§ 7.3 Carnot サイクル
4) 断熱圧縮過程 4 → 1—— 断熱膨張ゆえに, やはり, 放熱はゼロである:
Q4→1 = 0 (7.33)
†690[重要!!]さらにいうと,κ−1>0, 1−TL/TH >0,m >0,R >0 の全てが根拠として必要で ある. とにかく,細部の細部まで確認を怠ってはならない. 相当数の者が,これらの記載なしに, 試験において失点している. 正負の判定は,一切の感情や感覚を捨てて,機械的に行うべきもの である.
[同時に・・・]直感的あるいは感覚的理解も重要といえる. なぜなら,機械的に判断した正負の検
算になるからである. 膨張時には仕事をすること,すなわち,仕事が正であることに違和感を感 じないか. 丁寧に確かめよ.
†691[重要]この計算で安易に満足せず,内部エネルギーが減少し,そして,温度も低下したというと ころまでを,その理由にまで踏み込んで理解せよ.
†692符号も含めて,入熱とする仕事とみなしてもよい. 符号が相殺される.
†693したがって,QL>0,W3→4<0,Q3→4<0 などがわかる.
問題
53.断熱圧縮過程
4→1において
,内部エネルギー変化とされる仕事を求 めよ
.それらの正負を数式だけを根拠に判定せよ
.[
略解
]放熱がゼロであることに注意して
,有限量で第一法則を立てる
:∆4→1U(=U1−U4) = −W4→1 (7.34)
“する”仕事W4→1
の積分計算を行うと, 次式をうる:
W4→1 = mRTL κ−1
(
1− TH TL
)
<0 (7.35)
する仕事は負値であるから
†694,便宜上, 改めて
“される”仕事を^W4→1 ≡ −W4→1とおくと
W^4→1 = mRTL κ−1
(TH TL −1
)
>0 (7.36)
となり, 正の
“される”仕事をなすこと(すなわち,仕事を
“される”こと)がわか
る
.さらに
,第一法則より
,^W4→1 =∆4→1 =U1−U4 >0 =⇒ U4 < U1 (7.37)
したがって, される仕事が正で, 内部エネルギーは
“増加”し†695,される仕事と 内部エネルギーの増加量は等しい
.問題
54. p–V線図を利用して得られた以上の情報から
, Carnotサイクルの熱効率
ηを求めよ.
T–S線図から求めた熱効率
(7.15)との一致を示せ.
[解]
求めた入熱
QLと放熱
QHを, 任意のサイクルに対して成立する
(7.7)に代入 する
†696.放熱を正値
(QL>0)と定義した点に注意すると
η = 1− QL
QH = 1− mRTLln(V3/V4)
mRTHln(V2/V1) = 1− TLln(V3/V4) THln(V2/V1)
| {z }
ここの処理に尽きる
(7.38)
†694根拠を数式だけから述べよ(題意).
†695仕事をされて気体が圧縮されるのだから,気体は高温になり,内部エネルギーが増加するという イメージが対応する.
†696本当に任意であったか. 余計な仮定を持ち込んではいなかったか. これらを1つ1つ注意深く 確かめよ.
いかにも題意を満たしそうな予感がする
.残された課題は
,容積比が
†697 V3V4
= V2 V1
(7.39)
を満たすか否かを確かめることに尽きる
.基本に立ち戻って
†698,過程
2→3および過程
4→1が断熱過程であることを思い 返す
.両断熱過程においては
,理想気体の
Poissonの状態方程式
(5.26)が成立した
:T Vκ−1 = const. (5.26)
これを
,実際に両過程に適用する
:T2V2κ−1 =T3V3κ−1 (
断熱膨張
2→3) (7.40) T4V4κ−1 =T1V1κ−1 (断熱圧縮4→1) (7.41)温度の添え字を
, T1 =T2 =THおよび
T3 =T4 =TLとおき直す
:THV2κ−1 =TLV3κ−1 (7.42) TLV4κ−1 =THV1κ−1 (7.43)
両式をうまく割り算する
:(V2 V1
)κ−1
= (V3
V4 )κ−1
=⇒ V2 V1 = V3
V4 (7.44)
これを
(7.38)に代入すれば
,題意をうる
: η= 1− TLln(V3/V4)THln(V2/V1) = 1− TLln(V2/V1)
THln(V2/V1) = 1− TL
TH (7.15)
†697とくに内燃機関工学の分野においては,圧縮比あるいは膨張比ということがある.
†698[指針]このようなときには,各過程に対する状態方程式をまず書き下し,それを基に検討すると いう戦法が有効であったことを思い返そう.
問題
55. “サイクル全体
”における内部エネルギーの
“変化
”がゼロであること
†699†700,すなわち
,計算によって次式を示せ
†701:∆1→2→3→4→1U =∆1→2U+∆2→3U +∆3→4U +∆4→1U|{z}= 0
題意
(7.45)
問題
56.サイクル全体における正味の入熱
Q1→2→3→4→1 =Q1→2+Q2→3+Q3→4+Q4→1 (7.46)
および, 正味のする仕事
W1→2→3→4→1 =W1→2+W2→3+W3→4+W4→1 (7.47)
を計算せよ
.さらに
,正味の入熱が
, T–S線図を利用して幾何学的に求めた値
Q1→2→3→4→1 = (SB−SA)(TH −TL) (7.16)