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極とその位数の特徴づけ

ドキュメント内 複素関数 - nalab.mind.meiji.ac.jp (ページ 183-186)

11 ( 整理予定 ) Laurent 展開 , 孤立特異点 , 留数

11.3 極とその位数の特徴づけ

我々は、極とその位数をLaurent 展開を用いて定義したが、Laurent 展開を求めるのはしば しば面倒なので、もっと簡単な判定法があると便利である。ここではそれを追求しよう。

次の命題を、零点に関する命題 9.3 と比較してみると良い。この命題の (ii) = (i) の証明 を見ると、極のまわりの Laurent 展開を求める問題は、Taylor 展開を求める問題に帰着され ることが分かる。残念ながら (孤立)真性特異点のまわりの Laurent展開については、似たよ うなことは出来ない。

命題 11.8 (極の特徴づけ) c が正則関数 f: ΩCの孤立特異点,k N とするとき、次 の (i), (ii)は互いに同値である。

(i) cfk 位の極

(ii) cを含むある開集合 U で正則な関数g が存在して、

f(z) = g(z)

(z−c)k (z ∈U \ {c}), g(c)6= 0.

条件 (ii) は、次の各条件 (U を少し具体的な形にした) と同値であることは比較的簡単に分 かる。

(ii) (∃R >0) (∃g: D(c;R)C 正則) f(z) = g(z)

(z−c)k (0<|z−c|< R)かつ g(c)6= 0.

(ii)′′ (∃g: Ω∪ {c} →C 正則) f(z) = g(z)

(z−c)k (z \ {c})かつ g(c)6= 0.

(これは (z−c)kf(z)が cを除去可能特異点とする、という方が良いかも。)

証明 cf の孤立特異点ということから、c のまわりで Laurent 展開できる。すなわち

∃R (0,+],∃{an}nZ s.t.

f(z) = X n=−∞

an(z−c)n (0<|z−c|< R).

(i) = (ii) の証明。cfk 位の極ならば、

ak 6= 0 かつ (∀n∈N:n > k) an = 0.

ゆえに f(z) =

X n=k

an(z−c)n

= ak

(z−c)k +· · ·+ a1

z−c +a0+a1(z−c) +a2(z−c)2+· · · (0<|z−c|< R) であるから、

(z−c)kf(z) = ak+ak+1(z−c) +· · ·= X n=0

ank(z−c)n (0<|z−c|< R).

この右辺は冪級数で、(0 <|z −c| < R で収束するのだから) 収束半径は R 以上である。そ こで

g(z) :=

X n=0

ank(z−c)n (|z−c|< R) とおくと、gD(c;R) で正則で、

(z−c)kf(z) = g(z) (0<|z−c|< R).

ゆえに

f(z) = g(z)

(z−c)k (0<|z−c|< R) かつ g(c) = X n=k

ank(c−c)n =ak 6= 0.

(ii)=(i) の証明。(ii) を仮定すると、∃R >0,∃g: D(c;R)C s.t. g は正則で、

f(z) = g(z)

(z−c)k (0<|z−c|< R), g(c)6= 0.

gD(c;R) で正則だから、Taylor展開できる。すなわち

∃{an}n0 s.t. g(z) = X n=0

an(z−c)n=a0+a1(z−c) +a2(z−c)2+· · · (|z−c|< R).

ゆえに 0<|z−c|< R を満たす任意のz に対して、

f(z) = g(z)

(z−c)k = a0

(z−c)k +· · ·+ ak1

z−c+ak+ak+1(z−c) +ak+2(z−c)2+· · ·

= X n=0

an+k(z−c)n+ Xk n=1

akn (z−c)n.

そして、a0 =g(c)6= 0 であるから、cfk 位の極である。

注意 11.9 (対比させておく) 命題 9.3 で見たように、cfk 位の零点とは、

f(z) = (z−c)kg(z) (|z−c|< R), g(c)6= 0

を満たす正則関数 g: D(c;R) C が存在すること。また命題 11.8 で見たように、cfk 位の極とは、

f(z) = g(z)

(z−c)k (0<|z−c|< R), g(c)6= 0 を満たす正則関数 g: D(c;R)Cが存在すること。良く見比べよう。

Laurent展開をしなくても、極かどうか、その位数は何か、分かることが重要である。

11.10

f(z) = (z−3)2(z−4)3 z3(z−1)2(z−2)

0 は f の3位の極。1 は f の2位の極。2 は f の1位の極。(それぞれg が何であるか、把握 すること。)ついでに、3は f の 2位の零点、4は f の 3 位の零点である。

それでは

g(z) = (z−2)(z−3)2(z−4)3 z3(z−1)2(z−2) は? 2は実は除去可能特異点である。実際

h(z) := (z−3)2(z−4)3 z3(z−1)2

は 2 の近傍 D(22; 1)で正則であるから、

(∃{an}n0) h(z) = X n=0

an(z−2)n (z ∈D(2; 1)).

g(z) = h(z) (z C\ {2}) であるから g(z) =

X n=0

an(z−2)n (z ∈A(2; 0,1)).

ゆえに 2 は g の除去可能特異点である。

11.11 PQc の近傍で正則で、cPk 位の零点、Q(c)6= 0 であるならば、

cf := Q

Pk 位の極である。

証明 cPk 位の零点であるから、cの近傍で正則な関数 R が存在して、P(z) = (z− c)kR(z),R(c)6= 0. このとき、g(z) := Q(z)

R(z) とおくと、gcの近傍で正則で、g(c) = Q(c) R(c) 6= 0, f(z) = (zg(z)c)k (cのある除外近傍で) が成り立つ。命題11.8によって、cfk 位の極であ る。

k N, c∈ C, fcの近傍で正則とするとき、cfk 位の零点であるためには、c が 1

f の極であることが必要十分であることを示せ。

11.1 f(z) := sinhz

sinz のすべての極とその位数を求めよ。

(解) Q(z) := sinhz, P(z) := sinz はともに C 全体で正則な関数である(sinhz = (expz exp(−z))/2, sinz = (exp(iz)exp(−iz))/(2i) からも分かるし、原点における Taylor 展開の 収束半径が であることを確認しても良い)。c∈C が極であるためには、P(c) = 0 である ことが必要である。sinc= 0⇔ ∃n∈Z s.t. c=. P(c) = cos = (1)n 6= 0であるから、

c=P の1位の零点である。

(i) n 6= 0 のとき、Q() = sinh 6= 0 (sinhnπ > 0 に注意) であるから、上の Cor. に よって、f =Q/P の1位の極である。

(ii) 0 は P の1位の零点であるから、∃P1 s.t. P1 は 0 のある近傍 (C で OK) で正則で、

P(z) = zP1(z), P1(z) 6= 0 (0 < |z| < 1). 同様に 0 は Q の1位以上の零点であるから、

∃Q1 s.t. Q1 は 0 の近傍(C でOK) で正則で、Q(z) =zQ1(z). このとき、0 のある除外 近傍(0<|z|<1)で

f(z) = Q(z)

P(z) = zQ1(z)

zP1(z) = Q1(z) P1(z).

この右辺は |z|<1で正則であるから、0 は f の除去可能特異点である。ゆえに 0 は f の極ではない。

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