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可変インダクタの設計

I LCLK

2.7.4 可変インダクタの設計

シミュレーション結果

図2.100の構成において, 上側のスパイラルインダクタを熱膨張アクチュエータを用いて動かし,インダクタ間の

距離を変化させた時の, 自己インダクタンス値と相互インダクタンス値を, MEMS設計の標準CADツールである CoventorWare2004を用いて設計及び,シミュレーションを行なった.

図2.101: 上のコイルを鉛直方向に動かした時の相互

インダクタンス特性. :横軸を鉛直方向の移動距離, 縦軸を相互インダクタンスとおく.

図2.102: 上のコイルを水平方向に動かした時の相互

インダクタンス特性. :横軸を水平方向の移動距離, 縦軸を相互インダクタンスとおく.

シミュレーション結果より,インダクタを鉛直方向に5μm移動させた時は, 4.33nH,水平方向に5μm移動させ た時は,0.24nHの相互インダクタンス値の変化を確認出来た.また,自己インダクタンスは230nHとほぼ一定で,相互 インダクタンスの変化に依存しなかった. 図2.101により,相互インダクタンスは,縦方向のコイル間の距離に線形的 に変化していることが確認出来る.傾きは平均約-0.6で,最初の5μが一番傾きが大きい. また,図2.102より,横の移 動距離(位相変化量)において,相互インダクタンス値の極小値が存在する.この点は,図2.103のような状態である.

つまり,上の配線が下の配線間の間に入っている時に,相互インダクタンスは最小値を取る. 今,配線幅を16µm,配線 間隔を44µmに取っているので, (16 + 44/2 =)38[µm]水平に動かした時に相互インダクタンス値は最小値を取るが, 配線幅と配線間隔の関係を変えれば,少ない移動距離で最小値を取る.

スパイラルインダクタ

絶縁層 M:最大

M:最小 38μm

図2.103: 可変インダクタの断面図:相互インダクタンスが最大となる時(上)と最小となる時(下)のコイルの関

係図. (上)鉛直方向:最も距離が大きい時,水平方向:上のコイルと下のコイルが重なり合っている時.(下)鉛直 方向:最も距離が小さい時,水平方向:上のコイルの配線が下のコイルの配線間の中間にある時.

次に二つのインダクタ間の距離を3µm,5µm,7µm,10µmに構成した時に,上のインダクタを鉛直方向に移動させた 時の,相互インダクタンスの変化特性のシミュレーションを行った.

図2.104: 上のコイルを鉛直方向に動かした時の相互

インダクタンス特性. :横軸を鉛直方向の移動距離, 縦軸を相互インダクタンスとおく.

図2.105: コイル間の距離とその時の相互インダクタ

ンスの値. :横軸をコイル間の距離,縦軸を相互イン ダクタンスとおく.

図2.104のシミュレーション結果より,インダクタの移動距離の対する相互インダクタンスの変化特性は同じ結果

となった. これより,構成が関係するのは相互インダクタンスの値に関係し,その相互インダクタンスの変化特性には 影響がないことが分かった. また図2.105に鉛直方向への移動距離が0µmの時のそれぞれのコイル間距離における 相互インダクタンスの値を示す. コイル間距離が大きいほど,相互インダクタンスは小さくなることが確認できる.