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曲線に関する用語の定義

ドキュメント内 複素関数 - nalab.mind.meiji.ac.jp (ページ 103-106)

ここでは

この辺の事情は、前節の複素対数関数の話に通じる。やや判りづらいと思われるが、説明 する。

F(z) := logz は多価関数で、関数とは認められないが、ある意味でF(z) =f(z)を満たす。

関数 f の定義域を少し小さいものに置き換えると、原始関数は存在することがある。例 えば、複素平面から実軸の正の部分を除いた領域Ω :=C\ {z∈C|z 0} では

F(z) = logz = logr+ (z =re, 偏角θを (0,2π)の間に取る)

f の原始関数になる。そこで0< ε <1 に対して、Cε: z =φ(θ) =e (θ [ε,2π−ε]) とすると、Cε の像は Ω に含まれるので

Z

Cε

f(z)dz =F(φ(2π−ε))−F(φ(ε)) = (log 1 +i(2π−ε))(log 1 +) = (2π−2ε)i.

ここで ε→+0 とすると 2πiに収束する。これが Z

C

f(z)dz に等しいのはうなずけるだ

ろうか(そうしてもらえることを期待している)。

5.11 (zn の積分) n Z,f(z) = zn とする。n=1の場合が上の例であるが、n 6=1で あれば、F(z) := zn+1

n+ 1 とおくと、F(z) =f(z) であるから、

Z

C

f(z)dz =F(b)−F(a) = bn+1−an+1 n+ 1 . 関数が原始関数を持つかどうか、簡単に分かることを述べておく。

• 多項式関数は (n 0しか出て来ないので)必ず原始関数を持つ。

• 冪級数は収束円の内部では必ず原始関数を持つ。

• 有理関数で(実関数ならば) logが出て来るケース ( 1

z−a とか、 z

z2+ 1 —もっともこち らは 1

2 1

z+i + 1 z−i

に等しいので、 1

z−a に帰着されると言って良いかもしれない) や、 などは注意を要する。

• 実は「原始関数を持つならば正則である」ことが後で分かる。従って正則関数でない x= Rez, y= Imz, |z|, Argz などは原始関数を持たない。

余談 5.12 (授業楽屋裏) 線積分の練習問題を出す立場の楽屋裏を説明すると、原始関数が分

かる場合は、定理5.7 によって、線積分は簡単に計算できてしまい、線積分の定義に基づいて 計算することの練習にならないので、原始関数が存在しない問題を出すことが多い。その中に (x, |z|のような)正則関数でない関数を含めることがあるが、関数論で実際にそういう関数の 積分が出て来ることはあまり多くないので、「問題のための問題」になりがちである (少し複 雑な気持ちになる)。

定義 5.13 Ω は C の開集合で、C: z = φ(t) (t [α, β]) は Ω 内の曲線とする。(これは φ: [α, β]Ωが連続ということを意味する。)

• 写像 φ の値域(t)|t [α, β]}のことを曲線C の像 (the image ofC)、あるいは跡 (the spur of C) という。しばしば記号 C で表す。

• 曲線 CC1 級曲線であるとは、φC1 級であること、すなわち 1回微分可能で、

導関数 φ が連続であることをいう。

• 曲線 CC1 級正則曲線であるとは、φC1 級であり、(∀t [α, β]) φ(t)6= 0 を 満たすことをいう。

• 曲線C が区分的にC1 級の曲線であるとは、[α, β]のある分割{tj}nj=0で、各[tj1, tj] に φ を制限した φ|[tj1,tj]C1 級曲線であるものが存在することをいう。

(tj では片側微分係数しか存在しないかもしれない、ということである。)

• 曲線 C が区分的に C1 級の正則曲線であるとは、ある{tj}nj=0 で各[tj1, tj]に φ を 制限した φ|[tj−1,tj]C1 級正則曲線であるものが存在することをいう。

