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星型領域における Cauchy の積分定理

ドキュメント内 複素関数 - nalab.mind.meiji.ac.jp (ページ 119-125)

6 Cauchy の積分定理

6.5 星型領域における Cauchy の積分定理

証明

(1) Ω が凸と仮定する。Ω6= であるから a Ωが存在する。任意の b Ωに対して、Ωが 凸であることから、[a, b]Ω. ゆえに Ω は星型である。

(2) Ω が星型と仮定する。ある a∈Ω が存在して、任意のb Ωに対して [a, b]Ωである。

Ω内の任意の曲線 C: z =φ(t) (t∈[α, β]) に対して、

F(t, s) :=sa+ (1−s)φ(t) (t∈[α, β],s [0,1])

とおくと、F(t, s) [a, φ(t)] Ω. ゆえに F: [α, β]×[0,1] Ωである。さらに F は連 続で、

F(t,0) =φ(t), F(t,1) =a (t∈[α, β]).

つまり曲線 C は連続的に定数曲線 a に変形できる。

66. 平面内の三角形の内部、開円盤は凸領域であることを証明せよ(解答は p. 226)。

(このことの証明は読者に任せる)が成り立ち、(曲線としての) [a, z0] + [z0, z0+h][a, z0+h]

は、三角形 ∆ の周を一周する閉曲線であるから(向きは正である場合もあるし、そうでない 場合もあるが、いずれにしても)補題 6.1 によって

Z

f(z)dz = 0. いずれの場合も (41) が 成り立つことが分かる。

ゆえに

F(z0 +h)−F(z0) = Z

[z0,z0+h]

f(z)dz.

(ここから後は、命題 6.10の証明と同じである。一応書いておく。)これから F(z0+h)−F(z0)

h −f(z0) = 1 h

Z

[z0,z0+h]

f(z)dz− 1 h

Z

[z0,z0+h]

dz·f(z0)

= 1 h

Z

[z0,z0+h]

(f(z)−f(z0)) dz.

ゆえに

F(z0+h)−F(z0)

h −f(z0) 1

|h| max

z[z0,z0+h]|f(z)−f(z0)| Z

[z0,z0+h]

|dz|

= max

z[z0,z0+h]|f(z)−f(z0)|. fz0 で連続であるから、h→0 のとき右辺は0 に収束する。ゆえに

hlim0

F(z0+h)−F(z0)

h =f(z0).

すなわち Fz0 で微分できてF(z0) =f(z0).

67. 上の証明の中に現れたa,z0,z0 +h を頂点とする三角形 ∆ (三角形がつぶれている場 合も考える)が Ω に含まれることを証明せよ。

68. (自分でそらで書けるようにしておくと良い。) f: ΩC が連続ならば、z Ω に対

して、h→0 のとき 1 h

Z

[z,z+h]

f(ζ) →f(z)であることを示せ。

(大きさを 0に近付けるとき、平均が密度に収束する、という関数論に限らず良く出て来る 話である。)

6.19 (円盤領域に対する Cauchy の積分定理) D は C の円盤領域、f: D C は正 則とするとき、D 内の任意の区分的 C1 級閉曲線 C に対して

Z

C

f(z)dz = 0 が成り立つ。

(fD で連続で、D 内の1点を除き正則、と仮定を弱めても同じ結論が成り立つ。)

証明 円盤領域は星型領域であるから。

6.20 (1/z の原始関数) (もう Log は知っているわけだけど) 関数 f: C\ {0} →C, f(z) = 1

z は原始関数を持たない (復習: Z

|z|=1

dz

z = 2πi6= 0 だから)。領域 Ω :=C\ {z C|z 0} は、点 1 について星型であるので、f を Ω に制限した関数f| は原始関数

F(z) = Z

[1,z]

f(ζ) = Z

[1,z]

ζ (z Ω)

を持つ (これは実は対数関数の主値 Logz に等しい —導関数と、z = 1 での値がそれぞれ一 致するから)。また、C が Ω 内の任意の区分的 C1 級閉曲線ならば

Z

C

f(z)dz = 0.

次の例はとても重要である。慣れると結果は簡単に分かる69のだが、最初に証明するのは一 仕事である。

6.21 ( 1

z−a の円周に沿う積分) a, c∈C とするとき、

(42)

Z

|zc|=r

dz z−a =

(

2πi (|c−a|< r) 0 (|c−a|> r).

