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○江戸時代の幕府直轄地(幕領)支配の拠点である陣屋(郡代役所)で、敷地や 17~19 世紀前期の建物が多く現存し、かつ当時の絵図に 基づいた復元・整備事業により、幕領支配を実感することができる史跡となっている。

○史跡の活用に関しては、①史跡の解説・案内、②展示、③史跡を活用した文化活動、④学校教育との連携、と多面的な事業を模索してい る。①については、説明専門職(説明ガイド)と語り部ボランティアの熱心かつ興味深い解説、②の展示については、陣屋関連の様々な 資料をわかりやすく展示している他に高山陣屋文書の研究成果を紹介する特別展の開催、子ども用パンフレットを作成するなど、子ども にもわかりやすく当時の政治の仕組みを説明する努力がみられる。③歴史展示のみならず、夜の高山陣屋を体験してもらう「歴史教室の 夕べ」の開催やあるいは、直接的には高山陣屋に関わらないものの、高山陣屋の空間を利用した演奏会や文化的イベントをほぼ毎月2回 程度ずつ開催していることなど、市民を巻きこんだ活用事業が展開されている。

○また、伝統的建造物群保存地区である高山の町並みを訪れる外国人を含めた観光客や、課外学習のための児童・生徒など、来訪者が多い ことも特長として挙げられる。

高山陣屋跡

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2 保存・管理、整備・活用の状況

<史跡等の基本情報>

管理団体等 岐阜県(指定年月日:昭和5年2月 18 日)

計画書作成 保存管理計画 - 整備・活用基本計画 -

管理体制

整備担当部署 高山陣屋管理事務所(岐阜県 教育委員会社会教育文化課) 維持・管理担当部署 高山陣屋管理事務所(岐阜県 教育委員会社会教育文化課) 維持・管理の実施主体 自治体職員が直接管理

<保存・整備活用計画>

◇高⼭市歴史⽂化基本構想⽂化財保存活用計画(平成 22 年3月)高⼭市教育委員会

・保存管理計画は策定していないが、保存管理整備は、文政年間の史料に基づいて計画・実施している。また、

高山市において高山市歴史文化基本構想文化財保存活用計画(平成 22 年3月)が策定されており、高山陣屋跡 と陣屋前広場、からくり奉納時の広場、御旅所などの一体的保存活用を図ることが位置づけられている。

◇高⼭市歴史的風致維持向上計画(計画期間:平成 20 年度 24 年度)岐阜県高⼭市

・三町、下二之町大新町の2つの重要伝統的建造物群保存地区を中心に、高山陣屋跡を含む春・秋の高山祭で彩 られる旧城下町を重点区域とし、旧矢嶋邸跡地を利用した拠点(飛騨高山まちの博物館)整備事業や東山寺院 群など文化財で地域を繋ぐ周遊路整備事業などの実施、屋台祭礼や飛騨匠の技術の継承などが位置づけられて いる。

<整備事業>

◇修復・復元事業

・昭和 44 年に飛騨県事務所が移転した後、岐阜県教育委員会は高山陣屋跡の整備を開始し、約 20 億円の費用 をかけて、平成8年3月に修復・復元が完成する。

・文政年間の史料に基づいて整備されている。江戸時代の幕府直轄地(幕領)支配の拠点である陣屋(郡代役 所)で、敷地や 17~19 世紀前期の建物が多く現存し、かつ当時の絵図に基づいた復元・整備事業により、幕 領支配を実感することができる史跡整備となっている。

・平成 21 年度から実施している保存整備については史跡高山陣屋跡保存整備専門家会議(平成 25 年度に岐阜県高 山陣屋保存修理検討専門部会から改称)を開催し、有識者の意見をもとに計画的に整備事業を実施している。

<現存する施設>

御門<天保 3 年 切妻造熨斗(のし)葺平家建>、門番所<天保 3 年 切妻造熨斗(のし)葺平家建>、御役所<文化 13 年 切妻造熨 斗葺(一部柿葺)平家建>、御蔵<慶長年間 片入母屋造石置長榑葺平家建>、御勝手土蔵<天保 11 年 切妻造熨斗葺 2 階建>、書 物蔵<天保 12 年 切妻造熨斗葺 2 階建>

<活用>

◇ガイド

・高山陣屋文書の調査研究を基に特別展を開催した。(平成 25 年度「幕領飛騨と塩硝」平成 26 年度「幕領飛騨の御巣鷹山」)。

・史跡の解説・案内、展示、史跡を活用した文化活動、学校教育との連携と多面的な事業を模索している。史跡 の解説・案内については、説明専門職(説明ガイド)と語り部ボランティア等の熱心かつ興味深い解説をして いるとともに、展示については米俵を復元することで年貢や当時の計量のあり方を実感させる工夫や子ども用 パンフレットの作成を行う等、子供にもわかりやすく当時の政治の仕組みを説明している。史跡案内や防災に 関することをボランティアの人々と連携しながら行っている。

