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ファミリービジネスの重要性

ドキュメント内 博士論文題目 (ページ 78-81)

第 3 章 ファミリービジネス

3.4. ファミリービジネスの重要性

ミリービジネスであることを妨げるものではない。デニス・ケニョン・ルヴィネ/ジョン・

L・ウォード(2007)『ファミリービジネス 永続の戦略』ダイヤモンド社、、p6。

112 倉科敏材(2010)「オーナー企業経営の特質」甲南大学経営学会編『経営学の伝統と革新』

千倉書房、、pp110-111。

73

3.4.1.

ファミリービジネの現状と重要性

後藤(

2005

113 が指摘するように、税法上の同族会社とファミリービジネス は同義語ではない114 。倉科(2003)115 によると、ファミリービジネスとは、

以下の条件のいずれかに 該当する企業をいう。

1

)事業承継者としてファミリー一族の名前が取りざたされている。

(2)必ずしも資産形成を目的としているのではなく、ファミリーの義務とし て株式を保有している。

(3)ファミリーが、重要な経営トップの地位に就任している。

この定義に照らすと、倉科(2003)116 において、2000年

3

月期における全上 場企業

2515

社のうち、専門経営者企業は

1441

社(

57.3%

)であるのに対して、

ファミリービジネスは

1074

社(42.7%)であると分類された。また、企業規模 の大きい

1

部市場では、専門経営者企業が

69%

を占め、地方市場ではファミリ ービジネスが

65%を占めることを指摘している。

欧米では、1980年代頃よりファミリービジネス研究が盛んに行われ、その特 徴や優位性について議論されてきた。日本では従来、同族企業や同族経営とい った場合に同族支配の意味や、不祥事や不正の原因という必ずしも良くないイ メージで語られることがあった。しかし、近年では、日本においてもファミリ ービジネスに対する関心が高まり、老舗企業のような長寿性や高い収益性の要 因として注目されるようになった。

この点、ファミリービジネスは学術研究において、長い間「マイナーな存在」

であった117。「経営学の主たる研究対象」は「同族企業を脱皮した公開企業」だ った118。「企業はファミリー企業から、専門経営者によって経営される企業へと 進化していくと考えられていた119。」しかも、「同族経営には否定的な見方」が

113 後藤俊夫(2005)「ファミリービジネスの現状と課題 : 研究序説」『静岡産業大学国 際情報学部研究紀要』7、 pp. 210-211。

114 倉科敏材(2003)も、同様の指摘をしている。倉科敏材(2003)「ファミリー企業の 経営学」東洋経済新報社、p15。

115 倉科敏材(2003)「ファミリー企業の経営学」東洋経済新報社、p15。この定義による 問題点として、経営トップという表現が曖昧であるとされている。茶木(2008)は、経営 者が経営の実態を掌握するには、法律的に担保されている地位であり、しかも実質的な人 事権を掌握できる会長または社長の地位以外は考えられないとして、経営トップの定義と して会長もしくは社長を採用している。茶木正安(2008)「我国ファミリー企業のパフォ ーマンスについて 収益性と市場価値についての実証分析:収益性と市場価値について の実証分析」『日本経営品質学会誌 オンライン』3(1)、 pp.2-6。

116 倉科敏材(2003)「ファミリー企業の経営学」東洋経済新報社、p16。

117 加護野忠男(2008)「学術からの発信 経営学とファミリービジネス研究」『学術の 動向』13(1)、 p. 68。

118 同上、p. 68。

119 同上、p. 68。

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強く、「企業不祥事が起こると、同族企業の閉鎖的な経営がその温床だと叩かれ ることも少なくなかった」(加護野,6 2008)120

茶木(

2008

121 によると、一般的に、ファミリー企業が台頭するのは「市場 機能が未発達で企業経営に必要な情報が市場から取得できない場合、特定の社 会集団(ファミリー等)内部での信頼に基づく取引が必要となる。」「また、後 発工業国にみられる急速な成長や激しい経済変動に直面した場合、迅速かつ機 動的対応が可能なファミリー企業は優位性を発揮できる122。」Barle and Means

1932

123 は、アメリカ企業において、所有と経営の分離が進行し、その経営 は、株式をほとんど所有していないプロフェッショナル経営者によってなされ ているとしている124。Chandler(1977)125 は、所有と経営が一致するファミリ ービジネスは衰弱するとしている126

しかし、実態としてはファミリービジネスが国民経済に及ぼす影響は無視で きないほど大きい。みずほ総合研究所(

2008

127 によると、

2006

年度の国税庁 の税務統計約

260

万社の法人企業のうち

95%が「ファミリー企業」である。日

本の上場企業の中でファミリー企業の比率は

3〜4

割であるとされている(倉科、

2003

128。上場企業の中でも、トヨタ、キャノン、武田薬品などはファミリー 企業である。米国でも

S&P500

社の

37%、ドイツでも上場企業の 50%、フラン

スでも主要企業

1000

社の

60

%がファミリー企業である129

その他の国におけるファミリー企業について後藤(2005)130 は、GEM(The

Global Entrepreneurship Monitor)調査の結果に従い、

「国ごとに上場基準や統計 の定義が異なるために単純な国際比較はできない」が、「各国における全企業の うち過半数」が「ファミリー企業により占められており」、先進国と発展途上国

120 同上、p. 68。

121 茶木正安(2008)「我国ファミリー企業のパフォーマンスについて 収益性と市 場価値についての実証分析:収益性と市場価値についての実証分析」『日本経営品質学会 誌 オンライン』3(1)、 p.3。

122 同上、p.3。

123 Barle、 A. and Means、 G.(1986)、 “The Modern Corporation and Private Property、 Transaction Publishers”(北島忠男訳『近代株式会社と私有財産』文雅堂 銀行研究社、 1958年).

124 倉科敏材(2010)「オーナー企業経営の特質」甲南大学経営学会編『経営学の伝統 と革新』千倉書房、 p.108。

125 Chandler、 A.(1977)“The invisible hand: The managerial revolution in America business、 Cambridge、”: Harvard University Press.

126 倉科敏材(2010)「オーナー企業経営の特質」甲南大学経営学会編『経営学の伝統 と革新』千倉書房、 p.108。

127 みずほ総合研究所(2008)「オーナー企業の継続的発展に向けて」『みずほリサー May2008』p.7。

128 倉科敏材(2003)「ファミリー企業の経営学」東洋経済新報社、p.23。

129 同上、pp.17-18。

130 後藤俊夫(2005)「ファミリービジネスの現状と課題 : 研究序説」『静岡産業大学 国際情報学部研究紀要』7、 p. 223。

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の違いを問わず「ファミリー企業が各国経済に占めている実態は非常に大きい」

ことを指摘している。

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