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第 4 章 可能

4.3 各ジャンルにおける可能表現の集計結果およびその分析

4.3.3 ブログ

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る。それに対し、「文学(地の文)」では、状況可能の「言エル」文は依然として多いが

(21文、そのうち17文が「判断+ト言エル」構文)、心情可能の数も増えて、10文現れ ている(もう1文は能力可能)。そして心情可能では同じ「~ト言エル」構文であっても、

引用の部分に現れるのは判断ではなく、感想や発話などであり、相違点を見せている。そ の一方で、状況可能の「判断+ト言エル」文の多用が、可能動詞の肯定形の多さにつなが っているという点は、「新聞記事」と似ていると言える。

以上のデータと分析から、「文学(地の文)」については次のようなことが結論として 言えよう。①全体的に、可能の意味や可能の条件において、形式間でずれが出たが、似て いる部分は依然と多い。具体的に(ラ)レル形式をみると、②可能の意味の面では、「実 現可能」「過去テンス」の数が大幅に増えつつも、「潜在可能」「非過去テンス」は依然 として約半分を占めている。「信ジラレナイ」「忘レラレナイ」など表現の多用によって、

「否定形」が 7 割近くに増加している。③可能の条件の面では、「状況可能」が依然とし て多いが、「信ジル」「忘レル」「耐エル」など主体の心境を描く動詞の多用によって、

「心情可能」も40%まで伸びている。④「新聞記事」と同様に、潜在可能と非過去テンス、

実現可能と過去テンスの間に強い相関性が見られる。⑤実現可能では「過去+否定」のパ ターンが多く、潜在可能では依然として「非過去+肯定」のパターンが半分以上(21/40)

であり、鮮明な対立を示している。

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しかし、表4-9における(ラ)レル形式の集計結果をみると、「新聞記事」ほど偏りが 激しくはないが、同じ傾向にあることが分かる。すなわち、「実現可能」「過去テンス」

「否定形」に対して、「潜在可能」「非過去テンス」「肯定形」のほうが明らかに優勢で あり、それぞれ64%、77%、57%とかなりの高率である。

4-9 「ブログ」における四種類の可能表現形式の「可能の意味」による統計データ

また、「ブログ」でも動詞「見ル」が11回(総数の2割以上)出ているが、その用い られ方は「新聞記事」と異なった様相を呈している。「新聞記事」ではそれがほとんど「~

ト見ラレル」構文をとっているが、「ブログ」ではそうした構文は一例もなく、すべて「(~

ハ/ガ/ヲ/○(無助詞))見ラレル」構文となっている。

(104)本当は私、障害者手帳があるので映画は千円で観られるのですが。(Yahoo!

サービス)

(105)綺麗な映像でもう一度観たいっす><またそう遠くない時期に亀のドラマ 見られるといいな。(エンターテインメント)

一方で、「~ト考エラレル」や「判断+ト言エル」文も少ないながら、それぞれ2文と

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6文使われており、「ブログ」では、推定や判断の内容を一つの可能性として提示するに は、「~ト見ラレル」より、「~ト考エラレル」や「~ト言エル」のほうが好まれるよう に感じられる。

(106)ヨンセンのゴールが取り消されたり、玉田がPKはずしたり。それがなけ れば五分の展開になっていたと考えられます。(趣味とスポーツ)

(107)このような背景のためか、埼玉県の県民意識は、それほど強くないといえ ます。(Yahoo!サービス)

4-10 「ブログ」における四種類の可能表現形式の「可能の条件」による統計データ

「可能の条件」による統計データである表4-10をみても、やはり「新聞記事」と同じ 傾向にあると言える。つまり状況可能が主流で、心情可能と能力可能も一定の数で出現し ている。状況可能で使用率が上位となっているのは、前述した「見ラレル」(11例)と「考 エラレル」(3例)、それに可能動詞における「言エル」であり、それ以外は特に目立つ 特徴はない。

ただ、可能の条件の判断が難しい例文もある。例えば次例の「生キテイラレル」という のは、体を鍛えて健康を保つこと、つまり自分の努力・コントロールで生きのびることを 実現させることもあれば、事故・災害などに遭わず、外的状況の確保(運の良さ)によっ て生きていくことが実現することもある。だが、ここは七夕の願い事であることを考慮に 入れれば、やはり自力で保証できず、他力に頼っての実現を図ろうとしていると理解でき るため、本論文ではこれを「状況可能」と判断した。つまり、判断が難しい場合が存在す る事実を踏まえつつも、文脈によってどちら寄りかを判断し、分類しているわけである。

(108)今日は七夕ですね。皆様は願い事されました??私は毎年恒例!イオンに

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飾られていた笹に願い事を飾りましたよ!(*^ー^)ニコッ今年ももちろん

「ジャイアンツ日本一!」o(≧▽≦)/それを見ていた息子が、「ボクも書 くぅぅぅーー!」と。。。息子の願い事は。。。「ずっといきていられますよ うに。」。。。(爆)大事なことだけど、ちょっと笑ってしまった(^▽^*)

(Yahoo!サービス)

共起する時間副詞によって、可能表現の意味が変わりうることについても少し触れてお く。たとえば、前述した主体の過去あるいは現在の心情を表すのに多く使われる実現可能 の「忘レラレナイ」は、次のように「一生」という遠い未来にわたる時間表現を伴うこと によって、「忘レラレル」かどうかは人生の最期が来るまで実現しないため、潜在可能と なってしまう。

(109)頂きまくりで嬉しい限りです。(^v^)#このご恩は一生忘れられません よ、ええ。#本当に有り難う御座います、何時も何時も!!(Yahoo!サービス)

最後に、可能文の述語部分について、もう一つ触れておきたい点がある。(110)では、

可能文の述語部分は「食べられる」というより、「安心して食べられる」がひとまとまり となっており、そういった安らぎの気分の実現を表していると捉えたほうが適切であろう。

また(111)も同様に、ただ「問題を処理できる」ことを望んでいるだけではなく、「責 任のある態度で」というのも不可欠な前提とされており、それがなければ可能文の意味が 不完全なものとなってしまう。

(110)麺・だし・天ぷらといたってフツーですが安心して食べられます。(Yahoo!

サービス)

(111)一方、ユネスコに対しては、「責任のある態度で問題を処理できると信じ ている」と述べるにとどめています。(TBSニュース、2015/5/15)

以上のデータと分析から、「ブログ」については次のようなことが結論として言えよう。

①全体的に、可能の意味においても、可能の条件においても、各形式はほぼ同様な傾向を 呈している。具体的に(ラ)レル形式をみると、②可能の意味の面では、「潜在可能」「非

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過去テンス」「肯定形」が大多数を占めている。③可能の条件の面では、「状況可能」が 過半数である。④潜在可能と非過去テンス、実現可能と過去テンスの間の相関性は依然と して見られる。⑤実現可能では「過去+否定」のパターンが比較的に多く、潜在可能では

「非過去+肯定」のパターンが主流となっている。