第 5 章 技術者直観の事例
5.3 事例の分析
図 5-6 横断図(標準断面図)
よび設計図書の整理は、球をそろえることでありL1に該当するところである。実施計画 書の立案は、使いこなす能力であり球をつないでいく段階でL2に該当する。具体的には、
①特記仕様書の確認はL1であり、②実施計画書(業務工程)や必要書類の作成、③業務の 作業項目を抽出するはL2と分析できる。
したがって、準備・計画はL1とL2が循環する範囲であり技術者直観のレベルをL1~
L2と位置付けることができる。なお、この段階では集積する能力に優れているといえる。
5.3.2 現地踏査
着手前に調査区間の現地調査を行い、土地及び物件の現況を把握する段階である。基本 条件の整理において設計全体の確認事項として最初に現地を確認する。この段階におい て、現地の状況をどれだけ把握できるかが後の設計の流れにおいて大きく左右する。細か くは、①現地でどのような調査を行うか確認する、②全体像を把握するため、簡易的な調 査(現地状況写真撮影、図面確認等)を行うなどである。
現地踏査において技術者直観のレベルを分析すると、L2に該当すると言える。技術者 の段階で言えば、若手技術者のレベルである。
広さと深さに関して言えば、基礎的なことで、どちらか一方のレベルが上昇していくと は判断がつけられない。理由として、基礎的であるがゆえに広さと深さの両方に作用して いくものだからである。言い方をかえれば、両方に作用するとも言える。
また、集積する能力と使いこなす能力について分類すると、現地踏査は準備計画をふま えた上で、使いこなす能力を発揮し、集積をしていく段階でL2に該当する。強いて言え ば現地踏査前の準備は、L1に該当する。具体的には、①現地でどのような調査を行うか 確認するはL1であり、②全体像を把握するため、簡易的な調査(現地状況写真撮影、図面 確認等)を行うはL2と分析できる。
したがって、現地踏査はL2を主体とする範囲であり、技術者直観のレベルをL2と位 置付けることができる。なお、この段階では集積する能力に優れているともいえる。
5.3.3 設計条件
道路構造規格は下記基準に基づいているかを確認する段階である。準備・計画、現地踏 査をふまえた上で、あらためて設計に用いる基準等を確認する段階である。この段階にお いて適用する基準の選定は、工学的根拠を含めて非常に重要である。細かくは、①業務仕 様を達成するための資料の把握(業務により異なるため)、②資料の収集(各関係機関や取 得場所の把握)などである。
設計条件において技術者直観のレベルを分析すると、L1に該当すると言える。技術者 の段階で言えば、学生・入職初期のレベルである。
広さと深さに関して言えば、基礎的なことで、どちらか一方のレベルが上昇していくと は判断がつけられない。理由として、基礎的であるがゆえに広さと深さの両方に作用して いくものだからである。言い方をかえれば、両方に作用するとも言える。
また、集積する能力と使いこなす能力について分類すると、設計条件は集積する能力に 分類でき、L1に該当する。具体的には、①業務仕様を達成するための資料の把握(業務に より異なるため)、②資料の収集(各関係機関や取得場所の把握)ともに L2 と分析できる。
したがって、設計条件はL1を主体とする範囲であり、技術者直観のレベルをL1と位 置付けることができる。なお、この段階では集積する能力に優れているともいえる。
5.3.4 線形決定・中心線測量
現地のコントロールポイントを基準点より測定し、平面線形計画に基づき、より合理的 な路線を選定する段階である。基本条件の整理をふまえて、この後の段階で繰り返される 平面設計、縦断設計、横断設計の土台として路線を選定する。コントロールポイントは、
準備・計画において整理した資料や、現地踏査の結果を踏まえて決めていく。つまり、道 路線形は設計技術者が好き勝手にここに道路を通すというようにはならない。そういっ た制約条件の中で合理的な路線を選定していく。中心線測量は、選定した路線に対して今 後の設計に必要な情報(平面図、縦断図、横断図)を収集・作成するものである。
線形決定・中心線測量において、技術者直観のレベルを分析すると、L3に該当すると 言える。技術者の段階で言えば、中堅技術者のレベルである。
広さと深さに関して言えば、深さのレベルが上昇していく。基準に従って設計していく のであるが、現地の制約条件を加味して進めていくことは、L1~L2では困難である。
また、集積する能力と使いこなす能力について分類すると、線形決定・中心線測量は
L3:パターンを組み合わせる に表現されるように使いこなす能力に位置する。ただし、
使いこなす能力だけでなく集積する能力との循環によって発揮されるものでもある。
