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一般会計法定外繰入金と保険料負担との関係の検証

ドキュメント内 社会保障に関わる地方財政の制度分析 (ページ 102-106)

第 5 章 市町村国保の運営の限界に関する実証的分析

4. 一般会計法定外繰入金と保険料負担にかかる分析

4.3. 一般会計法定外繰入金と保険料負担との関係の検証

きいことがうかがわれる。

図 5.25 滞納世帯率 (1) 再差引収支別

(2) 構成別

(資料)厚生労働省保険局国民健康保険課「資格証明書世帯に属する中学生以下の子どもに対する短期被保 険者証の交付状況及び資格証明書世帯に属する高校生等の人数に関する調査(平成219月時点) の結果について(平成211216日)の添付1のデータにより作成。

所得が高い団体では一般会計からの繰入金によって被保険者の保険料負担の軽減が行われて いることが考えられる。

また、一般会計法定外繰入金と保険料算定額に占める保険料軽減額との相関関係をみると、

全団体の相関係数は-0.3025でやや負の相関があるが(表5.5)、所得区分別にみると、Ⅰ-2 は-0.7293、Ⅰ-1は-0.7037 で強い負の相関があり、所得が高くなるにつれ、負の相関が強 くなる(図 5.27)。したがって、所得の高い団体で保険料算定額に占める保険料軽減額が高い と一般会計の法定外繰入金が少なく、保険料算定額に占める保険料軽減額が低いと一般会計法 定外繰入金が高くなる傾向がみられる。これは、所得が高い団体では、保険料調定額の算定に おいて保険料軽減額が高く、その額は一般会計からの繰入金で賄っているためであると考えら れる。

表 5.5 一般会計法定外繰入金と保険料負担に関わる相関係数

収入に占める一般会計法定外繰入金 所得に占める

保険料調定額

保険料算定額に 占める保険料軽減額

相関係数 p 値 相関係数 p 値

全団体

(1672 団体) -0.3617* 0.0000 -0.3025* 0.0000

Ⅰ-1

(57 団体) -0.6964* 0.0000 -0.7037* 0.0000

Ⅰ-2

(50 団体) -0.8065* 0.0000 -0.7293* 0.0000

Ⅱ-1

(121 団体) -0.5404* 0.0000 -0.5655* 0.0000

Ⅱ-2

(79 団体) -0.4951* 0.0000 -0.3930* 0.0003

Ⅲ-1

(549 団体) -0.3231* 0.0000 -0.2725* 0.0000

Ⅲ-2

(816 団体) -0.1259* 0.0031 -0.0602 0.1590

(注)* は、1%の有意水準を表す。

(資料)筆者作成。

図 5.26 収入に占める一般会計法定外繰入金 図 5.27 収入に占める一般会計法定外繰入金と と所得占める保険料調定額の散布図 保険料算定額に占める保険料軽減額の

散布図

(資料)筆者作成。

続いて、保険料軽減と保険料負担に関わる相関関係をみる。保険料軽減については、保険料 算定額に占める保険料調定額を用いる。この値が大きい団体では保険料の負担が非常に大きい 被保険者が多いといえる。保険料算定額に占める保険料軽減額と被保険者一人当たり所得につ いて、全団体の相関係数が-0.7396で強い負の相関があり(表5.6)、これを所得区分別でみる と、所得が高くなるにつれ、負の相関が強くなる(図5.28)。所得に占める保険料調定額につい て、全団体の相関係数が 0.5988 で弱い正の相関があり(表 5.6)、所得区分別にみると、Ⅰ-

1は 0.8628、Ⅰ-2は0.8245、Ⅱ-1は0.7784で強い正の相関があり、所得が高くなるに

つれ正の相関は強くなる(図 5.29)。したがって、被保険者一人当たり所得が低いと保険料算 定額に占める保険料軽減額が高く、また、所得に対する保険料負担率が高いと保険料算定額に 占める保険料軽減額が高くなる傾向がみられる。これらは、保険料負担が大きいため、被保険 者の保険料負担の軽減が行われていることが考えられる。

表 5.6 保険料軽減と保険料負担に関わる相関係数 保険料算定額に占める保険料軽減額 被保険者一人

当たり所得

所得に占める 保険料調定額

相関係数 p 値 相関係数 p 値

全団体

(1672 団体) -0.7396* 0.0000 0.5988* 0.0000

Ⅰ-1

(57 団体) -0.7951* 0.0000 0.8628* 0.0000

Ⅰ-2

(50 団体) -0.8597* 0.0000 0.8245* 0.0000

Ⅱ-1

(121 団体) -0.7942* 0.0000 0.7794* 0.0000

Ⅱ-2

(79 団体) -0.7358* 0.0000 0.6034* 0.0000

Ⅲ-1

(549 団体) -0.7318* 0.0000 0.5961* 0.0000

Ⅲ-2

(816 団体) -0.6621* 0.0000 0.4741* 0.0000

(注)* は、1%の有意水準を表す。

(資料)筆者作成。

図 5.28 保険料算定額に占める保険料軽減額と 図 5.29 保険料算定額に占める保険料軽減額と

被保険者一人当たり所得の散布図 所得に占める保険料調定額の散布図

(資料)筆者作成。

このほか、保険料負担に関わる項目として、収納率、滞納世帯率、一人当たり保険料調定額

について、これらの相互の相関関係や一般会計法定外繰入金との相関関係の検証を試みたが、

相関がみられなかった。これは、各保険者が一人当たり保険料調定額の多寡に関係なく、未納 保険料の確保を促進するなど未納対策に取り組み、保険料の徴収努力を行っていることが考え られる。

4節の検証結果は次のように要約できる。①所得の高い団体で国保財政の状況が深刻であり、

一般会計法定外繰入金が多い。②所得が高い団体では、被保険者一人当たりの平均保険料調定 額が最も低いが、所得差を修正した所得に占める保険料調定額を推計すると、保険料の負担割

合が 20%以上である団体が多くなる一方で、低所得者の保険料負担の軽減措置の結果として

その割合が 10%未満の団体も存在し、大都市とその周辺都市では他の団体に比べ低所得者の 負担が非常に大きい。③滞納世帯率は、所得に占める保険料調定額が低く所得が高い団体で高 いことから、所得が高い団体で保険料の負担が非常に大きい。④一般会計繰入金と保険料負担 の相関分析では、所得の高い団体で負の相関がみられ、保険料の負担が低いと一般会計繰入金 が高いことから、低所得者の被保険者の保険料の負担緩和等に一般会計から多額の法定外繰入 金を行っていることが推測できる。⑤保険料負担と保険料軽減との相関分析では、所得の高い 団体で正の相関がみられ、保険料の負担が大きいと保険料軽減額が大きいことから、低所得者 の被保険者の負担緩和等が行われている。

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