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目をかけている部下・後輩に対して思うこと

第 7 章 卓越したベテラン技術者の能力開発・キャリア形成

7.3 分析の結果

7.3.3 目をかけている部下・後輩に対して思うこと

この質問に対する回答を分析した結果、卓越したベテラン技術者となる者は、「自己意識 が高く、目的・目標達成のために日々研鑽している」ことがわかった。

インタビュー調査票を分析した結果、「成長の要因」を得た(図 7-3)。卓越したベテラン技 術者から得た、成長の要因は、「人と関わる」、「自己研鑽」、「心構え」の3つであった。

図 7-3 A 型図解化(問 3)

(1)人と関わる

「人と関わる」は、「コミュニケーション」、「他者とのつながり」、「後進を育てる」から構 成される。「コミュニケーション」では、「とにかく進んでコミュニケーションをとる」とい う意見が出た。

「他社の人間から刺激を受けた。社内でも色々な人がいるからコミュニケーションを図 った」(No. A)

また、「他者とのつながり」では、「他社の技術者と他流試合をして能力を測る、社外(学 会など)に出て色々な人の考えを学ぶ」などが挙がった。

「経験したことは、機会をみて極力部外に発表する努力が必要である。その過程で、でき るだけ部外の方々との交流の場を拡げる努力も必要である。どれだけ多様な経験をし、どれ だけ尊敬できる人々に出会えたかが、その人間の視野の広さと発想力の柔軟さとモラルの 高さを決定するといっても過言ではないからである」(No. L)

「他社の技術者や研究者との付き合いが少ない。要は他流試合をして自分の実力を試す 機会が少ない。つまり、刺激が少ないためにやる気が湧かないか空回りしている」(No. M)

さらに、「後進を育てる」では、「ある程度の能力水準に達したら伝えていくことが必要。

それが後の人間を育てるという循環になる。してもらったことをしていくのだから」という 意見が挙がった。

「ある程度の年齢になったら、自分が得た有益なことを語り部となって継承していく努 力が必要である。また、いつまでも若い気持ちで技術の飛躍的進歩を追い求める気概と夢を もつべきである」(No. L)

「後輩のために、所長が集まって「伝え残しておきたいこと。」という文集を作成した。知 恵を箇条書き形式で各項目にまとめたものとなっている。意思決定水準や行動指針を高め るものである」(No. N)

(2)自己研鑽

「自己研鑽」は、「自分で考える」、「継続訓練・教育」、「経験量」で構成される。「自分で 考える」では、「とにかく取り組んでみる。責任を持って考えるのは効果が高い。受身はよ くない。マニュアルに頼りすぎるのは、意思決定力の向上につながらない」などが挙がった。

「一国一城の主として、あるものをフル活用して、生産性を向上させて利益を上げてくだ さい。そのためには安全・品質・環境をバランスよくとってください。そのためには、必死 に考え続けることが必要。ナイストライも大事です。方法は一つではないので、範囲の中で 新しい事を色々実験してみることを勧めます」(No. C)

「どんな小さなことでも自分で意思決定して積み重ねていくこと。責任を持って自分の 意見を発信することは、成長に必要。それが失敗であっても(失敗するからこそ)、必ず自分 に残ることがある」(No. D)

「一つの現場に対して、マニュアル通りにするばかりでなく、関連する知識や上の技術者 に聞いたりすることで、より正解に近いものを組み立てていく経験が必要。」(No. F)

「人に話を聴きに行くこと。PCのキーボードをたたく縦運動だけでなく、人に聴きに行 くという横運動が大事。それは後になっていろいろなきっかけにもなるし、自分の水準を図 る指標ともなるから」(No. H)

また「継続訓練・教育」では、「知識を知恵に変える努力を続ける。自己研鑽を怠らない。

特に若い時には必要である。」という意見であった。

「います。能力が不足しているわけではありませんが、気をつけてもらいたいことはあり ます。研究所ということもあり、論文の書き方、報告のあり方などの作法。」(No. A)

「類似的な仕事を繰り返し、その成果に大きなぶれがないこと。自己研鑽を怠らないこと。

継続教育の重要性」(No. H)

「若い時は、自分が従事している仕事に関し、見れども見えずという教えを胸に、歴史に 学ぶ(文献をよく調べ、先達の教えを良く聞く)ことにひたすら努力すべきである」(No. L)

また、「経験量」では、「場数を踏むことが必要。とにかくいろいろやってみる」が挙がっ た。

「現場に学ぶ場合、そこに解決を要する長期的技術課題はないか?それらの問題解決に 自分の専門を少しでも活かせるものはないか?という姿勢で挑まないと、自分の身に実学 として染み込まず、現場へ行った効果も半減する」(No. L)

「現場を良く見て考える時間と余裕がないことからくる独創的な発想や発見が少ない。

これは作業量やノルマの増大で仕方がないことかもしれませんが、かわいそうな気もしま す」(No. M)

「経験(場数を踏むこと)と学習をすることが大事。「継続は力なり」と言いますが、必ず良 い結果が出るので、信じてやってほしい」(No. O)

(3)心構え

「心構え」は、「志」、「社会人として」で構成される。「志」では、「今より少し上に、新し くする。技術者としての価値を理解してもらいたい。当たり前のことを当たり前にする」と いう意見が挙がった。

「土木技術者としての価値(誇り)を理解して、日々の業務にモチベーション高く取り組 んで欲しい」(No. A)

「CADとか道具を使うことばかりに長けてもらっても困る。やはり、技術者としての役 割を果たしてもらわなければならない。意思決定(判断)ができなければいけないだろう」

(No. I)

「あたりまえのことをあたりまえのようにすることです。回り道かもしれないけど、一つ 一つしっかりしていくことが大事だと伝えています。若い頃は、俺がやるっていう気概があ るのが良い」(No. K)

また、「社会人として」では、「お金がかかった仕事をしているという意識。最低限の準備」

が挙がった。

「給料に見合う仕事をする意識を持っていない」(No. G)

(4)その他

「その他」では、「できる人は何もしなくてもできる」という意見が上がったことを付け 加えておく。「今のやり方でも、伸びるやつは伸びている。素直な人や、技術が好きって子 は、吸収力が違うのかな」(No. I)