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複素対数関数 log z

ドキュメント内 複素関数 - nalab.mind.meiji.ac.jp (ページ 86-90)

z =ew ⇔u= logr∧v ≡θ (mod 2π)

⇔u= logr∧(∃n∈Z) v =θ+ 2

(∃n Z) w= logr+i(θ+ 2). 分かったことをまとめておく。

定理 4.1 (ew =z を解く) 任意のz C\{0}が与えられたとき、wに関する方程式ew =z の解は存在し、それらはz の極形式を z =re (r >0, θ∈R) とするとき、

w= logr+i(θ+ 2) (n Z) と表される。これは

w= log|z|+iargz と書くことも出来る。

4.2 (ゆっくり慣れよう) 色々な z の値に対し、実際に ew =z の解を求めてみよう。

ew = 0 の解は存在しない (上でもやったしewew =eww =e0 = 1 6= 0 からも分かる)。 ew = 1 の解は w= log|1|+iarg 1 = 2nπi (n∈Z).

ew = 2 の解は w= log|2|+iarg 2 = log 2 + 2nπi (n Z).

x > 0 とするとき ew = x の解は w = logx+ 2nπi (n Z). つまり 2nπi をくっつければ 良い。

ew =1 の解は w= log| −1|+iarg(1) = 0 + (2n−1)πi= (2n−1)πi(n∈Z).

ew =2 の解は w= log| −2|+iarg(2) = log 2 + (2n−1)πi(n∈Z).

ew =i の解は w= log|i|+iargi= 0 + (2n+ 1/2)πi= (2n+ 1/2)πi (n∈Z).

ew = 2i の解は w= log|2i|+iarg(2i) = log 2 + (2n+ 1/2)πi(n Z).

4.1.3 複素関数 logz の定義

さて、それでは複素関数 logz をどう定義したら良いか?上の ew =z の解を見れば、z の 偏角 argz をどう定義するかとほとんど同じであることが分かる。

(ここでは複数のlogが出て来るので、色で区別して見た。実関数としての対数関数は黒 (板 書では白)、無限多価関数としての対数関数は赤、適当に偏角の値を制限して(そのやり方は 色々ある)一価関数にしたものは青、特に(0,2π)の範囲に制限したものは緑(板書では黄色)。

このやり方が良いと確信しているわけではなく、毎年模索中である。色チョークは見にくい場 合もあるし、色覚の個人差もあるし。)

(i) 気前よく ew =z を満たす w すべてを表すことにしてみよう。つまり logz : = log|z|+iargz

= log|z|+i(θ+ 2) (n Z).

任意のz C\ {0}に対して、logz という式は無限個の複素数値を表すことになる。log は普通の意味では関数・写像ではないが、無限多価関数と呼ばれる。これに対し、(任意 の z に1つの値だけが対応する) 普通の関数を(対比させる意味で) 一価関数という。

一方、適当なルールで、z の偏角をただ一つだけ選ぶことにより、複素関数 logz を正 則な一価関数として定義することも出来る。そうしたとき、その一価関数を、多価関数 logz

ぶ ん し

分枝 (branch)と呼ぶ。

(ii) 幅 2π の半開区間 I を選ぶ。例えば I = [0,2π) やI = (−π, π] など。(一般化すると、

α∈R として、I = [α, α+ 2π) や I = (α, α+ 2π].) 任意のz C\ {0} に対して、

z =re (r >0,θ ∈I) となるr,θ が一意的に定まる。この r, θ を用いて

log z := logr+ と定める。

log: C\ {0} →C であり、値域は{u+iv |u∈R, v ∈I} である。

(a) 特に I = (−π, π] としたとき、この log z を対数関数の主値と呼び、Logz と表す。

すなわち

Logz := logr+iθ, ただし z =re (r >0, −π < θ≤π).

Log : C\ {0} →C であり、値域は{u+iv |u∈R, −π < v≤π} である。

Log は偏角の主値Arg を用いて表せる:

Logz = log|z|+iArgz.

Log は、負の実数全体 N := {z C|z <0} 上の任意の点で不連続である。(x を 任意の負の実数とするとき、z を「上岸」から x に近付けるとき Im Logz →π, z を「下岸」から x に近付けるときIm Logz → −π.

limzx Imz>0

Logz = log|x|+iπ, lim

zx Imz<0

Logz = log|x| −iπ.

