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個人住民税の非課税限度額制度の概要

ドキュメント内 社会保障に関わる地方財政の制度分析 (ページ 111-114)

第 6 章 個人住民税の非課税限度額に関する考察

2. 個人住民税の非課税限度額制度の概要

個人住民税の非課税限度額制度は、低所得者の税負担に配慮するため、所得金額が一定水準 以下である者について非課税とする措置である7。均等割の非課税限度額は、昭和51年度の税

4 仁藤(2001123頁)を参照。

5 田中(2009、95-96頁)を参照。

6 石田(2013211-12頁)を参照。

7 個人住民税において、昭和24年のシャウプ勧告を受け、全く担税力のない者や担税力が著しく薄弱である 者に対し税負担を求めることは租税政策上適当ではなく、税負担の公平の見地からも好ましくないというこ とから、昭和25年度の地方税法制定当時から、人的非課税制度として設けられている。平成2541 現在、生活保護法の規定により生活扶助を受けている者、障害者、未成年者、寡婦または寡夫で前年の合計所 得金額が 125万円以下の者については、均等割、所得割とも非課税である。人的非課税措置に関し、均等割

制改正における標準税率の引上げに伴い、低所得者の税負担軽減を図るために設けられたもの である。「地方税法の施行地に住所を有する者で均等割のみを課すべきもののうち、前年の合 計所得金額が政令で定める基準に従い当該市町村の条例で定める金額以下の者」に対して非課 税とされる(法第295条第3項)8。なお、この規定を受ける者は道府県民税均等割も非課税と される(法第24条の5第3項)。

政令で定める基準は次のとおりである(令47条の3)9。平成25年4月1日現在、①控除対 象配偶者及び扶養親族の数に1を加えた数を「基本額として定める一定金額」に乗じて得た金 額(その者が控除対象配偶者又は扶養親族を有する場合には、当該乗じて得た金額に当該条例 で「加算額として定める一定金額」を加算した金額)とすること、②「基本額として定める一 定金額」は35万円の範囲内において35万円に、「加算額として定める一定金額」は21万円 の範囲内において21万円に、それぞれ生活保護法の規定により厚生労働大臣が定める保護の 基準における前年の12 月31 日現在の地域の級地区分ごとに、総務省令で定める世帯につき 前年において同法の生活扶助、教育扶助、住宅扶助に要した費用として算定される金額を勘案 して総務省令で定める率で、当該市町村が同日において該当した当該地域の級地区分に係るも のを乗じて得た金額を参酌して定める、とされている。政令で定める世帯とは、①夫、妻及び 2人の子からなる世帯、②借家に居住する世帯、③収入のない世帯、のいずれにも該当する世 帯とする(則9の2の3①)10。また、総務省令で定める率とは、生活保護法における地域の級 地区分に応じ、1級地1.0、2級地0.9、3級地0.8とされている(則9の2の3②)。

所得割の非課税限度額は、昭和56年度に、厳しい地方財政の状況にあって課税最低限の引 上げを行うことが困難であるなかで、生活保護基準額程度の収入しかない低所得者層の税負担 に配慮するため、単年度限りとして講じられた措置である。その後、昭和58年度まで更新さ れ、昭和59年度以降は「当分の間」とし、特例として存続している。平成25年4月1日現

の納税義務を負う夫と生計を一にする妻に対しては、夫婦を社会生活上の単位として一体とみなして、夫に課 税した場合には妻に対して二重に課税しないとするという趣旨から、均等割が非課税とされていたが、妻も地 方自治体から行政サービスを受けており、一定の所得を稼得する妻は税負担能力(担税力)を有するため、個人 単位課税の観点から、生計同一の妻に対する非課税措置を平成17年度から段階的廃止、18年度分から全額課 税することとした。また、65歳以上の一定の所得金額以下の者も昭和26年度から非課税であったが、現役世 代と高齢者間の税負担の公平を確保するため、平成18年度分の個人住民税から廃止することとされた。

