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交換経済

ドキュメント内 12中級ミクロ経済学 (ページ 66-69)

第 2 章 消費者の行動 22

2.8 交換経済とパレート効率性

2.8.1 交換経済

M

N

¯ yA

yA

¯

xA xA A E

C

Xの量 Y

の 量

図2.18 消費者Aの選択

で表される。y¯A−yA<0の場合にはyA−y¯Aが需要になる。消費者AがYを供給して Xを需要すると仮定すると,Yを売って得た収入でXを購入することになるので,Xの 価格をpx,Yの価格をpyで表わせば消費者Aの予算制約式は

px(xA−x¯A) =pyyA−yA) (2.7) のように表される。左辺はXを購入するのに必要な予算を,右辺はYを売却して得られ る収入を表す。(2.7)を少し変形すると

xA−x¯A

¯ yA−yA

=py px

(2.8) が得られる。左辺はYを1単位売って買えるXの量を表し,右辺はXとYの相対価格で ある。これはXとYとを物々交換する場合の交換条件を表すものと見ることもできる。

また,(2.7)より次の式が得られる。

pxxA+pyyA=pxx¯A+pyy¯A (2.9) 右辺は消費者Aが手持ちのXとYとをすべて売却して得られる収入を,左辺はあらため てXとYとを購入するのに必要な予算を表すものと見ることができる。右辺の各項はす べて予め与えられたものであるから定数である。

(2.9)(したがって(2.7),(2.8)も)をX - Y平面上に図示すると点(¯xA,y¯A)を通り,

傾き−px/pyの直線が得られる。それが消費者Aの予算制約線である。消費者Aはこの 予算制約線の上で効用が最大となる消費量xAyAを選ぶ。図2.18にその様子が描かれ

2.8 交換経済とパレート効率性 55

M

N yB

¯ yB

xB x¯B B E

D

Xの量 Y

の 量

図2.19 消費者Bの選択

ている。図のMNが予算制約線である。点Aは消費者AのXとYの初期保有量を,点 EはXとYの消費量を表す。直角三角形ACEの底辺CEは消費者AのXに対する需 要を,高さACはYの供給を表している。消費者Aがどちらの財を需要し供給するかは その選好,手持ちのXとYの量(初期保有量),そして価格によって決まる。初期保有量 を表す点AがEより左上にある場合には消費者AはYを供給してXを需要し,逆に点 AがEより右下にあればXを供給しYを需要する。

消費者Bについても同様に予算制約式は

pxxB+pyyB=pxx¯B+pyy¯B (2.10) のように表される。消費者BがAとは逆にXを供給してYを需要するとすると,その 選択は図2.19にように描かれる。図の点Bは消費者BのX,Yの初期保有量を,点E は消費量を表す。また直角三角形EDBの底辺DBはXの供給を,高さEDはYに対 する需要を表す。

もしAのXに対する需要とBによるXの供給,AによるYの供給とBのYに対す る需要がそれぞれ一致すれば,つまりCE =DBAC =EDが満たされれば,取り引 きは成立しそのときの価格が均衡価格になる。ただし,X,Yのいずれかの需要と供給が 一致すればもう一方は自動的に満たされることがわかる*11。しかしそれらが一致しない 場合には均衡は実現しない。第1章で見たように財の需要と供給が一致しなければ何かが

*11図2.18の直角三角形ACEと図2.19の直角三角形EDBにおいて,消費者AとBにとって 価格が同じであるから,∠AEC=∠EBDとなりこれら二つの三角形は相似である。さらに CE=DBであれば二つの三角形は合同になり,AC=EDも成り立つ。逆に,AC=ED

変化する。ここではワルラス的な調整過程によって価格が変化するものと考える。消費者 AのXに対する需要が消費者BによるXの供給を上回っている場合にはXに超過需要 が存在し,Xの価格は相対的に上昇してYの価格は下落する。逆に消費者BによるXの 供給が消費者AのXに対する需要を上回っている場合にはXに超過供給が存在すること になり,Xの価格は相対的に下落しYの価格は上昇する。

Xの価格が上昇した(正確にはXのYに対する相対価格が上昇した)ときの消費者A の消費量の変化を考えてみよう。以前の節で考えたように所得が一定でXの価格が上昇 すると予算制約線はY軸上の切片,点Mを不変として傾きが大きくなるが,ここでは変 わらないのは点Mではなく消費者Aの初期保有量を示す点Aである。したがって予算 制約線は点Aを支点として回転するように変化する。図2.20のMNがXの価格が上 昇した後の予算制約線であり,点Eは価格上昇前の消費,点Eは価格上昇後の消費を表 す。Xの価格の上昇は代替効果によってXの消費を減少させるとともに,Yを自分の消 費量以上に多く保有する消費者Aにとって,Xの価格の上昇は実質所得の減少につなが るから,Xが上級財ならば所得効果によっても消費が減る*12。Yの消費は代替効果によ るプラスの効果と所得効果によるマイナスの効果のいずれが大きいかによって決まるが,

この図では所得効果の方が大きく,Yの消費も減少するケースが描かれている。消費者A の無差別曲線がMNと,点Eより左上の位置で接している場合にはX財価格の上昇に よってYの消費量が増加する。

予算制約線が逆にMNからMNに変化したと考えると,それはY財の価格が上昇し た場合を表すものと見ることができる。消費はEからEへ変化する。Xの消費量はプラ スの代替効果と,保有するYの価格上昇による実質所得の増加がもたらすプラスの所得 効果が相まって増加するが,Yの消費量はマイナスの代替効果とプラスの所得効果のいず れが大きいかで決まる。

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