第 5 章 技術者直観の事例
5.2 事例(道路設計)の全体像
道路設計の全体像として業務の大まかな流れを図5-1に示した。実際の業務では、多少の 前後はあるが基本的にこのように進んでいく。別途、関係機関調整や照査・点検、納品・検 査など業務を進めていく上で必要となる項目も含まれる。業務の流れから設計のみだけ抽 出すると次のようになる。(1)準備・計画、(2)現地踏査、(3)設計条件、(4)線形決定・中心線 測量、(5)平面線形、(6)縦断線形、(7)横断設計、(8)排水工の設計、(9)舗装工の設計、(10)平 面交差点設計である。(1)準備・計画においては、業務内容の把握、必要資料の収集を行う。
(2)現地踏査においては、支障物件、排水系統の把握を行う。(3)においては、業務において 必要となる設計条件の確認を行う。(1)~(3)によって、基本条件の整理がなされる。基本条 件の整理後、(4)線形決定・中心線測量によって大まかな計画が決定する。その後、大まかな 計画を基に詳細な(5)平面線形、(6)縦断線形、(7)横断設計を行う。(5)~(7)が決定すると、(8) 排水工の設計、(9)舗装工の設計、(10)平面交差点設計を行う。このような流れによって道路 設計はなされていく。
1) 国土交通省 道路設計要領(設計編)。
2) 山腹や丘の斜面などの傾斜地を造成するときなどに、他から採取した土砂を古い地盤の上に盛り上げ て平らにしたところを「盛土」、土砂を削り取って残った部分を「切土」という。
3) 斜面などの水平土圧を壁の自重や底版上部の土砂重量で抵抗する壁体構造物。
4) 耕地や道路などの水を排除するための溝。
5) 盛土の下部を横断する内空構造物。
図 5-1 業務フローチャート(事例)
照査・点検 【照査③】
納品、検査
END 関係機関調整
詳細設計図面作成 【照査②】
数量計算
報告書とりまとめ 路線測量
地質調査、解析 平面・縦断・横断設計
排水設計 ・流量計算、断面決定、流末処理検討
関係機関調整資料作成
現地踏査 ・支障物件、排水系統の把握
基本条件の整理 【照査①】
基準点測量、地形測量
平面線形決定 業務名 :
START
設計計画 ・業務内容の把握
・必要資料の収集
設計概要 (1)設計の目的
本業務は、○○県○○市○○○町において、都市計画道路○○○線(以下、○○○線)
の道路詳細設計とその設計に必要となる地形測量および路線測量に加え、地質調査を行 うものである。○○○線は、1990年に都市計画決定され、その後、2000年に終点部にあ たる鉄道本線立体交差部から一般国道△号までの区間について、都市計画道路の変更が 行われた全長L=1.92kmの路線である。
そのうち、起点部となる一般国道△△号から延長L=690m の区間(1工区)について は、平成2001年に供用開始しており、さらに、2工区にあたる延長L=650mの区間につ いては、2003年度より工事が行われ、部分供用開始している状況にあり、当該度末の暫 定供用開始を目指していた。
今回の設計区間は、2工区終点から一般国道△号接続までの3工区に位置し、○○○駅 南地区における開発計画と整合を図る必要がある区間である。この開発計画については、
当面、開校予定である高等学校の造成およびそのアクセスのための連絡道路を整備する こととなっており、その連絡道路までの L=0.13km について○○○線の設計を行い、早 期に事業効果を図ることを目的とするものであった。当業務では、道路詳細設計延長は
L=0.17kmであるが、3工区の計画延長はL=0.58kmであり、計画途中には鉄道本線を立
体交差することや終点部では一般国道△号と平面交差することなど、一連の平面線形と 縦断線形を決定しておく必要があった。特に、鉄道本線と立体交差する箇所については、
橋梁の構想(概略)設計と鉄道会社との協議資料の作成を行い、線形決定までを本業務で行 っていた。
(2)設計経緯
都市計画道路○○○線に関する測量および設計の経緯を以下に示す。
(a)1990年 都市計画道路1号○○○線
都市計画決定1号 ○○○線、2号 駅東線、3号 T 線が都市計画決定される。この 時点における 1 号○○○線は国道△△号から国道△号一里塚付近に接続する路線とし て計画決定される。
