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や火災保険の加入についても提案すること)などはセンター長会議においても本部から の申し渡し事項として所属長に通達されていた。

このセンター長会議で、営業成績が振るわない支店の所属長は、パーソナル・バンク の幹部(麻生氏をはじめとする執行役員等)から叱責されていた。

行員アンケートにおいても、所属長経験者から、センター長会議において本部から「そ んな数字では(報告は)受け取れない」「無理やりでも数字を作れ」「目標達成できない のであれば(所属長が)存在する必要がない」といった反応をされるほか、「会議に出る 時間があれば営業をしてこい」などといわれて所属長が退席させられることや、会議へ の出席を認められずにコールセンターで若手の行員と一緒にテレマーケティングをさせ られるといったことも行われていた旨の回答が寄せられている。

さらに、所属長は、毎月の中間時点で当該月の中間報告を、また月末の前営業日にお いては前日報告を、さらに毎月の最終営業日においては月末報告を本部に対して行うこ ととされており、その都度、その時点での融資の実行状況について報告する運用となっ ていた。

以上に加えて、一部の所属長に対しては、営業本部から、上記のようなセンター長会 議や各種報告といった定期的な連絡以外にも個別に営業成績の報告の督促が寄せられて いた。

当委員会のフォレンジック調査においても、営業本部から所属長に対して、月曜日の 午前中に本部から予算達成率 40%以下の支店の所属長に「週末手を打ったのか?土日の 活動結果を報告せよ」といったメールや、「獲得できないままで終わるな」「各店とも実 行ゼロは不可」といった檄を飛ばすメールが検出された。

結果的に、首都圏営業部の所属長は、週次での会議に加えてこうした会議外での報告 も重なり、数日に一回は融資実行状況について営業本部に情報を上げるという体制とな っていた。

なお、上記は所属長全般と営業本部の情報共有方法であるが、これ以外に、横浜東口 支店においては、麻生氏が毎週水曜日の夕方以降に同支店を訪れ、同支店の所属長や、

湘南カスタマーセンター及び湘南ハウジングローンセンターから個別の案件の相談や営 業目標の相談を行っていた。これは非公式な会議であるが、横浜東口支店では、この会 議で麻生氏から承認を受けた案件については、審査部に稟議を申請するに際して、「パー ソナル・バンク協議済み」という記載を稟議書に記載していた。

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開催の取締役会決議により策定し、公表している 24。また、「Aim25」の計画期間をフェ ーズ分けした第1フェーズに係る第1次経営計画としての「i SOLO」を2016年4月に策 定し、社内に周知している25

もっとも、「Aim25」は長期の経営ビジョンであり、具体的な数値目標は定められてい ない(その前身である「Aim15」も同様である。)。

また、「i SOLO」では、「第1フェーズにおける戦略方向性」や、組織・人材、戦略展 開フロー、ガバナンス・リスク管理、システムインフラ・業務革新、CSR といった点に ブレイクダウンした記述はあるものの、こちらにおいても具体的な数値目標は定められ ていない。

スルガ銀行における数値目標は、年度毎に、「営業推進項目」として作成されており、

その作成プロセスは、概略、以下の通りである。

① 毎年12月~翌年1月頃、営業企画にて、中期経営計画の方向性や前年度実績に鑑 み、次年度の銀行全体の営業推進項目案、表彰考課基準案を策定する

② 執行会議の審議、執行会議稟議による決裁、及び取締役会決議を経て「営業推進項 目」「表彰考課基準」が決定される

③ 上記②で決定された「営業推進項目」を、実績、人員態勢、マーケット状況等に応 じて、営業企画が、各バンク(インターネット支店を含む。)及び各ブロックへ配 賦する(ブレイクダウン方式)

④ 上記③にて配賦された「営業推進項目」を、各バンク及び各ブロックが、エリア戦 略や営業店の特性等を考慮して営業店に配賦する

⑤ 上記④にて配賦された「営業推進項目」を、各営業店が、各行員に配賦する

(2) 銀行全体の営業推進項目案・表彰考課基準案の立案(上記 (1) ①)

組織規程において、「国内営業基本方針の企画立案、営業推進計画の目標設定、諸計数 管理」が営業企画の分掌業務として定められていた。営業企画は、かかる分掌に基づき、

次年度の銀行全体の営業推進係数目標案、表彰考課基準案を立案していた。

24 それ以前は、2001年から2015年の15年間の経営計画「Aim15」が存在した。

25 なお、取締役会規程上は、「経営計画の策定」が取締役会決議事項とされており、「i SOLO」についても 経営計画である以上、取締役会決議による策定を要すると考えられるが、「i SOLO」は取締役会において決 議されていない。すなわち、201629日の取締役会において、「次期経営ビジョン『Aim25』策定の件」

