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サントリー・グループの沿革と概要

ドキュメント内 博士論文題目 (ページ 153-156)

第 6 章 研究事例

6.1. サントリー・グループのファミリービジネス性

6.1.2. サントリー・グループの沿革と概要

サントリーは鳥居信治郎が

1899

年に当時はまだ日本で珍しかったぶどう酒の 製造販売をしたことから始まっている企業である。赤玉ポートワインなど、日 本人になじみがあまりない洋酒を日本人向けに改良するなど、試行錯誤を繰り 返し、さらにはビバレッジメーカーとして国際展開を図るために

M

A

を行う など、本業多角化を多く行っている。今日では医療分野や育種分野など、本業 を中心とした多くの事業を展開している。サントリー花事業部を分社化し、サ ントリーフラワーズ株式会社を設立した後に完成した青いチューリップの特許 取得は世界中を驚かせた。

日本は欧米と比べてもはるかに菌の保有数が多い。酒造メーカーは菌を扱う 職種であるが、この場合には主に醸造に必要な出芽酵母菌である。この出芽酵 母菌がうまく発酵を助ければ、より上質な洋酒が完成する。このようなことも あって、サントリーでは菌の研究が盛んであった。これはビバレッジの方にも 応用されるだけではなく、球根などのビジネスにまで結びついていった。結果、

先にも述べたように、青いチューリップが誕生したのである。

また、今日のようなボーダレス競争社会において、海外市場を確保するため に、ターゲットとする市場をいかに攻略するかは非常に重要なポイントとなる。

そこでサントリーは、現地で創業し、市場シェアを有する企業を買収し、自社 の販売網を合わせたシナジー効果を図ろうとしている。

これは、サントリーの企業行動を歴史的に見れば明らかであり、まず、その 企業行動を記述的に明らかにし、その上で財務的な結果がどのように結び付い ているのかについて明らかにしていく。

特に、2011年、従来株式上場をしていなかったサントリーが、ボーダレス競 争社会で生き残るために市中から資金を調達しようとサントリー食品株式会社 を証券取引所に上場した。この直近の

2009

年にサントリーはフランスの清涼飲 料メーカー「オランジーナ・シュウェップス・グループ」を買収したわけであ るが、このような大規模な買収も、先に採り上げたように敵対的買収ではなく、

友好的買収を行うことによって手に入れている。ただ、このような大型買収は ファミリービジネスで資金調達をするには限界があったのである。

サントリーが上場後、次に「ビーム」や「フルコアグループ」の買収を行う が、これは市中から資金を調達し、成功を収めた。

148

(表

12)サントリー・グループ(連結)主要な経営指標等の推移

回次 1 2 3 4 決算年月 200912 201012 201112 201212 売上高(百万円) 1,550,719 1,742,373 1,802,791 1,851,567 経常利益(百万円) 81,822 100,839 109,026 103,061 当期純利益(百万円) 32,666 40,027 62,614 36,631

包括利益(百万円) 50,483 89,125

純資産額(百万円) 455,638 446,978 483,557 533,697 総資産額(百万円) 1,628,280 1,568,296 1,730,175 1,727,963 1株当たり純資産額(円) 623.96 613.97 669.92 744.31 1株当たり当期純利益金額(円) 47.54 58.25 91.71 53.74 潜在株式調整後1株当たり当期純

利益金額(円)

47.54 58.25 91.68

自己資本比率(%) 26.3 26.9 26.4 29.4

自己資本利益率(%) 7.9 9.4 14.3 7.6

株価収益率(倍)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

102,738 139,449 143,053 130,107

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△388,903 △28,200 △79,787 △93,413

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

243,629 △60,611 6,931 △100,211

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

112,656 159,044 288,126 228,110

従業員(人) 24,960 25,103 28,532 28,767

[外、平均臨時雇用人員] [11,602] [11,582] [11,472] [12,210]

(出所)サントリーホールディングス株式会社有価証券報告書第4期、 p. 2

サントリー(代表取締役社長:佐治信忠)は大阪市北区堂島浜に本社(サン トリーホールディングス株式会社)を置く、

2012

12

月期(第

4

期)の連結売 上高

1

8515

億円、経常利益

1030

億円、当期純利益

366

億円、従業員数

28,767

人の企業グループである。直近

4

期(第

1

期:

2009

12

月期〜第

4

期:

2012

12

月期)のグループ連結の主要経営指標は(表

12)

、持株会社の主要経営指 標は(表

13

)に示される通りである。

149

(表

13

)サントリーホールディングス株式会社 主要な経営指標等の推移

回次 1 2 3 4 決算年月 200912 201012 201112 201212 営業収益(百万円) 22,974 59,379 55,216 59,297 経常利益(百万円) 986 28,459 24,239 28,230 当期純利益(百万円) 1,447 24,439 45,179 19,468 資本金(百万円) 70,000 70,000 70,000 70,000 発行済株式総数(千株) 687,136 687,136 687,136 687,136 純資産額(百万円) 373,986 392,857 413,282 425,881 総資産額(百万円) 1,070,950 1,271,584 1,121,829 1,072,236 1株当たり純資産額(円) 544.27 571.73 606.67 624.24 1株あたり配当額(円)

