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§ 10.5 Kelvin と Clausius の原理の等価性

ドキュメント内 (A2) , 0, (ページ 163-168)

Clausius

の原理が正しいことの直感的理解は

, Kelvin

の原理の証明よりも容 易いかもしれない

.

たとえば

,

クーラーを思い浮かべれば

,

感覚的理解は容易い

.

涼 しい部屋

(

低温熱源

)

の熱を奪い

,

それを屋外

(

高温熱源

)

に捨て続けることができ るだろうか. 無茶である. 連続的な電気の供給——すなわち

(電気的)

仕事の注入 がなければ, クーラーが動くはずがない.

Kelvin

Clausius

の両表現は

,

それぞれ

,

熱機関と熱の移動という

,

全く異な る側面に着目していると誤解されがちである

.

しかし

, Clausius

の原理と

Kelvin

の 原理は

,

実は全く等価である

.

それゆえ

,

どちらか片方が正しいことを示せば

,

も う片方も正しいことを示すことができる

.

その意味で

,

現時点では

, Clausius

の原 理の証明はあえて割愛する

802.

問題

67. Clausius

の原理を証明せよ

803.

Clausius

の原理

C

の否定

C¯

は以下で与えられる

: Clausius

の原理の否定

C¯

熱は低温側から高温側へと自然に移動する

.

いいかえれば

,

無電源冷凍庫や無電源クーラーが実現可能である

.

第二法則は

,

大元は「できない」ことを主張するという

,

いわば後ろ向きの特 異的な法則であった

.

それゆえ

,

否定を考えて

,

はじめて「できる」という前向き な表現が現れる点に

,

第二法則の特異性を感じる

806.

§ 10.5.2 Clausius

を否定し, Kelvin を否定する 示すべきこと—— 「

C¯ ⇒K¯

熱は低温側から高温側へと自然に流れるならば, 熱効率

100 %

の第二種永久機 関が創成可能である

.

この命題「

C¯ K¯

」が真であることを示す

.

すなわち

, Clausius

の原理の否 定が成立するならば

, Kelvin

の原理の否定も成立することを示したい

.

すると

,

そ の対偶として「

K C

」も真となる

.

すなわち

, Kelvin

の原理が正しいならば

, Clausius

の原理も正しいといえる

807.

いま

,Kelvin

の原理は既に証明されている ので

,

それを利用すれば

, Clausius

の原理が正しいことを間接的に示すことがで きる.

準備として, 低温熱源と高温熱源を用意する

808809.

さて, Clausius の原理を 否定する

.

すなわち

,

低温熱源から高温熱源へと

,

自然に

QL(>0)

なる熱が絶え ず流れるとしよう

810.

折角の入熱があるのならば

,

高温熱源の人情として

,

何かに

806本資料も,前向きに進むことよりも,後ろ向きに,矛盾などがないかを精査して出来上がってい る. そのような姿勢は, 決して, 前向きではなく, 後ろ向きといえるだろう. ネガティブキャン ペーンではダメで,熱力学を前向きに語らねばなければならないと常々感じているが,金川のス タイルを鑑みるに,厳しいものがある.

807論証的な表現には,頭が痛くなるかもしれない. ここの表現は深入りしなくともよい. 何が目的 なのかを,頭を使うのではなく, 機械的に判断してほしい.

808現時点では,まだ,サイクルは用意しなくてよい.

809[復習]熱源の温度は一定であった. 熱源とはどれだけでも熱を供給も吸収もできて,それでいて 温度を一定に保つという理想的な外界であった.

810引き続き,サイクルの議論の慣例に倣い,熱は全て正値とする. 入熱を正とおくのではなく, 放 熱も入熱も正とおく. すなわち, 絶対値で議論する. 深い理由はない. 単に, 不等号が現れる面 倒を省きたいからである. また,符号は証明の本質にほぼ全く影響しないからである.

利用したくならないか

811.

そこで

,

折角の熱を無駄にせぬよう

,

あるサイクルを回 すことにする

812.

サイクルを作動させるために

,

高温熱源はサイクルに

QH

とい う熱を受け渡す. サイクルは, 低温熱源へと

QL

の熱を捨てる

813.

ここで, 絶えず

QL

の熱を捨て続けることが重要である. さもなくば, 低温熱源は, 高温熱源に熱 を渡せなくなるからである

.

やはり

,

サイクルに対して第一法則を立てる

.

サイクルは

,

W =QH −QL (10.8)

の仕事をなす. サイクルでは

∆U = 0

だからである. なお,

W > 0

すなわち

QH > QL

であることに注意を要する

814.

以上をまとめる

:

1)

低温熱源は

,

高温熱源へと

QL

の熱を供給し続けると同時に

,

サイクルからの 放熱

QL

の受け皿となる

.

したがって

,

低温熱源の正味の入熱はゼロであるの で

815,

実は損も得もしていない

,

不生不滅といえる

.

2)

高温熱源については注意を要する. サイクルに

QH

の熱を与え続けると同時に, 低温熱源から汲み上げた

QL

を受け取り続けているからである. したがって, サ イクルに

,

正味の

熱として

(QH −QL)

を供給していることとなる

816. 3)

サイクル全体でみると

, (QH −QL)

の正味の仕事をし続けている

.

まとめる

——

低温熱源の関与がないことがわかった

.

そして

,

高温熱源は

(QH −QL)

なる熱をサイクルに与え

,

その全てを仕事に変換していることがわか る

——

これは第二種永久機関の創成

——

そう

, Kelvin

の原理の否定に他ならない

.

