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§ 10.2 第二法則のさまざまな表現

ドキュメント内 (A2) , 0, (ページ 156-159)

第二法則は

,

その表現が

,

科学者によっても

,

文献によっても

,

多岐にわたるこ とが

,

初学者の理解の妨げとなっている

.

770[数式表現] W =QH もしくはQL だからである. [用語]これを第二種永久機関という(後述).

第二種永久機関は,第一法則は満たすが,第二法則に反する. なお,第一種永久機関は,第一法則 に反するものであった(復習せよ).

771無尽蔵の熱源といえる海水から熱をもらい,地球上の工場の機関を動かすことを考える. する と, 2000年間も働かせ続けて,はじめて,海水の温度が0.01 K低下するという計算結果がある.

772§10.4で詳述する.

773[熱は低質で電気は高質] 寒い日に手をこすれば熱が生ずるが, 人間の力だけで電気を作ること

はできない. 力学的仕事を熱に変換することは容易だが,逆は困難なのである. エネルギーの中 でも電気は高級品に属する. 電気を熱に変換するのは容易いが(安価な家庭用ストーブ),熱を 電気に変換するのは困難である(巨大な発電所).

[注意](本講義の)熱力学では,電気を扱わない. 力学的仕事と熱の変換以外には踏み込まない.

774第一法則を定量的に表現してくれる状態量は,内部エネルギーであった. 内部エネルギーは保存 量であったが,エントロピーは保存量ではない. エントロピーは必ず増大する.

§ 10.2.1

エントロピーによる数式表現

金川個人は

,

エントロピーを使って数式表現することが最も易しいと感じる

.

熱力学第二法則のエントロピーによる表現

任意の過程は

,

外界からの入熱に関する量

dQ/T

よりも大きくなる方向に

,

す なわち

,

エントロピーが増大する方向に進む

:

∆S

2

1

dQ

T ,

あるいは,

dS dQ

T (10.1)

熱平衡状態

1

から

2

までの定積分である

775.

等号が可逆過程を

,

不等号が不 可逆過程をそれぞれ意味する

. dQ/T

の大きさこそが

,

不可逆性の度合いを教え てくれる

.

自発的に起こる

(

自然界の全ての

)

過程の全ては不可逆過程である

.

こ れが第二法則の数式表現である

.

§ 10.2.2

孤立系とエントロピー

外界と隔離された孤立系ならば

776,

外界と系の間で熱のやり取りはないので

dS 0 (10.2)

である

.

すなわち

,

エントロピーは増加する方向に過程は進む

.

可逆過程ならばエ ントロピーは一定

(

定数

)

であり

777,

不可逆過程ならばエントロピーは増加する

.

孤立系というと

,

対象を狭めている印象を与えかねないが

,

これは決して大胆 な仮定ではない

778.

たとえ, 系と外界の間で熱や仕事の授受をなす場合であって も, 過程に関与する全ての系を包含する巨大な系を考えれば, これを孤立系とみな

775(9.20)から積分範囲の記号を変更したが,大きな意味はない.

776もう少し一般的に言おう. 「孤立系あるいは孤立断熱系(isolated adiabatic system)において エントロピーが増大する」という表現が良く使われる. 孤立系とは系と外界が隔離された系で ある. 隔離ゆえに,系と外界の間で仕事と熱のやりとりがなく,それゆえ,内部エネルギーが一 定の系である.

[頻出ミス]決して内部エネルギーはゼロではない. 内部エネルギー変化はゼロであるが. 「内 部エネルギーがゼロ」という誤答に潜む致命的欠陥を指摘せよ.

777エントロピーがゼロという誤答がある(矛盾を指摘せよ). エントロピー“変化”はゼロだが, エ ントロピーがゼロということはありえない.

778[重要例]宇宙からみれば地球は孤立系である. 同様に,地球からみれば日本は孤立系,東京都か

らみればつくば市は孤立系,筑波大学からみれば3A304教室は孤立系である. こう考えると,孤 立系という響きは, 一見特殊極まりない条件を課すように思えるが, 広範に適用可能な仮定と いう前向きな期待をさせる.

すことが可能である

779.

このような巨大な系では

,

系を構成する個々の系のエン トロピーには増減はある

780.

しかしながら

,

エントロピー変化の総和は増加する 方向に過程が進行する

781.

そして, エントロピーの総和が最大値に到達したとき に, 過程が止まり, 熱平衡状態に至るのである.

§ 10.2.3

エントロピー増大の法則

エントロピーの増加量は, 過程の不可逆性の度合いを意味する. そして, 第二 法則とは

,

不可逆過程の存在を示すと同時に

,

エントロピーが増加することを主張 するものである

782783.

現実には

,

可逆過程は起こりえないが

,

可逆過程の実現可 能性を定量的に教えてくれるのがエントロピーである

.

第二法則

(

エントロピー増大則あるいは最大則

)

孤立系のエントロピーは

,

(i)

可逆過程ならば不変であるが

, (ii)

不可逆過程が生ずれば増加する.

§ 10.2.4

第一法則と第二法則の主張の融合

いかなる過程においても, 系を構成する全ての物質に対して, 次の主張が成立 する:

779[お金の例1]工学システム学類生140名でパーティを行う. このような場合, 10名程度のズボラ

な者が,決まって財布を忘れる. したがって,会費の貸し借りは免れない. しかしながら,宴会 会場の定員からすれば,あるいは140名という団体規模で眺めれば,数名の貸し借りなど,誰の 知る由もない——そのようなイメージである.

[ついでながら]趣味が少なく,財布の紐も固い金川は,財布を忘れることなどありえず,専ら貸

す側に回っている.

780[お金の例2]財布を忘れたA君と金持ちのB君の間には, 亀裂が走る.

781[お金の例3]金銭の貸し借りでいえば,エントロピーは「不信用」の度合いである. お金を借り

てばかりのA君は,たとえ,借金を返済したとしても, B君からの信用を失い続ける.「お金(内 部エネルギー)」は保存量である. しかしながら, 非保存量の「不信用度(エントロピー)」は, 増加するばかりであって, B君がどれほど改心しようとも,決して減少することはない.

782ここでのエントロピーとは,過程に関与した全ての系(物体)の総和である.

783いかなる場合でも,エントロピーが減少することはない. 必ず増加する.

第一法則と第二法則

内部エネルギー

(

熱と仕事を含む

)

は一定である

(

第一法則

).

エントロピーは増加する

(

第二法則

).

問題

64.

エントロピーを縦軸にとり

, (i)

何等かの状態量を横軸にとったグラフ

, (ii)

過程の進行の度合い

784

を横軸に撮ったグラフをそれぞれ描け

. dS = 0

あるい

dS > 0

となるのは

,

それぞれ

,

どのようなときか

.

過程が終わるのはどのよう

なときか. [答] 板書する.

ドキュメント内 (A2) , 0, (ページ 156-159)