したがって、線形決定・中心線測量はL3を主体とする範囲であり、技術者直観のレベ ルをL3と位置付けることができる。なお、この段階では使いこなす能力が高くなってお り、それに応じて集積する能力が高いともいえる。
5.3.5 平面線形
平面線形では、基準に基づいているか、国道および他の都市計画道路との取り付けは基 準内角度であるかを線形決定・中心線測量の結果に加えてより詳細に検討していく。本事 例では、国道および他の都市計画道路との取り付けは基準内角度であるかが重要なポイ ントとなる。
平面線形において、技術者直観のレベルを分析すると、L3~L4 に該当すると言える。
技術者の段階で言えば、中堅技術者のおよびベテラン技術者のレベルである。
広さと深さに関して言えば、深さのレベルが上昇していく。基準に従いすぎると現地の 状況に合致しない場合が発生する。これらの問題を解決するためにはL4の変化への対応 が深さのレベルにおいて必要となる。
また、集積する能力と使いこなす能力について分類すると、平面線形は基準に従って設 計進めることができれば L3 である。集積があり、ある程度使いこなすことができれば、
問題なく設計を進めることができる。ただし、本事例のポイントである国道および他の都 市計画道路との取り付けは基準内角度であるかといった問題に対しては集積だけでなく より高いレベルでの使いこなす能力が必要となる。
したがって、線形決定・中心線測量はL3~L4を主体とする範囲であり、技術者直観の
レベルをL3~L4と位置付けることができる。なお、この段階では使いこなす能力がかな
り高い状態であり、使いこなすのに必要な集積も最適化されているといえる。
5.3.6 縦断線形
縦断設計では、平面線形において決定した道路線形の高さを検討するものである。平面 線形決定をうけて高さをプロットしていく。本事例では、鉄道本線との交差部におけるク リアランス確保が重要なポイントとなる。
縦断線形において、技術者直観のレベルを分析すると、L3~L4 に該当すると言える。
技術者の段階で言えば、中堅技術者のおよびベテラン技術者のレベルである。
広さと深さに関して言えば、深さのレベルが上昇していく。基準に従いすぎると現地の 状況に合致しない場合が発生する。これらの問題を解決するためにはL4の変化への対応 が深さのレベルにおいて必要となる。
また、集積する能力と使いこなす能力について分類すると、縦断線形は基準に従って設 計進めることができれば L3 である。集積があり、ある程度使いこなすことができれば、
問題なく設計を進めることができる。ただし、本事例のポイントである鉄道本線との交差 部におけるクリアランスの確保は、基準内勾配5.0%以下で、鉄道本線(3級線)直流電 化区間の桁下高(建築限界5.70m+桁下余高1.10m)は確保されているか。国道及び他の都 市計画道路との取り付け勾配 2.50%は確保されているかという問題があるため、この解 決においてはL4の集積と使いこなす能力が必要となる。
したがって、はL3~L4を主体とする範囲であり、技術者直観のレベルをL3~L4と位 置付けることができる。なお、この段階では使いこなす能力がかなり高い状態であり、使 いこなすのに必要な集積も最適化されているといえる。
5.3.7 横断設計
横断設計は、平面線形、縦断線形において決定した計画を横断図上に作図し、基準や現 況地物を勘案した上で決定していくものである。横断設計の段階で、基準及び現況地物等 の問題を解決できない場合には、平面設計、縦断設計に戻って再度検討を行っていく。つ まり、平面線形、縦断線形、横断設計は、基準及び現況地物等の問題を解決するまで繰り 返し行うことが必要となるものである。作業量からみても膨大なものであり、やみくもに 検討していけば、工期(求められる時間内)で完成させることが困難になるため、その管理 には高度なレベルが要求される。
横断設計において、技術者直観のレベルを分析すると、L3~L4 に該当すると言える。
技術者の段階で言えば、中堅技術者のおよびベテラン技術者のレベルである。
広さと深さに関して言えば、深さのレベルが上昇していく。基準に従いすぎると現地の 状況に合致しない場合が発生する。これらの問題を解決するためにはL4の変化への対応 が深さのレベルにおいて必要となる。
また、集積する能力と使いこなす能力について分類すると、横断設計は基準に従って設 計進めることができれば L3 である。集積があり、ある程度使いこなすことができれば、
問題なく設計を進めることができる。ただし、平面線形、縦断線形との作業が連動するこ とに対応するためにはL4の集積と使いこなす能力が必要となる。
したがって、横断設計はL3~L4を主体とする範囲であり、技術者直観のレベルをL3
~L4と位置付けることができる。なお、この段階では使いこなす能力がかなり高い状態 であり、使いこなすのに必要な集積も最適化されているといえる。