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労働サービスの供給

ドキュメント内 12中級ミクロ経済学 (ページ 58-62)

第 2 章 消費者の行動 22

2.6 労働サービスの供給

Pp= ptxxt+ptyyt

pbxxt+pbyyt

  (パーシェ物価指数)

支出指数は単に基準時点と現在時点の消費支出の比を表し,ラスパイレス物価指数は基準 時点での消費量を比重とした物価指数(Lp>1なら物価上昇を意味する)を,パーシェ 物価指数は現在時点での消費量を比重とした物価指数(Pp>1なら物価上昇を意味する)

を表している。これらの指数が消費者の経済厚生に関して持つ意味を顕示選好理論の立場 で考えてみよう。

1. Pp> M のとき このとき

ptxxt+ptyyt pbxxt+pbyyt

> ptxxt+ptyyt pbxxb+pbyyb

が成り立つが,これより(分子が等しいので)

pbxxb+pbyyb> pbxxt+pbyyt

が得られる。この式は(xb, yb)が(xt, yt)より直接的に顕示選好されることを意味 するから,消費者の厚生は基準時点のときの方が現在時点のときよりも大きいとい うことが言える。

2. Lp< Mのとき このとき

ptxxb+ptyyb pbxxb+pbyyb

< ptxxt+ptyyt pbxxb+pbyyb

が成り立つが,これより(分母が等しいので)

ptxxb+ptyyb< ptxxt+ptyyt

が得られる。この式は(xt, yt)が(xb, yb)より直接的に顕示選好されることを意味 するから,消費者の厚生は現在時点のときの方が基準時点のときよりも大きいとい うことが言える。

Pp< MLp> M のときには明確なことは言えない。

2.6 労働サービスの供給

消費者は一方で労働者でもあり,企業に対して労働サービスを供給している。この労働 サービスの供給もこれまで見てきた財の消費量の選択と同じ形で考えることができる。企 業に就職した場合などに実際はなかなかそうもいかないかもしれないが,消費者すなわち 労働者は労働する時間の長さを自分で決められるものとする。消費者の効用は財の消費量

M

N(24,0) O A

E

余暇時間 消

図2.12 労働サービスの供給

(ここでは財をX,Yというように区別しない)と余暇時間(労働していない時間,自由 時間)によって決まると考えられる。余暇は自由に使える時間であり財の消費量が同じで も余暇が長いほど効用が高くなる。逆に言えば,労働時間が長いほど苦痛が増し効用が下 がると考えるのである。したがって財の消費量と余暇時間をそれぞれ縦軸・横軸にとって 消費者の無差別曲線を描くことができる。財の消費量は,財の価格を一定とすると所得に よって決まるが,その所得は賃金率(一定時間当たりの賃金)と労働時間とによって決 まる。

1日を単位として消費者の行動を考えてみよう。まず財の価格を1とし(あるいは財の 価格を基準として賃金率を測る),財の消費量をxで,賃金率をw(wage)で,余暇時間を l(leisure)で表すと消費者の予算制約式は

x=w(24−l) (2.3)

で表される。左辺のxは財の消費量であり,右辺は1日のうちの働いている時間,24−l, に賃金率をかけたものであるから1日の所得を表す。したがってこの式は財の消費量が所 得に等しいという関係を意味しているから予算制約式になっている。これを

1

wx+l= 24 (2.4)

と書き直すこともできる。このように書くと消費1単位当りの費用(価格)は w1,余暇1 単位当りの費用は1であって予算が24であると読める。この式は1日24時間を消費と 余暇にどのように配分するかを表している。消費1単位とは1円の消費であるから w1

2.6 労働サービスの供給 47

M

M

N(24,0)

O A

E F

余暇時間 消

図2.13 労働サービスの供給-賃金率の変化

1円の所得を得るのに要する労働時間を意味する。またこの式は x+wl= 24w

とも書ける。余暇を1時間取ることによってその間働けば得られたであろうwの所得,

したがってそれによるw単位の消費が失われる。これが余暇の費用wである。このよう に別のことに時間やお金を使えば得られたであろう所得が得られなかったことを費用と考 えるような見方を「機会費用」と言う。

(2.3)を図に描くと図2.12のMNのような予算制約線が得られる。この予算制約線の

傾きは賃金率である。この図の予算制約のもとでの消費者の労働時間選択のモデルが示さ れている。消費者は無差別曲線と予算制約線が接するところで余暇時間と財の消費量を決 める。OAの長さが消費者が選ぶ余暇時間であり,ANが労働時間である。24から余暇時 間を引いた値がこの消費者の労働供給となる。もし賃金以外にも利子所得などの所得があ れば,余暇時間24時間のところで切れたまま予算制約線が(傾きは一定のまま)上にシ フトする。余暇時間を24時間より多くはできない,言い換えれば労働時間をマイナスに はできないので,その場合労働時間ゼロでも利子所得だけの所得があることになるからで ある。

賃金率が高くなると予算制約線は点Nを支点として回転する。図2.13に賃金率の変化 と労働供給の関係を図示してある。図でEからFへの変化が賃金率の上昇に伴う労働供 給の変化を表している。この図では賃金率の上昇によって余暇時間が増加し労働供給が減 少するケースが描かれているが,Fを通る無差別曲線がもう少し左上にあれば労働供給が

M′′

M

M

N(24,0) O

E F

G

余暇時間 消

図2.14 労働サービスの供給-賃金率と労働供給の関係

増える可能性もある。

賃金率の上昇についても代替効果と所得効果を考えることができる。

1. 代替効果

賃金率の上昇によって余暇のコスト(余暇によって失われる所得)が増大するため 余暇時間が減って労働供給が増え,財の消費も増える。時間のコストを基準に考え ると消費1円当たりに要する労働時間が少なくなるので消費が余暇に比べて(時間 を基準として)安くなると見ることもできる。(2.4)を見れば賃金率の逆数が1円 当たりの消費の,時間を基準とした価格になっている。

2. 所得効果

賃金率の上昇は実質所得の上昇をもたらすので,余暇も消費も上級財であるとすれ ば労働時間が減って余暇が増え財の消費も増える。

財の消費については代替効果と所得効果が同じ方向に働く,つまりX財が上級財であ るとして賃金率が上がれば,代替効果によっても所得効果によってもその消費が増える が,余暇については代替効果と所得効果が逆方向に働くため,賃金率の上昇が労働供給を 増やすか減らすかは一概には言えない。言い換えれば正常な条件のもとでも労働の供給曲 線は右上がりにも右下がりにもなりうるのである。通常は賃金率が低いときは賃金率の上 昇によって労働供給が増え,賃金率が高いときには賃金率の上昇によって労働供給が減る と考えられている。図2.14参照。賃金率の上昇によって点EからFへ向けては労働供給 が増えているがFからGへ向けては減っている。すなおな無差別曲線を描けばこのよう

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