• 検索結果がありません。

外部性,外部経済・外部不経済

ドキュメント内 12中級ミクロ経済学 (ページ 193-196)

第 3 章 企業の行動 125

3.18 外部性,外部経済・外部不経済

企業の利潤や消費者の効用が他の企業や消費者の活動によって影響を受ける場合外部性 が存在すると言う。よく取り上げられる例として畑で花を栽培する業者とその近くで蜜蜂 を飼う養蜂業者との関係がある。蜜蜂が花の蜜を吸ってくることによってより多くの蜂蜜 が生産できるが,この花は養蜂業社が栽培しているのではないから費用はかからないので 産出量が増えた分だけ利潤が増える。このように他の企業の活動がある企業の生産,利潤 を増加させる場合外部経済が存在すると言う。逆の例としては水質汚染などの公害が上げ られることが多い。ある川の下流から水を取ってジュースを作っている企業があり,その 川の上流では化学肥料を生産する企業があって汚染した排水を川に流しているとする。下 流のジュース会社では汚染した水を浄化しなければ商品になるジュースが作れず余計な費 用がかかるが,本来これはジュース会社自身の責任ではない。このように他の企業の活動 がある企業の生産,利潤を減少させたり費用を増大させる場合,外部不経済が存在すると 言う。簡単な数値例を考えてみよう。X財を生産する競争的な企業Aがあり財の価格は 100,費用関数は産出量をxとして

cA=x2

で表される。一方Y財を生産する競争的な企業があって財の価格は90,費用関数は産出 量をyとして

cB = 2y2+xy

3.18 外部性,外部経済・外部不経済 181 であるとする。すなわち企業Aの産出量が増えれば(Y財の産出量を一定として)企業

Bの費用が増えるような外部不経済が存在する。このとき企業Aの利潤は πA= 100x−x2

となるから利潤を最大化する産出量は50である。それを前提にすると企業Bの利潤は πB = 90y2y250y

となるので利潤を最大化する産出量は10である。しかし,社会全体にとって本来企業A の生産に伴う費用はx2だけではなくxyも含まれるものと考えなければならない。企業 A,Bを合わせた利潤は

π= 100x+ 90y−x22y2−xy

である。これが最大化されるようにxyを決めるとすると(ここは偏微分を使う)

∂π

∂x = 1002x−y= 0 (3.21)

∂π

∂y = 904y−x= 0 (3.22)

という条件が得られる。(3.21)はyを一定としたときに利潤の合計を最大化するxの値 とyの関係を示すものであり,(3.22)はxを一定としたときに利潤の合計を最大化す るyの値とxの関係を示すものである。これらを連立させて解けば,x= 3107 44.3, y = 807 11.4となり,企業がそれぞれ選んだ産出量よりもXは少なく,Yは多い方が 全体の利潤が大きくなることがわかる*29。ここで競争的な市場を仮定しているので財の 価格が一定であれば消費者の消費量は変わらず(両企業の利潤の変化が消費に及ぼす効果 は無視できる程度であるとする)企業の利潤が社会全体にとっての利益であると考えて よい。

しかし,企業の判断に任せておいたのではこの状態は実現できない。そこで外部不経済 を与える企業Aに課税することを考えよう(この企業に対する課税であり,X財の生産 全体への課税ではない)。そのとき1単位当りいくらの税を課せばよいであろうか。企業 Aの産出量が3107 となるように税を課せばよいのでこの企業の利潤が

πA=620 7 x−x2

となるようにすればよい。したがって1単位当り1006207 = 807 の税を課すことになる。

そのとき企業Bの利潤は

πB= 90y2y2310 7 y

*29(3.21)よりx= 5012yを求め,それをπに代入してyで最大化しても同じ結果が得られ る。

となるので,利潤を最大化する産出量は 807 となり社会的に望ましい生産が行われる。こ のように外部不経済を発生させる企業に課税してその活動を抑制させるような税は(提唱 者の名前をとって)ピグー税と呼ばれる。外部経済を発生させる企業に対しては逆に補助 金を与えるべきである。

■外部性と減産補助金について ある企業の生産に外部不経済がある場合にその企業に税 を課すことによって望ましい産出量に減らすことができるが企業の負担は増える。そこで 税を課すのではなく補助金を与えることを考える。企業A,Bの産出量をxyとしてそ れぞれの利潤が次のように表されるとしよう(価格は一定であるとする)。

πA= 80x2x2 πB= 80y−y2−xy 企業Aの利潤を最大化する産出量は20なので

πB = 80y−y220y

より企業Bの利潤を最大化する産出量は30である。一方両方の利潤の和は πA+πB = 80x2x2+ 80y−y2−xy

となるからxyで微分して

804x−y = 0, 802y−x= 0

より,x= 807 <20, y=2407 >30が求まる。これが社会的に最適な産出量である。この 産出量を実現するためには企業Aの利潤が

πA= 320

7 x−2x2+定数

となるようにすればよい。税を課すのなら産出量1単位当たり803207 = 2407 の税を課 すことになる。そのとき上の式の定数は0である。減産補助金を与える場合はある基準と なる産出量x¯から1単位生産を減らすごとに 2407 の補助金を与える。そうすると企業A の利潤は

πA= 80x2x2+240

7 (¯x−x) =320

7 x−2x2+240 7 x¯

となる。すなわち上の式の定数は 2407 x¯である。このとき利潤を最大化する産出量が807 となることは明らかである。税を課したときの利潤が 1280049 で規制がないときの利潤が 800であるから 2407 x¯がそれらの差2640049 に等しくなるように,すなわち

240

7 x¯=26400 49

3.19 公共財 183

ドキュメント内 12中級ミクロ経済学 (ページ 193-196)