したがって, 対偶をとれば, Kelvin の原理が成立するならば, Clausius の原理 が成立することがわかった. 前節で

Kelvin

の原理の正当性は既に示されているの で

,Clausius

の原理の正当性も間接的に示された

.

811貧乏人(低温熱源)に,お金(熱)を寄付したくなることが自然な感情である.

812Carnotサイクルでも何でもよい.

813熱は捨てねばならない. 第二種永久機関の話と混同してはならない.

814W の値が負になる場合も議論できるだろうが, 本節の動機を鑑みるに,ここに踏み込む重要性 は低いといえる.

815正味の放熱もゼロである.

816[重要]QH と勘違いしてはならない.

§ 10.5.3 Kelvin

を否定し

, Clausius

を否定する 示すべきこと

——

K¯ ⇒C¯

熱効率

100 %

の第二種永久機関が実現可能であるならば

,

熱は低温側から高温

側へと自然に流れだす

.

命題「

K¯ C」が真であるならば,¯

その対偶として「C

K」も真となる.

すなわち, Clausius の原理が正しいならば, Kelvin の原理も正しいといえる.

Kelvin

の原理の否定にあたり

,

サイクルとしての第二種永久機関を持ち込む

必要がある

817.

すなわち

,

高温熱源からの入熱

QH

の全てを仕事

W = QH

に変 換できるという

818,

夢のような第二種永久機関の創成に成功したとする

.

ならば

,

その折角得られた仕事を

,

何かに用いたくなるのが人情である

819.

そ こで

,

ヒートポンプ

(

後述

)

を回すことにする

820.

ヒートポンプが

,

低温熱源から 奪う熱を

QL

とする

.

すると

,

ヒートポンプは

,

第一法則より

, (QL+QH)

の熱を 高温熱源

B

に捨てる

821.

以上をまとめるとどうなるか.

1)

サイクルとして

,

第二種永久機関とヒートポンプの

2

つがある

.

いずれも

,

周り 続けるだけであって

,

一周後には元通りに戻っている

.

2)

低温熱源は

, QL

の熱を奪われ続けるだけである

.

3)

高温熱源については注意を要する

. QH

の熱を第二種永久機関に与えると同時 に

,

低温熱源から汲み上げた

QL

と第二種永久機関から得た仕事

QH(=W)

の 和, すなわち, (Q

L+QH)

の熱を受け取り続ける. すると,

QH

分の授受が相殺 されて, 高温熱源には, 正味の熱として,

QL

だけが流れ込む.

以上をまとめると

,

低温熱源から高温熱源へと自然に

QL

なる熱が流れること となる

.

これは

, Clausius

の原理の否定そのものである

.

817Kelvinの原理はそもそもサイクルに言及するものだからである.

818記号が少ない方がよいので,以後,記号W を使わずにQH を前面に出す.

819当然である. 仕事は高級な貴重品だからである. 無料タクシーが走行しているのに,乗らない手 はない. 3A304教室のクーラーに使わない手もないではないか.

820[ヒートポンプ(逆サイクル)]日常生活でいえば,冷凍庫やクーラーと思えばよい. すなわち,低 温熱源から熱を吸い取り,それを高温熱源に捨てるのである. そのためには, (たとえば電気的 な)仕事を要するので, する仕事ではなく,される仕事が必要となる. ついでながら, Carnotサ イクルは可逆サイクルであるので,Carnotサイクルとして回せば,ヒートポンプになりうる.

821やはり,ヒートポンプサイクルでは,状態量たる内部エネルギー変化がゼロであることを用いた.

したがって

, Kelvin

の原理の否定を認めるならば

, Clausius

の原理の否定が示 された

.

この対偶をとろう

. Clausius

の原理が成立するならば

, Kelvin

の原理が成 立することがわかった

.

また

, Kelvin

Clausius

の両原理が等価であることが示さ れた.

§ 10.5.4

ヒートポンプ

Carnot

サイクルは準静的かつ可逆的に進む. ゆえに, 逆行することが可能で

ある. そのとき, 作動流体は, 低温熱源から熱を奪い, 外界から仕事をされて, 高温 熱源へと熱を捨てる

822

このようなサイクルを

,

ヒートポンプという

.

822[エアコン]涼しい室内から熱を奪い,電源から仕事をもらい,蒸し暑い屋外に熱を捨てる. エア

コンは, 電気なしでは動かない. すなわち,必ず外界からの仕事を要することが重要である.

§ 11 Carnot の定理 , そして第二法則

823

§ 11.1 謎のエンジン A と少年

熱力学を履修中の少年が

,

道端で

,

ある謎のエンジン

(

サイクル

) A

を拾っ た

824825.

少年は

, A

の正体

,

とくにその熱効率

ηA

に課される制約に興味を抱い た.

A

の優劣を客観的に評価するためには, まず, 比較対象としての何らかのサイ クルが必要である

826.

いったいどのようなサイクルならば, 比較対象として適切 だろうか

.

可能な限りその正体が明らかになっており

,

代表的かつ権威もあるサイ クルが望ましい

.

少年は苦悩に陥った

827.

やがて

,

少年の脳裏に

,

既習の

Carnot

サイクル

C

が比較対象に適切ではない

かと浮かんだ

828.

そこで

, C

とその熱効率

(Carnot

効率

) ηC

を準備した

829.

ドキュメント内 (A2) , 0, (ページ 163-168)