話を理想気体に戻そう
†603.エントロピー変化は
, 3通りの式で与えることがで きる
.圧力
,容積
,温度のどれが求めやすいか
,測定しやすいかは
,場合による
†604.そこで
,来るべきときに備えて
,全ての表式を整備しておくことが重要である
.以下では
,強度変数としての比エントロピー
s=S/mおよび比容積
v =V /mで表現するが
,エントロピーおよび容積で表現してもよい
†605.†599この2例も, もちろん,理想気体に限定されない.
†600[注意]問題文に等温と書かれてもいないのに,積分の中身を簡単にしたいという本能からか, 温 度を勝手に積分記号の外に出したがる者が多いので,注意を要する. なお,この本能はもっとも であるがゆえに,決して馬鹿にできない.
†601[用語]正確には「断熱過程」だけでは不十分で,「可逆断熱過程」というべきである(追って詳 述).
†602[用語]断熱過程を,等エントロピー過程(isentropic process)ということがある(追って定義).
†603エントロピーは理想気体に限定されない. しかし,理想気体の場合は計算が簡単なので,まずは, その式変形に十分に馴染むことに主眼をおく.
†604これまで学んだ定圧過程, 定容過程,等温過程(さらに断熱過程)が体現している.
†605実は,容積か比容積かは問題とはならない. 全て無次元の分数で現れるからである. よく眺めよ.
§ 6.4.1 (T, v)
表現
改めて
,比エントロピーの定義式
(6.14)から出発し
,第一法則にしたがい
, (単 位質量あたりの
)理想気体の状態方程式
(3.11)に頼りながら変形を進めよう
†606:ds|{z}≡
定義
d′q T |{z}=
第一法則
du
T +pdv T |{z}=
理想気体
=cV dT
T +Rdv
v (6.17)
したがって
,ds=cV dT
T +Rdv
v (6.18)
であり
,これを熱平衡状態
1から
2まで定積分すれば
†607∆s=s2−s1 =cV ln (T2
T1 )
+Rln (v2
v1 )
(6.19)
ここに
, ∆s=s2−s1である
†608.むろん
,微小量と有限量のどちらで表現してもよい
.実際に役立つのは有限量 ではあるが, たとえば
(6.18)から, さらに何らかの式変形を実行する際に出発点と なるのは, 微小量の式である. したがって, 双方が重要なのはいうまでもない.
§ 6.4.2 (p, v)
表現
†609(6.18)(6.19)
から
Tを消去して,
pを導入することを考える. 理想気体の状態
方程式
(3.11)より,
T = pv
R (6.20)
である
.この微分をとると
(微小変化を考えると
),積の微分公式より
, dT = d(pv)R = pdv+vdp
R (6.21)
†606単位質量当たりの表式をまとめておく—— ds≡d′q/T, du= d′q−pdv, du=cVdT,pv=RT.
†607[解析学I]積分は微分の逆演算として定義されるものではない. 微分と積分は,それぞれ全く独 立な演算として定義される. 微分と積分が互いに逆の演算であることは,結果である. これを, 微分積分学の基本定理(fundamental theorem of calculus)という.
†608慣れないうちは,面倒でも,s2−s1と書き下すことをすすめる. 案外,∆s=s1−s2 と添え字1 と2を書き間違える者が多いからである.
†609初見では,計算過程をやや煩雑に感じるかもしれないが,方針と方法論は極めて明快である.
である
†610. (6.20)(6.21)を
(6.18)に代入しよう
: ds=cVpdv+vdp R
R
pv +Rdv v
=cV (dp
p +dv v
)
+Rdv v
=cV (dp
p )
+ (cV +R)
| {z }
cP (Mayer)
(dv v
)
=cV
(dp p
) +cP
(dv v
)
(6.22)
やや煩雑に感じるかもしれないが, 3 行目から
4行目において, 比熱差の式
(Mayerの式
)を使うだけである
†611.ゆえに
,次式が導かれた
:ds=cVdp
p +cPdv
v (6.23)
そして, 定積分すれば, 次式も直ちにうる:
∆s=cV ln (p2
p1 )
+cPln (v2
v1 )
(6.24)
§ 6.4.3 (T, p)
表現 問題
44.次式を導け.
ds =cPdT
T −Rdp
p (6.25)
∆s=cPln (T2
T1
)
+Rln (p2
p1
)
(6.26) [
ヒント
]処方箋は同様である
.理想気体の状態方程式に忠実に従い
, (6.23)から
vを消去して
,Tを導入せよ
.問題
45.理想気体の単位質量あたり
“ではない
”エントロピー変化に対して成立す
†610[別解]積の微分公式に頼らず,全微分から理解してもよい. すなわち,T =T(p, v)とみなして,
全微分dT(p, v)を書きだし, (6.21)との一致を確かめよ.
†611使わないという選択肢もあるだろう. しかし,この変形には物理的に大きな意味がある. cV と R の2つもの情報を調べることと,cP たった1つを調べることのどちらが賢いだろうか. 容易 いだろうか. 後者に決まっている. その目的が工学応用にあるならば,なおのこと,表式は簡潔 で少ない変数で話を閉じる方が良いに決まっている.
る次式を導け
.同時に
,両辺の次元が
[J/K]であることを確かめよ
. dS =CVdT
T +mRdV
V (6.27)
dS =CV
dp p +CP
dV
V (6.28)
dS =CPdT
T −mRdp
p (6.29)