実際には
,熱を消去した次式を多用する
.熱はわかり難いからである
:dH =CPdT, ∆H =CP∆T, H2 =H1+CP(T2−T1) (4.5)
§ 4.1.2
定容過程と定容熱容量
CV方法論は前節と同様であって, エンタルピー
Hが内部エネルギー
Uに変わる だけである. 理想気体の熱容量の定義
(4.2)に, 内部エネルギー型の第一法則
(2.38)を適用すると
,d′Q|V = dU ≡CVdT (4.6)
1
つ目の等号は第一法則
(2.38)そのものであり, 2 つ目の等号で定義した
CVを定
容熱容量
(理想気体ならば比例定数)という. やはり, 状態
1から
2まで定積分する:
Q1→2 =∆U =CV∆T (4.7)
数式表現が
,第一法則の形から変わり始めたので
,「全く異なる話に移った」と勘 違いしがちである. 決して第一法則以上ではないことを再三強調しておきたい
†442.問題
20.系が理想気体であるとする. 準静的過程の熱力学第一法則から出発して,
(4.3)–(4.7)
を全て導け
.理想気体の仮定抜きに
,どこまでが議論できるか
,できな
いかも
,あわせて注意深く整理せよ
†443.“
系の量に依存しない
”強度変数の形にできることが本質だからである
(§1.3.5).理想気体ならば
,比熱
c[J/(kg·K)]も比例定数であって
,その定義は
,d′q≡cdT (4.8)
である
.ここに
, q [J/kg]は単位質量あたりの入熱であって
,入熱
Q [J],熱容量
C [J/K],質量
m [kg]の間につぎの関係がある
†445:q = Q
m, c= C
m (4.9)
何となく割ったのではなく
, “系の量に依存しない
”形の方が便利だからこその除 算なのである.
§ 4.2.2
単位質量あたりの熱力学第一法則
準静的過程において, 系の単位質量あたりに対する第一法則は,
du= d′q−pdv (4.10)
と与えられる
†446.ここに
,比内部エネルギー
(単位質量あたりの内部エネルギー
)u [J/kg],比容積
(単位質量あたりの容積
)v[m3/kg],単位質量あたりの入熱
q[J/kg]は
u= U
m, v = V
m, q= Q
m (4.11)
で定義される
†447.質量で割ることで, 比内部エネルギー
uも, 比容積
vも, 系の 量に依存しない強度変数に変換された
.†445[指針]これらの式を見て,「むやみに記号を増やしているのか」と暗記思考に陥ってはならない.
“単位質量あたりという系の量によらない強度変数を作っている”ことに気づける洞察力,そし て,それを基にして,単なる知識を理解型知識に昇華させて,整理できる力こそが本質である.
†446[誤答]準静的仕事pdV をmでわるとき, (p/m)dV という解答を目にするが, (p/m)など考え る意味がない. pd(V /m) =pdv と, 新たな強度変数 v を作らねば, せっかくmで割る意味が ない.
†447[注意]分母が全てm であることは,当たり前といえば当たり前ではあるが, 注意すべき点でも ある. もしも,全てmでなかったならば,等号で結ばれえないからである.
§ 4.2.3
定容比熱
cVと定圧比熱
cP第一法則
(4.10)において
,定容過程を考えると
,次式をうる
(確かめよ
):d′q|V = du (4.12)
一方, 理想気体の定容比熱
(定容過程における比熱(比例定数)) cVは
d′q|V =cVdT (4.13)
と定義される
.両式を組み合わせ
,熱平衡状態
1から熱平衡状態
2まで積分する
†448:∫ 2
1
d′q|V =
∫ 2
1
du=
∫ 2
1
cVdT =⇒ q1→2 =∆u=cV∆T (4.14)
せっかくであるので
,少々書き換えておこう
†449:u2 =u1+q1→2 =u1 +cV(T2−T1) (4.15)
問題
21. (4.14)をつぎの
2通りの方法で導け
—— (i)第一法則
(4.10)から出発す る
(初めから単位質量あたりで議論
). (ii)定容熱容量の結果
(4.7)を利用する
. [(ii)の解答
†450] (4.7)を質量
mでわる
†451.その後に
,q= Q
m, u= U
m, cV = CV
m (4.16)
を導入すれば
†452,速やかに題意をうる
†453.問題
22.本節で述べた手順を参考に, (i) 理想気体の定圧比熱
cPを定義せよ.
†448[復習]このあたりで,熱平衡という大前提を忘れてしまうかもしれない. 一定頻度で振り返るこ とが重要であるので,久々に省略せずに,“熱平衡”状態と書いた.
†449[重要]こう書けば,u1 とT1が微分方程式でいうところの任意定数(既知の初期条件)で,u2 が
未知変数(求めるべき変数)のように見えるだろう. このイメージは重要である.
[もしも]定積分ではなく不定積分であったならばどうなるか. 本質的な差異はないが,考えよ.
†450(i)の解答は,本項で述べたそのままである.
†451[解法]質量の有無に注意を払うこと. このような細かな作業を“軽微なものにすぎない”と軽視 する者が,多くの場合,左辺と右辺の次元が一致しない似非等式を解答し,落単に至る.
†452[誤記例] cV∆T を見て,温度T を質量mで割ってひとかたまりとみなしてしまいそうになる かもしれない. しかし,それでは何ら有益な情報など抽出できないことに気づくべきである(数 学的には誤りではないが). 質量で割ることが本質となるのは,温度ではなく,熱容量である.
†453[補足]以後,次式を多用する—— du=cVdT およびdh=cPdT.
(ii) cP
を比エンタルピー
hと関係づける次式を導け
:dh =cPdT (4.17)
(iii)
有限の温度変化
∆Tから
,有限のエンタルピー変化
∆h,および
,理想気体の
単位質量あたりの
(有限の
)入熱
q1→2を求めるための次式も導け
†454:q1→2 =∆h=cP∆T (4.18)