が成り立つ。

まず、|a−c|> r の場合、R:= r+|a−c|

2 とおくと、r < R <|a−c| で、さらに

• 1

z−aD(c;R)で正則

|z−c|=r は円盤 D(c;R) 内の閉曲線

が成り立つ。円盤領域における Cauchy の積分定理により、

Z

|zc|=r

dz

z−a = 0.

以下、|a−c|< r の場合を考える。現時点で使える道具は限られているので、証明はそれほ

ど易しくない。複数の方法を示す。授業では、(方法a), (方法b)を紹介する。

(方法a) 図10 のような曲線C11, C12, C21, C22, Γ1, Γ2 を導入する。C11+C12, C21+C22 は それぞれ |z−c|=r, |z−a|=δ であるから、

図 10: 切り込みを入れて二つの閉曲線の和として表す

(43)

Z

C11+C12

dz z−a =

Z

C21+C22

dz z−a

69例えば留数定理を使うようになれば、ほぼ自明である。また、関数 1

za が正則な範囲内で、曲線|zc|=r を連続的に変形して曲線 |za|=δに出来るから、

Z

|zc|=r

dz za =

Z

|za|=δ

dz

za. あるいはCauchyの積分 公式f(z) = 1

2πi Z

C

f(ζ)

ζz f 1に対して用いる。

を証明すれば良い。

C11Γ2−C21Γ1 は、 1

z−a が正則なある星型領域内の閉曲線であるから、

Z

C11Γ2C21Γ1

dz

z−a = 0.

C12+ Γ1 −C22+ Γ2 は、 1

z−a が正則なある星型領域内の閉曲線であるから、

Z

C121−C222

dz

z−a = 0.

辺々加えるとΓ1, Γ2 上の積分がキャンセルされて Z

C11+C12C21C22

dz

z−a = 0.

これは(43) を示している。

(方法 b) (高橋[19] で知った。)|z−c|=r を満たす任意の z に対して、

1

z−a = 1

(z−c)(a−c) = 1

z−c· 1 1 azcc =

X n=0

(a−c)n (z−c)n+1. これは等比級数で 公比 =

a−c z−c

= |a−c|

r < 1 (z によらない!) であるから、

Weierstrass の M-test より |z−c| = r 上で一様収束する70。ゆえに項別積分が可 能で

Z

|zc|=r

dz z−a =

X n=0

Z

|zc|=r

(a−c)n (z−c)n+1dz =

X n=0

(a−c)n2πiδn0 = 2πi.

(無限個の項 (積分) の和になるが、n = 0 の項を除き 0 であり、n = 0 の項は (a−c)02πi= 2πi である。)

(方法c) 教科書(神保[1])は、Greenの公式から次の形のCauchyの積分定理を導いている71

Dは C の領域で、その境界は有限個の互いに交わらない滑らかな単純閉曲線 からなり、∂D は進行方向の左手に領域を見るように向きがつけられている。fD=D∪∂D を含む領域上で正則とするとき、

Z

∂D

f(z)dz = 0.

1

z−aD :={z C| |z−a|> δ, |z−c|< r} の閉包を含む領域で正則で、D の 境界は C1: |z−c| = rC2: |z−a|= δ の像からなり、C1−C2 は、進行方向の 左手にD を見る向きになっているので

0 = Z

∂D

dz z−c =

Z

|zc|=r

dz z−a

Z

|za|=δ

dz z−a.

69. (43) を示せ。(上に一応書いてあるが、「ある星型領域」は何か、きちんと示すこと。)

70この段階で、講義ではWeierstrassM-testや、「一様収束ならば項別積分可能である」ことを説明してい ないかもしれないが、次節の定理の証明に必要になるので、必ず説明する。

71細かいことを言うと、Greenの公式を用いるため、[1] では正則関数の定義に導関数の連続性を仮定してい るが、 1

za の導関数は連続であるから、問題は生じない。

6.5.1 余談: 定理6.18 により Z

C

f(z)dz = 0 を証明することを考える (しばらく工事中)

閉曲線 C に対して Z

C

f(z) dz = 0 を示したい場合、上で紹介した単連結領域に対する

Cauchyの積分定理(定理6.12)は便利であるが、講義で証明する時間は取れないので、星型領

域に対するCauchyの積分定理(定理6.18) で工夫することを考えてみよう。

領域Ω 上定義された正則関数 fと、Ω 内の閉曲線 C に対して、

Z

C

f(z)dz = 0 を証明し たいとき、C Ω を満たす星型領域 Ω が見つかれば、

Z

f(z)dz = 0 が結論できる。

簡単な場合には、Ω として三角形の内部や円盤領域などの凸領域(それは星型である)が見 つかることがある。これは割と考えやすい。

凸領域が見つからなくても、星型領域が存在する場合があるが、これを見つけるのは慣れな いと意外と難しい。

が星型であるとは、ある a∈ が存在して

(∀z ) [a, z]