従って z →x のときLogz は極限を持たない。) (図が必要である。)

Mathematica で見てみよう

プログラミング言語の複素対数関数は主値を計算するのが普通である。Math-

ematica では Log[] で対数関数の主値が計算できる。

Im Logz のグラフは螺旋階段のような感じ。

Plot3D[Boole[x^2+y^2<4] Im[Log[x + I y]], {x, -2, 2}, {y, -2, 2}]

(Boole[]はなくても良い。)

マウスでグラフをつかまえて動かしてみると様子が分かる。

ついでに Re Logz のグラフも描いてみよう。描く前に想像できるだろうか。

無限多価関数 logz について、Im logz のグラフを想像してみよう。

しかし、負の実数と 0を除いた集合C\ {z C|z 0} に制限すると、正則 (当 然連続) になる。

これは指数関数を Ω(π,π) :={w∈C| −π <Imw < π} に制限した写像 f: Ω(π,π)C, f(w) = ew (w∈(π,π))

の逆関数である(単射でない関数を小さい集合に制限することで単射にして逆関数 を作る、という良くある話である)。複素関数に対しても、逆関数の微分、逆関数 定理は成り立つので51、Log は正則であることが分かる。z = f(w) とするとき、

dz

dw =ew =z であるから、dw dz = 1

z. すなわち

(32) d

dzLogz = 1 z が成り立つ。

他のやり方もありうる。

(b) これも良く使われるやり方だが、z の偏角を[0,2π) の範囲に選ぶ(それを主値と 呼ぶ人もいるそうである)。つまり z =re, r >0, θ [0,2π) として、

logz := logr+ とする。

log:C\ {0} →C (普通の関数)であるが、正の実数全体 P :={z C|z >0}上 の任意の点で不連続である。しかし、正の実数と0を除いた集合C\{z C|z 0} に制限すると、正則 (当然連続) になる。

これは指数関数を Ω(0,2π) :={w∈C|0<Imw <2π} に制限した写像 g: Ω(0,2π) C, g(w) = ew (w∈π,π)

の逆関数である。z =g(w) とするとき、dz

dw =ew =z であるから、dw dz = 1

z. すな わち

(33) d

dzlog z = 1 z が成り立つ。

(ii)-(a)の Log も (ii)-(b)の log も、実関数としての log の拡張になっている、つまり (∀x∈(0,∞)) logx= Logx=logx.

(それ以外の任意の log については、この関係が成り立つとは限らない。)

余談(?): (ii)-(a) の Log は N で不連続、(ii)-(b)の log も P で不連続と聞くと、「気持ち悪 い」と感じるかもしれないが、後でその不連続性を利用した計算を行なったりする。

余談 4.3 (常微分方程式 dy/dx=ay を解く) a を定数とするとき、常微分方程式dy/dx =ay の解は y=Ceax (C は任意定数)というのは、常識的なことだけれど、これを次のように解く 人がいる。

51逆関数の定理は現時点では一般に証明していないが、指数関数は導関数が連続であるから、2.5.4の議論だけ で逆関数が正則であることが証明できる)

Z dy y =

Z

a dx よりlog|y|=ax+C (C は積分定数). ゆえに |y|=eax+C =eCeax. ゆえ に y=±eCeax =Ceax. ただし ±eCC とおいた。

実数の世界だけで考える場合は(分母が0になる場合の問題をおいておけば)これでも構わな いけれど、関数の値だけでも52複素数を使う場合は、かなり悩ましいことが分かるだろうか?

じっくり考えてみることを勧める。大学の微分方程式の授業では、定数係数線形常微分方程式 に対する特性根の方法というのを教わるはずなので、それを使うようにしよう。

授業メモから(こちらにマージする)

以上の話は対数関数の主値に限らない。幅2πの任意の半開区間I = [α, α+ 2π)あるいは I = (α, α+ 2π] を選んで、z =re (r >0, θ∈I) に対して

log z = logr+i(θ+ 2) と定めた log も、N

Nα:=

re r≥0 とおいて C\N に制限すると正則関数になり、

(log z) = 1 z.

すでに述べたように、一価関数にした log を対数関数の分枝と呼ぶが、N のように、そ れを除くことで1つの分枝を

截り出すことができる曲線(普通は半直線や線分を選ぶ)を、

分岐

せっせん

截線 (branch cut) と呼ぶ。

ドキュメント内 複素関数 - nalab.mind.meiji.ac.jp (ページ 86-90)