8 合計所得金額とは、純損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失及び雑損 失の繰越控除前の総所得金額、分離短期、長期譲渡所得金額(特別控除前)、分離課税の上場株式等にかかる配 当所得の金額(譲渡損失との損益通算後で繰越控除前)、株式等にかかる譲渡所得等の金額(譲渡損失の繰越控 除前)、先物取引にかかる雑所得等の金額(損失の繰越控除前)、山林所得金額及び退職所得金額の合計額であ る。法は「地方税法」を示す。以下同様である。

9 令は「地方税法施行令」を示す。

10 夫婦子2人世帯とは、夫35歳、妻30歳、小学39歳男子、4歳女子である。則は「地方税法施行規則」

を示す。以下同様である。

在、総所得金額等の合計額が35万円に本人、控除対象配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて 得た金額(控除対象配偶者又は扶養親族を有する場合には当該金額に32万円を加算した金額) 以下の者について、所得割(退職所得の分離課税にかかる所得割を除く)が非課税とされる(法 附則3の3①④)11

上記の非課税措置に伴い、非課税基準の金額を若干上回る所得を有する者の税引後の所得金 額が非課税基準の金額を下回ることのないよう税額を減ずる調整措置が講じられている。具体 的には、総所得金額等の合計額から市町村民税所得割及び道府県民税所得割の算出税額の合計 額を控除した金額が、非課税基準を下回るときはその下回る額を算出税額から控除するもので ある(法附則3の3②⑤)12

非課税限度額の基準を示したものが図6.1である。非課税限度額の基準は、生活保護の基準 額の改定を踏まえ、翌年度の税制改正において所要の見直しを検討することとしている13。そ の基準額は、均等割については前年の生活扶助基準額、所得割については前年の生活保護基準 額(生活扶助、教育扶助、住宅扶助の合計額)である。

図 6.1 非課税限度額の基準

(注)所得金額は給与所得者の場合収入金額から給与所得控除を引いた後の金額である。

世帯人員数は、本人、控除対象配偶者及び扶養親族の合計数である。

加算額は控除対象配偶者及び扶養親族を有する場合のみ加算する。

均等割の非課税限度額は、基本額及び加算額に生活保護の基準の級地区分に応じた率(1級地:1.0、2級地:0.9、3 級地:0.8)を乗じた額を基準として条例で設定する。所得割の非課税限度額は全国一律である。

非課税限度額は平成2541日現在のものである。

(資料)筆者作成。

具体的には、生活扶助は、飲食物費、被服費、光熱水費等、日常生活の需要を満たすための 給付である。基準額は、基準生活費の「第1類費」(年齢区分別個人単位の経費)、「第2類費」

11 総所得金額等とは、純損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失及び雑 損失の繰越控除後の総所得金額、分離短期、長期譲渡所得金額(特別控除前)、分離課税の上場株式等にかかる 配当所得の金額(譲渡損失との損益通算及び繰越控除後)、株式等にかかる譲渡所得等の金額(譲渡損失の繰越 控除後)、先物取引にかかる雑所得等の金額(損失の繰越控除後)、山林所得金額及び退職所得金額である。ま た、法附則は「地方税法附則」を示す。

12 調整額の算式は、「35万円×(本人、控除対象配偶者及び扶養親族の合計数)+32万円-(総所得金額等- 出税額)」である。

13 本章では、生活保護の基準額は、非課税限度額の設定に勘案される生活扶助基準額(均等割)と生活保護基 準額(所得割)を合わせた名称として用いる。

(世帯人員別世帯単位の経費、11月から 3月の間は地区別冬季加算を合わせて計上)、年末年 始の特別需要への対応のための期末一時扶助費(12 月支給、世帯構成員人数分)の合計額であ る。教育扶助は、義務教育に伴う費用を対象とする給付であり、算定には一般基準の基準額と 学習支援費を用いる。住宅扶助は、家賃、住宅維持費等を対象とする給付であり、算定には家 賃等の一般基準額を用いる14

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