が成り立つことであるが、先に a を選んでみて、a から “見えない” Ωの点をすべて除いたも のを Ω とする、もし C ならば

Z

C

f(z) dz = 0 が示せる、というのが1つのやり方で ある。

例えば、Ω =C\ {0}, a= 1 とするとき、a から見えない点 (負の実数) をΩ からすべて除 くと、Ω =C\(−∞,0] となる。これは(Log などの定義域として使われる) よく知られた星 型領域である。

同様に、平面から閉円盤を除いた領域Ω := C\D(c;R) は星型ではないが、任意の a Ω に対して、a から見えない部分を除くと、星型領域Ω ができる。実際、L から円|z−c|=R に接線(2本ある)を引いて、2つの接線ではさまれる、円の影になる部分を除けば良い。(図を 用意しよう。)

あるいは、Ω =C\ {1,−1}, a = 0 とするとき、aから見えない点を Ω からすべて除くと、

=C\((−∞,−1][1,+))となる。

関数論では、円弧と線分で出来た“バウムクーヘン扇”型の領域がしばしば登場する72c∈C, 0 R1 < R2 +, ϕ1 R, ϕ2 < ϕ1 + 2π とするとき、B(c;R1, R2, ϕ1, ϕ2) を次式で定義 する。

(44) B(c;R1, R2, ϕ1, ϕ2) :=

c+re R1 < r < R2 ∧ϕ1 < θ < ϕ2 . これがどのような場合に星型となるか、検討してみよう。

72「バウムクーヘン扇型の領域」は半分おふざけで言っています。

補題 6.22 (角領域から中心付近 |z−c| ≤Rを除いた領域の星型性) c∈C,R 0, ∆φ∈ (0, π/2) とするとき、

Ω =

c+re r > R∧θ∈(φ−φ, φ+ ∆φ) は星型である。実際R= 0 のときは ρ= 1, R >0のときはρ= R

cos ∆φ としてL:=ρe とおけば

(∀z Ω) [L, z].

すなわちΩ の任意の点はL から見える。

証明 (工事中) R >0 の場合を考える。L=ρe から円 |z−c|=R に接線を引く。L と接 点を見込む角 Φは、ρcos Φ = R を満たす。接点が Ω 上にあるとき Φ = ∆φ であり、この とき ρcos ∆φ=R.

補題6.22 から、次の定理が得られる。

定理 6.23 (バウムクーヘン扇型領域の星型性) c C, 0 R1 < R2 +, ∆φ (0, π/2) とする。cos ∆φ > RR1

2 ならば(つまり0<φ <cos1 RR1

2 ならば)

B(c;R1, R2, φ−φ, φ+ ∆φ) =

c+re R1 < r < R2∧θ (φ−φ, φ+ ∆φ) は星型領域である。「丸い道(バウムクーヘン扇型領域)は長いと見通せないが、十分短け れば星型になる。」

証明 ρ := cos ∆φR1 , L:=ρe とする。仮定より R1 < ρ < R2. ゆえに L∈Ω であり、L から re R1 < r∧θ (φ−φ, φ+ ∆φ) は見通せる。

6.24 (バウムクーヘン扇型領域の閉包の近傍で正則な関数についてのCauchy積分定理)

c∈C, 0 ≤R1 < R2 +, ϕ1 R, ϕ2 < ϕ1+ 2π に対してB :=B(c;R1, R2, ϕ1, ϕ2)とす る。B を含む開集合で正則な f に対して

Z

∂B

f(z)dz = 0 が成り立つ。

証明 同心円弧の中心を通る直線で切って、複数の短いバウムクーヘン扇領域Bi(i= 1,· · ·, n) に等分割するとき、次式が成り立つ。

Z

∂B

f(z)dz = Xn

i=1

Z

∂Bi

f(z)dz.

nが十分大きければ、Bi =B(c;R1, R2, ϕ1,i, ϕ2,i)を膨らませたB(c;R1−ε, R2+ε, ϕ1−ε, ϕ2+ε) (ε は小さな正数)が星型領域になるので、定理6.18より

Z

∂Bi

f(z)dz = 0. ゆえに Z

∂B

f(z)dz = 0.

6.6 積分路の変形 (1), 単連結領域における Cauchy の積分定理の証明のあ

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