◇高⼭陣屋の空間を利用した演奏会や⽂化的イベントの開催

・夜の高山陣屋を体験してもらう「高山陣屋の夕べ」を毎年夏に開催し、多くの参加者から好評を得ている。

・各団体の協力で毎月「高山陣屋ギャラリー」を開催し、作品展示を行っている。

・また、5月から 10 月までの第2・第4日曜日を基本に、御役所内の「大広間」におい て、邦楽の演奏会を行っている。

◇陣屋前朝市

・江戸時代から、米市、桑市、花市等の市として発達し、明治の中頃から、周辺農家によ って野菜が並べられるようになり、朝市と呼ばれるようになる。朝市は陣屋前広場と宮 川沿いの2か所にあり、飛騨高山の朝市は、千葉県勝浦市、石川県輪島市の朝市と並ぶ 日本三大朝市といわれるとともに、高山観光三名物(高山祭り・古い町並み・朝市)に 数えられる。

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3 課題克服のポイント

課題:明治期から昭和 44 年まで、県庁、郡役所、支庁、県事務所など代々地方の役所として使われてきた高 山陣屋跡は、昭和 55 年から史跡としての保存・管理・整備を平均4人の職員(県職員事務3名、技能 1名)と、非常勤職員である施設案内・受付・警備等 18 名のスタッフで行ってきたが、史跡の維持管 理や活用において人員不足が課題として挙げられており、市民と連携して史跡の維持管理や活用にあた る必要があった。

高山市は古くからの観光地として知られている地域であり、伝統的建造物群保存地区である高山の町並みを訪 れる外国人を含めた観光客や、課外学習のための児童・生徒など、来訪者も多く、地域住民の文化財に対する 意識が高いのが特徴である。また、地域の人々に陣屋を身近に感じてもらう環境づくりが必要であるという考 えから、住民参加による史跡の維持管理・活用を進め、早期から協力関係を築くことに成功している。

高山陣屋管理事務所は、年1回地元関係者を中心として、「高山陣屋運営懇話会」(24 年度までは高山陣屋運営 協議会)を開催し、陣屋の公開及び運営方針等に対する意見聴取を行っている。幅広い分野から構成員専門家 を選出することで、住民等の意見を反映させている。さらに、連絡調整会議(各担当代表者)を月2回以上開 催し、業務の進捗状況などについて情報共有を行うとともに、課題やその解決方法等について意見交換を行っ ている。

高山陣屋跡では、地元の小・中学校と高校から、見学と語学学習、インターンシップの受け入れを行ってい る。語学学習としては、地元の高等学校の英会話部が高山陣屋跡で活動を行うなどの取組がある。また、高 山陣屋跡を職場体験の一つの場として活用するインターンシップの受け入れなど、特徴的な教育現場との連 携が見られる。

アニメ「高山陣屋物語」を作成し、校外学習の事前学習に利用している。さらに、一般に向けた上映も行って いる。所要時間は 25 分程度。申請書提出によって、貸出も可能である。

史跡の解説や案内として語り部ボランティア(17 名)と、史跡の防災組織として自衛消防隊(52 名)がボラン ティアで活躍している。また、高山陣屋跡を利用した市民団体等の活動(文化団体 12、邦楽団体 12)も活発で あり、各団体と協力しながら、「高山陣屋ギャラリー」での毎月の展示や、5月から 10 月までの第2・第4日 曜日を基本に、御役所内の「大広間」において演奏会や文化的イベントを開催するなど、市民を巻きこんだ活 用事業が展開されている。さらに、入場者からのアンケート(「ふれ愛ボックス」、「おもいで帳」)により意見 を聴取し、高山陣屋跡の運営管理の向上につなげるなどの取組を行い、市民との円満な連携に努めている。

このような市民と連携した活用事業の展開により入館者数は 298,083 人(平成 26 度)と年々数を伸ばし、多 くの市民や観光客が高山陣屋跡を訪問・利用している。

地元のボランティア団体と連携することで活発な史跡の活用を行うとともに、地元住民が積極的に 史跡に関わることで史跡に対する愛着心の醸成につながっている。

教育現場と連携を図り、単なる史跡の見学だけではなく語学学習やインターンシップの受け入れ、

アニメ作成・上映などユニークな手法を進めることによって、教育面での活用につながっている。

ボランティア等、市民との連携による史跡の維持管理・活用 マネジメントのポイント①

幅広い分野からの専門家の懇話会や定期的な担当会議等を通して意見交換を行っていることで、住 民参加による史跡の維持管理・活用の推進を実現することができている。

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