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プラットフォーム総論

ドキュメント内 2008 年 10 月 博士(公共経営)学位論文 (ページ 143-152)

第 8 章 地域自治組織の現状と市民社会組織の新たな展開

第 4 節 プラットフォーム総論

プラットフォームd

プラットフォームd

プラットフォームe

プラットフォームf

図表 38:階層型プラットフォームの概念図

(出典)国土交通省編(2004)、67頁をもとに筆者作成。

一方、デメリットとしては、プラットフォームが取り扱うテーマによって、参加者の関 心度合いに温度差ができやすくなり、それが参加者の増減に影響を及ぼしてしまうという ことである。また、地域を単位としたユニットであるため、他の地域にまたがる領域横断 的なテーマを受け入れがたい、あるいは、自己の課題として、身近に認識しがたいことも デメリットである。

次に、マトリクス型プラットフォームとは、地域単位のプラットフォームとテーマ単位 のプラットフォームが並存し、多様な主体がそれぞれのプラットフォームも参加している 形態である(図表39)。

図表 39:マトリクス型プラットフォームの概念図

(出典)国土交通省編(2004)、67頁をもとに筆者作成。

階層型プラットフォームが地域を基盤として活動しているのに対して、マトリクス型は、

NPO 等のテーマ単位のプラットフォームを想定している。1 人の市民が、居住する地域に も関与しながら、あるときには、共通の課題をもつ市民同士で活動を行う23

マトリクス型プラットフォームのメリットは、プラットフォームで取り扱うテーマに関 心のある市民を参加させつつ、地域ごとの特性を考慮できるということである。つまり、

テーマ志向でありながらも、地域への開放性を有することが求められる。

プラットフォームa

○○○

プラットフォームb

△△△

プラットフォームc

◇◇◇

プラットフォームa

プラットフォームb

プラットフォームc

デメリットとしては、地域の捉え方によって、市民間のまとまりが生じなくなったり、

地域によっては、参加者が少なすぎるという偏りが出てきたりする可能性があるというこ とである。したがって、地域的関心の高いテーマをみつけて、そのテーマに地域内外から 多くの主体が参加できるよう工夫することが必要になる。

最後に、複合型プラットフォームとは、具体的な目標や活動テーマごとに、複数のプラ ットフォームがあり、それらが重なり合っている形態である(図表40)。

図表 40:複合型プラットフォームの概念図

(出典)国土交通省編(2004)、69頁をもとに筆者作成。

ここでは、階層型やマトリクス型で想定されている小規模なコミュニティ単位でのプラ ットフォームは想定されない。複合型プラットフォームのメリットとして、それが上手く 機能した場合には、機動性や柔軟性をもち、地域あるいは地域を超えた様々な課題に対応 していくことができよう。だが、そのデメリットとして、プラットフォーム間の整合性を とったり、共通の関心や価値観の共有といった求心力を確保したりしていくことが難しい とされる。

以上のように、階層型か、マトリクス型か、複合型か、いずれかのプラットフォームを 形成する際に、重要なことは、地域内に存在するパートナーシップを相互につなげていく ことで、地域づくりの輪を拡大し、関心のある市民、市民社会組織、地域自治組織などの 地域の多様な主体を多元的に巻き込んでいくことが求められる。とりわけ、既存の地域自 治組織とどのように役割分担を明確化させるかがプラットフォームを運営していく上での 課題の1つといえる24。そのためには、地域自治組織と市民社会組織が連携し、信頼関係を 構築し、対等な関係を基礎として役割分担と責任の所在を明確化した地域づくりの進め方 に関する具体的なルールを地域のなかで決定していく必要がある。

それぞれのプラットフォームのメリット及びデメリットをまとめると、以下の通りであ る(図表41)。

プラットフォームa

○○○○○○○○○

プラットフォームd

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

プラットフォームb

△△△△△△△△△

プラットフォームc

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

図表 41:階層型、マトリクス型、複合型の各プラットフォームのメリット・デメリット

類型 メリット デメリット

階層型プラットフォーム ・  地域ごとの特徴が出せること。

・  地域自治組織がすでに存在する ので、プラットフォームを構築 しやすいこと。

・  プラットフォームが取り扱うテーマに よって、参加者の間に関心度合いに温 度差ができやすいため、参加者が増減 されること。

・  地域横断的なテーマを受け入れがたい こと。

マトリクス型プラットフォーム ・  テーマ志向でありながら、地域 開放性を有すること。

・  地域の捉え方によって、市民間のまと まりが生じなくなること。

・  地域によっては、参加者の数に偏りが 出てくること。

複合型プラットフォーム ・  機動性や柔軟性をもち、地域あ るいは地域を超えた様々な課題 に対応できること。

・  プラットフォーム間の整合性をとるこ とが難しいこと。

・  共通の関心や価値観の共有といった求 心力を確保したりすることが困難であ ること。

(出典)国土交通省編(2004)、69頁をもとに筆者作成。

地域における公共的諸問題は、それぞれ異なるため、地域の実情に即応した形で、いず れかのプラットフォームを選択するかは、地域の自主性に委ねられる。例えば、小規模な コミュニティ単位を地域づくりの中心に据えるところは、階層型プラットフォームを志向 するであろう。