(うち1株あたり中間配当額)

(─)

16

(─)

12

(─)

11

(─)

1株当たり当期純利益金額(円) 2.11 35.57 66.17 28.56 潜在株式調整後1株当たり当期純

利益金額(円)

自己資本比率(%) 34.9 30.9 36.8 39.7

自己資本利益率(%) 0.4 6.4 11.2 4.6

株価収益率(倍)

配当性向(%) 45.0 18.1 38.5

従業員(人) 416 466 416 489

(出所)サントリーホールディングス株式会社有価証券報告書第4期、 p. 3

1899

年に、鳥井伸治郎が鳥井商店を創業し、その後サントリーの前身となる 株式会社壽屋を設立した。赤玉ポートワインが最初のヒット商品である。その 後、国産ウイスキー製造に取り組み、1915年に京都郊外の山崎に日本初のウイ スキー蒸留所を設立した。

1929

年には、国産ウイスキー第一号サントリー白札 を発売した。1961年、佐治敬三(鳥井信次郎の次男)が壽屋代表取締役社長に なる。

1963

年に、ビール事業へ参入する際に壽屋からサントリーに商号を変更 した。佐治の代ではワインや食品事業への進出、文化活動の推進を行い、1980 年にサントリーオールドが年間

1,200

万ケースを販売し、単一ブランドでは世界 最高の売上高を記録した。

1990

年、鳥井信一郎(鳥井信次郎の長男の長男)が 社長に就任。2001年に現代表取締役会長兼社長、佐治信忠(佐治敬三の長男)

が就任して現在に至っている。

2009

2

月、サントリー株式会社(現・サントリー酒類株式会社)の株式移 転によりサントリーホールディングス株式会社を設立した。同年

4

月、サント リーホールディングス株式会社はサントリー株式会社が営む事業の一部を吸収 分割の方法により継承し、サントリー株式会社の商号をサントリー酒類株式会 社に変更し、サントリーホールディングス株式会社を持株会社とする純粋持株

150

会社制に移行した。

2012

12

月現在、持株会社、親会社、子会社

179

社及び関 連会社

26

社により構成され、食品・清涼飲料、酒類の製造・販売、海外事業、

外食・スポーツ・花等の事業活動を行っている。

サントリーの代表的な業績は、「赤玉ポートワイン」や「ウイスキー」といっ た洋酒を日本人に広めたこと、「トリスバーを筆頭とした戦後のウイスキー飲用 を普及」したこと、「『生ビール』と『缶ビール』を定着」させたこと、「トロピ カルカクテル、ブランデー・アメリカン、洋酒バランタインといった」「新しい ライフスタイルの創造提案」をしたことであるといえるだろう349。代表的なヒ ット商品は、創業時の赤玉ポートワインに始まり、ウイスキーではトリス、オ ールド、リザーブ、角瓶、ニューオールド、山崎、ビールでは、モルツ、プレ ミアムモルツ等、枚挙にいとまがないほどである。

本業といえるウイスキーやワイン以外にも常に新しい洋酒の楽しみ方を提案 し、ザ・カクテルバーなどのヒット商品もあった。優れたアイデアと研究開発 力もあり、1994年に発売されたホップスは日本で初めて商品化された発泡酒だ った。清涼飲料でも、烏龍茶、CCレモン、南アルプス天然水、缶コーヒーの

BOSS

、緑茶飲料の伊右衛門といったヒット商品を生み出してきた。

サントリーの事業は、飲料・食品セグメント、ビール・スピリッツセグメン ト、その他セグメントに分かれる。飲料・食品セグメントでは、サントリー食 品インターナショナル株式会社やサントリーフーズ株式会社が清涼飲料等の製 造・販売を行っている。ビール・スピリッツセグメントでは、サントリー酒類 株式会社がビール類、ウイスキー、焼酎、

RTD

等の酒類の製造と販売を行って いる。その他のセグメントとしては海外事業がある。ファーストフードのファ ーストキッチン、アイスクリームのハーゲンダッツ、サンドイッチのサブウェ イ、喫茶店・バーのプロント等の事業を行っている。

こうしたアイデアや商品開発力、業態開発力を生み出す源泉として語られる のがサントリーの社風としてのパイオニア精神、フロンティア精神である。一 般にもよく知られているサントリーの行動規範として「やってみなはれ」があ る。これは、二代目社長の佐治信忠がビール事業に参入する際に、初代鳥井信 次郎が語ったとされている350。こうした伝統が社内の自由闊達な雰囲気や行動 規範として根付いていき、「やんちゃなプロ集団であれ」「革新・挑戦なくして 前進なし」という精神へと受け継がれている351

次に、ここではサントリーのファミリービジネス性について検討していく。

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