が決議されており、議事録によれば第1フェーズのポイントについても説明されているものの、「i SOLO」

との名称も含め、その具体的内容が説明された形跡はなく、「i SOLO」は、その後、2016324日起案、

同月25日決裁の稟議(経営会議メンバーの承認による)により制定されている。スルガ銀行内には、2016 29日の上記取締役会決議において「i SOLO」も含めて承認されていたとの考え方も一部存するよう であるが、議事録及び取締役会資料に顕れた決議の内容及び上記稟議が1か月以上も後行していることに 照らすと、201629日の上記取締役会決議において「i SOLO」の制定が決議されていたとの解釈には 無理があると言わざるを得ない。

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営業企画による次年度の銀行全体の営業推進項目案、表彰考課基準案の立案に当たっ て、適宜、営業企画から各バンク長への相談が行われるケースもあったものの、基本的 には現場の意見等の聴取は行わずに立案されていた26。営業企画における次年度の銀行全 体の営業推進項目案、表彰考課基準案は、営業企画部長を含む営業企画内の担当者によ り叩き台が作成された後、営業本部(旧カスタマーサポート本部)の部長の決裁(但し、

2016 年度に関しては、例外的に、カスタマーサポート本部管掌の役員の決裁)により立 案されていた(各年度に係る最終決裁者は次の通り。)。

年度 氏名 役職

2011年度 岡崎 吉弘 カスタマーサポート本部部長 執行役員専務

2012年度

2013年度

2014年度

2015年度

2016年度 カスタマーサポート本部管掌 専務取締役

2017年度 営業本部長

2018年度 柳沢 昇昭 常務取締役

(3) 銀行全体の営業推進項目・表彰考課基準の決定(上記(1)②)

営業企画が策定した銀行全体の営業推進項目案・表彰考課基準案は、執行会議におい て審議され、その後、取締役会にて決議される。なお、取締役会決議の前後(前か後か は、年度スケジュールにより変動)で、執行会議稟議による決裁も行われる27

執行会議規程において、「業務運営態勢に関する事項」が審議事項として定められてお り、上述の執行会議における営業推進項目案・表彰考課基準案の審議は、当該規程に基 づいて行われていた。

取締役会規程において、「各部の基本方針(戦略目標)の策定」が決議事項として定め られており、上述の取締役会における営業推進項目・表彰考課基準の決議は、当該規程 に基づいて行われていた。ただし、2016 年度以前に関しては、取締役会資料に考課基準 の概略、表彰制度の概略及び営業推進項目の項目案の記載はあるものの、具体的な目標 数値の記載はされていない。他方、2017 年度以降に関しては、取締役会資料に目標数値

26 2018年度以降は、機構改革に伴い、営業方針を検討する営業本部ミーティングの中で、各バンク長も交

え、協議が行われている。

27 下記(4)の、各バンク及び各ブロックへの配賦後に執行会議稟議が行われていた時期もある(2011年度~

2014年度)

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執行会議稟議による決裁については、「金銭支出権限/職務決裁権限」において「預貸、

営業推進項目等の目標設定、営業店への示達」が執行会議の決裁権限として区分されて おり、かかる定めに基づき行われていた。執行会議稟議は、営業企画部長をはじめ、各 関係部署の部長を第 1 承認者として、段階的に承認され、最終決裁者の承認をもって決 裁される。各年度に係る上位の主要な承認者は以下の通りである。

2011年度 第3承認レベル 麻生氏(パーソナル・バンク長・執行役員常務)

岡崎氏(カスタマーサポート本部部長・執行役員専務)

望月氏(経営企画部長・執行役員専務)

第4承認レベル 退任者(Co-COO・専務取締役)

第5承認レベル

(最終) 岡野副社長

2012年度 第3承認レベル 麻生氏(パーソナル・バンク長・執行役員常務)

岡崎氏(カスタマーサポート本部部長・執行役員専務)

第4承認レベル

(最終) 岡野副社長

2013年度 第3承認レベル 麻生氏(パーソナル・バンク長・執行役員常務)

岡崎氏(カスタマーサポート本部部長・執行役員専務)

第4承認レベル

(最終) 岡野副社長

2014年度 第3承認レベル 麻生氏(パーソナル・バンク長・執行役員常務)

岡崎氏(カスタマーサポート本部部長・執行役員専務)

第4承認レベル

(最終) 岡野副社長

2015年度 第3承認レベル 麻生氏(パーソナル・バンク長・執行役員常務)

岡崎氏(カスタマーサポート本部部長・執行役員専務)

第4承認レベル

(最終) 岡野副社長

2016年度 第3承認レベル 麻生氏(Co-COO・パーソナル・バンク長・執行役員専務)

第4承認レベル 岡崎氏(専務取締役)

第5承認レベル

(最終) 岡野副社長

2017年度 第3承認レベル 岡崎氏(専務取締役)