(b)2000年度 ○○○都市計画変更図書作成業務
本業務において1号○○○線並びに3号 T線が計画変更され、2号 駅東線は廃止と なる。1号○○○線は○○○駅南開発計画を考慮し、国道△△号○○○東口交差点へ接 続位置が変更となる。
(c)2000年度 都市計画街路○○○線測量調査設計業務(予備設計)
計画変更された1号 ○○○線のうち、2工区の道路予備設計を実施する。
(d)2001年度 都市計画街路○○○線測量調査設計業務(詳細設計)
平成 12 年度に実施した 2 工区の道路予備設計をもとに、道路詳細設計と設計に必要 となる測量及び地質調査を実施する。
(e)2002年度 都市計画街路○○○線測量調査設計業務(修正設計)
駅南開発計画の造成計画と整合を図り計画を進めていたが、その造成計画の見直し が必要のため、NO.47+10からNO.65+10の区間について縦断線形の見直しを行う。
(f)本業務
1号○○○線のうち、3工区にあたるNO.65+10からNO.74の道路詳細設計および その他設計に必要な測量及び地質調査を実施する。
(3)設計内容
○○○線は、道路規格第4種第3級、設計速度V=50km/hにより設計を行うものであ る。道路幅員構成については、これまで国道△△号を起点とし、NO.65+10の現道接続(1 工区・2工区)までを全幅W=12mとして計画しており、3工区にあたる当設計区間は、
全幅W=14mとして計画するものである。幅員構成は下図の通りとする(図5-2)。
図 5-2 設計断面図
設計区間はL=170m であるが、平面線形及び縦断線形については国道△号接続までの線 形を決定する。これは、計画途中で立体交差する鉄道本線のクリアランスと国道△号交差点 部における緩勾配区間(2.5%以下)の確保が重要な計画条件となるためである。そのため、鉄 道立体交差部の計画内容については、鉄道会社と協議を行い決定する。
○○○駅南開発計画については、高等学校の造成(詳細設計レベル)に加え、住宅団地の 造成計画(概略設計レベル)があり、当設計には連絡道路(改修高等学校線)の接続を考慮 した設計とする。その他の住宅造成高などは計画が流動的であるため、現段階の計画を概略 反映することとする。
排水計画上の対象流域は、現時点の開発計画を考慮した流域で排水施設断面を設定する。
(a)施工計画
○○○線の工事は、造成工事よりも先行して行われるものと考えられ、下図のような施 工済みの起点側からの片押し施工並びに運搬経路とする。当路線の設計区間のみで考え ると、約5万m3の残土処理が必要である。この残土は、関連する改修高等学校造成並び に宅地造成における造成盛土材として流用する(図5-3)。
図 5-3 施工計画図
(b)施工上の留意点
施工上の主な留意点および注意事項を列挙する。
(ア)測量座標系
当設計は「世界測地系」により行っており、それに伴い水準点においても施工中であ る2工区(日本測地系)よりも+0.012高い。
(イ)現場CBR試験の実施
当計画道路の舗装については、設計 CBR 8%(協議結果による)としている。よっ て、工事において現場CBR試験を実施し確認を行うこと。
(ウ)埋設物等
現道沿いの電柱を移設する場合は、その管理者である●●電力または通信会社によ る立会いのもと実施すること。また、S氏宅前の下水マンホールが支障物件としてあげ られるが、当マンホールは下水管路の上流端である。S氏宅は計画上、建物補償対象と なるため、その補償方法により移設又は廃止等が必要となる。
(エ)改修高等学校線
改修高等学校線の接続計画は、○○県において概略検討された資料に基づき、平面線 形と縦断線形を概略設定している。今後、改修高等学校線の詳細設計を行う必要がある。
(オ)市道□□寺線
市道□□寺線の計画は概略検討まで行い、○○○線 NO.66~NO.67+10 の平盛による
計画上、□□寺線NO.2までの横断図を平面図から作成し、概略数量を算出している。
今後、□□寺線の詳細設計を行う必要がある(図5-4、図5-5、図5-6)。
図 5-4 平面図
図 5-5 縦断図
図 5-6 横断図(標準断面図)