また、NPO やボランティア団体との協働を重要視して地域づくりを進めるところは、マ トリクス型や複合型プラットフォームを志向するものと考えられる。今後の動向として、

地域が地域資源を活用し、戦略的に地域課題に取り組んでいくためには、小規模な地方自 治体を除いて、緩やかな一体性を維持しつつも、中心市街地活性化、高齢者福祉、河川管 理などの地域性とテーマ性をマトリクスと捉え、マトリクス型プラットフォームを検討し ていくことが増えてくるものと考えられる25

第3項 プラットフォームの機能と役割

本稿のプラットフォームの定義によれば、プラットフォームとは「公共空間を創出した り、公共空間として機能したりする役割を担うシンクタンク」である。言い換えれば、プ ラットフォームとは公共部門、民間営利部門、民間非営利部門の間に位置し、各主体が公 共的問題解決に向けて協働する機会を創出することができるよう支援するための中間支援 組織である。

内閣府国民生活局(2002)の中間支援組織調査によれば、中間支援組織を「多元的社会にお ける共生と協働という目標に向かって、地域社会と NPO の変化やニーズを把握し、人材、

資金、情報などの資源提供者とNPOの仲立ちをしたり、また、広義の意味では各種サービ スの需要と供給をコーディネート(調整)したりする組織」として定義付けている26

中間支援組織とは、いわばNPOを支援するための市民社会組織であり、これからの市民 社会組織の可能性を視野に入れた上で、その機能について、次の 7 点を取り上げている。

具体的には、草創期に重要な機能としての「情報提供機能」、NPOから支援期待の大きい機 能としての「資源や技術の仲介機能」、「人材育成機能」、「マネジメント能力の向上支援機 能」、NPO活動全般の発展に向けて期待がかかる機能としての「ネットワーク・調整機能」、

「NPO評価機能」、「価値創出機能」である27

また、中間支援組織の活動形態についても、先述した諸機能に応じて、「地域密着型」、「機 能・分野特化型」、「中間支援組織支援型」と 3 つに類型化した上で、その必要性が指摘さ れている。

「地域密着型」とは、地域で発生している公共的問題を解決するために、地域で活動し ている NPO の自立支援を進めながら、各 NPO の個別ニーズにきめ細かく対応した地域単 位での支援を行うタイプである。地域の公共的問題を解決するためのアイデアを中間支援 組織、NPO、行政機関などが相互に意見交換しながら、中間支援組織がその中心的役割を 担い、問題解決への取り組みにつなげていくプロセスを進めるものである。中間支援組織 にとっては、地域の将来像を描きつつ、様々な地域資源を活用して地域の公共的問題解決 に向けた政策立案能力の構築が求められる。

「機能・分野特化型」とは、個別の NPO では対応しにくい専門領域に特化してNPO の 活動を支援するタイプである。このタイプには、コンピューター操作等の技術的支援や経 営戦略の立案支援など中間支援組織の機能面に特化して支援するものと、福祉やまちづく りなどの NPO の活動分野に特化した専門ノウハウの提供を支援するものの 2 種類がある。

とりわけ、アメリカにおいては、NPO のマネジメント面での支援を目的とする「マネージ メント・サポート・オーガニゼーション」(Management Support Organization)28と称されるNPO が生まれ、活発な活動を展開している。我が国においても、これからは、NPO の発展段階 に応じた特定のニーズに応える中間支援組織が増えてくるものと考えられる。

「中間支援組織支援型」とは、例えば、全国各地に広がりをみせたNPO支援センターの 設立など、全国各地域において、中間支援組織を設立し、自立させ、さらには、民間非営 利部門の全体の底上げを支援するタイプである。NPO と同様、草創期にある中間支援組織 は、主な支援対象であるNPOのニーズが多様であるため、それらに個別に応じているうち は、中間支援組織自身の方向性も定まりにくい現状にある29

今後のプラットフォームの可能性を考えると、その機能については、「情報提供機能」、「資 源や技術の仲介機能」、「人材育成機能」、「マネジメント能力の向上支援機能」はもとより、

「ネットワーク・調整機能」、「NPO 評価機能」、「価値創出機能」といったより高次の機能

ドキュメント内 2008 年 10 月 博士(公共経営)学位論文 (ページ 143-152)