• 曲線 C が閉曲線(closed curve) であるとは、始点と終点が等しいこと、すなわち

φ(α) =φ(β)であることをいう。

• 曲線C が単純曲線(a simple curve)あるいはJordan弧 (a Jordan arc)であるとは、

(曲線が閉曲線でない場合)φ が単射であること、すなわち

(∀t1 [α, β])(∀t2 [α, β]) t1 6=t2 ⇒φ(t1)6=φ(t2) を満たすことをいう。

(曲線が閉曲線である場合)φ が [α, β)で単射であること、すなわち (∀t1 [α, β))(∀t2 [α, β)) t1 6=t2 ⇒φ(t1)6=φ(t2) を満たすことをいう。

(直観的には「自分自身と交わらないこと」である。)

• 単純閉曲線 C が正の向きの曲線であるとは、進行方向の左手に C が囲む有界領域 が見えることをいう。

(曖昧な言い方であるが、簡単な場合のときのみ扱うので、混乱は生じないであろう。)

平面内の単純閉曲線をJordan 曲線と呼ぶ。任意のJordan曲線C は平面を2つの領域に分 け、そのうちの一方は有界、他方は非有界となり、どちらの領域の境界も C である (Jordan

曲線定理(定理E.9, p. 288) — 証明が難しいことで有名)。有界な領域の方をその曲線が囲む

Jordan 領域と呼ぶ。

曲線の例を2,3あげる。

5.14 (円周) c∈C, r >0とする。C: z =φ(t) =c+re (θ [0,2π])とすると、CC1 級正則曲線である。さらに単純閉曲線で、正の向きである。C の像は c を中心とする半径 r の円周 {z C| |z−c|=r}である。

この曲線C を単に記号 |z−c|=rで表すことがある。例えば Z

|zc|=r

f(z)dz は Z

C

f(z)dz という意味である。

64. このことを確かめよ。

5.15 (正方形の周) 曲線C: z =φ(t) (t [0,4]) を

z =φ(t) :=









t (t∈[0,1])

1 +i(t−1) (t∈[1,2]) 1 +i−(t−2) (t∈[2,3]) i−i(t−3) (t∈[3,4])

で定めると、C の像は 0, 1, 1 +i, i を頂点とする正方形の周である。C は区分的に C1 級正 則曲線である。さらに単純閉曲線で、正の向きである。

O 1

1 +i i

図 5: 正方形の周を正の向きに一周する

C1 級の正則曲線では、曲線上の各点で0 でない接線ベクトルが存在し、その接線ベクトル が連続的に変化するので、図形として滑らかであり、決してとがることがない。

区分的にC1 級の曲線を考える理由は、このような多角形や折れ線を扱うためである。

定義 5.16 (C を逆向きにした −C) 曲線 C: z = φ(t) (t [α, β]) に対して、z = φ(−t) (t [−β,−α]) で定まる曲線を、C を逆向きにした曲線と呼び、−C で表す。

定義 5.17 (曲線 C1, C2 をつないだ C1+C2) 曲線 C1: z = φ1(t) (t [α1, β1]), C2: z = φ2(t) (t∈[α2, β2])で、C1 の終点と C2 の始点が等しい (φ1(β1) =φ2(α2))であるとする。

このとき

φ(t) :=

(

φ1(t) (t∈[α1, β1])

φ2(t−β1+α2) (t∈[β1, β1+β2 −α2]) で定まる曲線を、C1C2 をつないだ曲線と呼び、C1+C2 で表す。

(教科書では、C2C1 と表している。もっともな理由のある書き方なのだが、標準的な記号

とは言えないので、この講義ではC1+C2 と書くことにする。)

(実は後になって、C1 の終点が C2 の始点でないような場合にも、C1+C2 を考えるように

なる。いわゆる「曲線鎖」というものであるが、その厳密な定義はこの講義では説明しない。

この辺はずぼらなところ…)

図 6: C1 の終点= C2 の始点ならば C1+C2 が作れる

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