改定し ため、単価差が縮小したといえる。しかし、医療扶助(入院分)については、実態に沿って改定 されたにもかかわらず、なお実額単価が交付税単価を大幅に上回っており、高額な医療を受診 する受給者が多いことが理由として考えられる。

10 門真市保護課聞き取り調査(平成221129日)。

図 4.4 門真市の生活扶助等の保護費の単価差

(注)単価差については、プラスの値は実額単価が交付税単価を上回る状況、マイナスの値は実額単価が交付税単価を下回 る状況を示す。単価差率については、1.00は単価差がない状況、1.00超は実額単価が交付税単価を上回る状況、1.00 未満は実額単価が交付税単価を下回る状況を示す。

(資料)地方交付税制度研究会『地方交付税制度解説』補正係数・基準財政収入額篇、門真市財政課提供資料より算出し作 成。

介護扶助の単価差は、医療扶助(入院外分)と同様に、平成 16年度から 19年度までは実額 単価が交付税単価を大幅に上回り、単価差は約2倍であったが、平成20年度、平成21年度 に交付税の額の算定方法において生活扶助等の保護費にかかる密度補正の介護扶助にかかる 単価差率を実態に沿って改定しため、平成20年度から単価差は縮小しており、実額単価が交 付税単価を下回り、交付税単価との差は約-10%となった。

その他の扶助は、年度ごとに単価差の変動が大きく、平成16年度を除き、実額単価が交付 税単価を下回っており、平成21年度において単価差はほとんどない。

全般的に、単価差は年度や扶助費によって異なっている。平成16 年度から20 年度の間で 実額単価と交付税単価の単価差は年度ごと縮小されたが、平成21年度は、実額単価が交付税 単価を大きく上回り、単価差が拡大する扶助費が見られる。しかし、門真市のケースでは、単 価差はそれほど大きな額ではない。

3.2. 検証2:単価差が財政運営に及ぼす影響

次に、3.1項の検証1で推計した単価差が財政運営に及ぼす影響について分析する。検証は、

平成16 年度から21 年度間の交付税単価と実額単価の差を用いて総額を算出する。実額総額 が交付税単価に基づく総額を上回る場合には、生活扶助等の保護費にかかる一般財源が不足し ている財源不足の状況であり、実額総額が交付税単価に基づく総額を下回る場合には一般財源 が過剰である財源超過の状況を示す。併せて、生活扶助等の保護費一般財源過不足額が一般財 源に占める割合を算出し、財政運営への影響を考察する。

各年度の門真市の生活扶助等の保護費の一般財源過不足額 は、門真市のi扶助の年間扶 助費合計額 _ の総計と、検証1で算出したi扶助の交付税単価 _ に門真市のi扶助 の年間延べ実人員数 _ を乗じてすべての扶助費の合計額との差分をとり、総額の4 分の1 が地方負担分であるので0.25を乗じた額とし、(5)式のとおり算出する。

_ _ ∙ _ 0.25 5

また、各年度の門真市の一般財源に占める生活扶助等の保護費一般財源過不足額の割合 については、門真市の生活扶助等の保護費の一般財源過不足額 を門真市の一般財源 総額 で除して算出する。

6

門真市の一般財源総額のデータは、総務省「決算カード」に記載されている「一般財源計」

の値を用いる。

算出した門真市の生活扶助等の保護費一般財源過不足額とその一般財源に占める割合を示 したものが図4.5である。図中のプラスの値は財源不足、マイナスの値は財源超過を示してい る。

その結果、平成16 年度から 21年度の間で扶助費総額の差額は大きく異なっている。平成 16年度は、約2,000万円の財源不足となっているが、その一般財源総額に占める割合は0.07%

とそれほど大きくない。平成17年度から20年度は財源超過となっており、平成18年度の財 源超過が最大の1億1,399万円となり、一般財源総額に占める割合は-0.42%である。その後、

平成 19 年度から 20 年度で財源超過は縮小し、平成 21 年度には大幅に財源不足に転じてい る。平成17 年度から 20年度は、交付税単価を上回る扶助費があったとしても、合計すると 財源不足が生じていない。ただし、3.1項で述べたとおり、その間、医療扶助(入院分)につい ての実人員に誤集計があり、実額単価が交付税単価を大きく上回る傾向にあり、それを踏まえ ると、実際には財源不足の状況であることが推測できる。平成21年度は、2億7,829万円の 財源不足額となり、その一般財源総額に占める割合の 1.07%である。検証 1 でみたように、

平成 21 年度では、生活扶助、教育扶助、医療扶助の実額単価が交付税単価を上回っており、

これらが財源不足の拡大の要因となっているといえる。

図 4.5 門真市の生活扶助等の保護費の単価差

(注)プラスの値は財源不足、マイナスの値は財源超過を示す。

(資料)地方交付税制度研究会『地方交付税制度解説』補正係数・基準財政収入額篇、総務省「決算カード」、門 真市財政課提供資料より算出し作成。

19.42 

‐76.41 

‐113.99 

‐29.29  ‐17.61 

278.29 

0.07 

‐0.28 

‐0.42 

‐0.11  ‐0.06 

1.07 

‐0.60

‐0.40

‐0.20 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20

‐150

‐100

‐50 0 50 100 150 200 250 300

H16 H17 H18 H19 H20 H21

百万円 %

年度 生活扶助等の保護費の財源過不足額(左軸)

一般財源に占める生活扶助等の保護費一般財源 過不足額の割合 (右軸)

3.1項および3.2項の二つの検証結果は次のように要約できる。①単価差は年度によっても また扶助費の種別によっても異なり、有利不利がある。これは自治体間で見ても、有利に働く 団体と不利に働く団体がそれぞれ生じる可能性を示している。②単価差があること、つまり実 額単価が基準財政需要額に算入されていないことは、必ずしも財政運営を圧迫するわけではな いが、単価差の大きさによって、特に保護率が高い団体ほど生活扶助等の保護費に対する財源 不足額が大きくなり、財源措置不足により財政運営を圧迫する可能性がある。

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